学校に持って行く防災頭巾を準備!地震に備えて知っておきたいこととは?
自然災害の多い日本において、防災の意識は大事。HugKumデスクKの子どもたちが通う小学校でも、先日も防災の授業があり、保護者への引き渡し訓練があったばかりです。
北から南まで、日本全土で大小さまざまな地震が起きている中、家族で知っておきたいことはなんなのか、専門家に詳しく聞いてみました!
SDGsに詳しい専門家に直撃インタビュー
1月の能登半島地震で見えた課題や、災害に備えて私たち一人ひとりができることについて、持続可能な社会の実現に向けて社会に対して真の価値を生んでいきたいと考えている、株式会社シンカ代表取締役社長 CEO 町井 則雄さんに質問しました。
SDGsの目標11「住み続けられるまちづくりを」と密接に関わる地震災害
2024年は元旦に能登地震、その後もちょこちょこ小さめな地震があったりと、日本が地震大国なことをあらためて強く感じさせる1年になっていますね。
SDGsの目標11「住み続けられる町づくりを」に関連すると、「災害に強いまちづくり」をすることが求められているね。災害にもいろいろあるけれど日本はやはり「震災」が被害としては大規模だから備えも特に大切になるね。ただ「震災」と呼ばれるものでも、そこで起こっている課題というものはバラつきがあるんだ。例えば、1995年に起きた阪神淡路大震災は、「都市部で起こった大規模な災害」。あの頃はまだそういった災害が起きたときにどうするかの準備がなく、行政も、被災された方々も、みんな手探りで復旧と復興を目指していた。ボランティアの人達の存在がいかに重要なのかわかったことで、1995年は日本の「ボランティア元年」と呼ばれているよ。また、電話の有線ケーブルなどが破断したことで情報断絶という大きな課題が発生、この時にいちばん役立ったのが”携帯電話”だった。これを機に、携帯電話を通じての安否確認などが行われるようになったね。
私は当時小学生でしたけど、道路の断裂や火災など、テレビで目の当たりにして怖かった記憶があります。これが人口が少ないエリアだと、課題はまた変わるのでしょうか。
まさに。2004年の新潟県中越地震は、人口の少ない農村部で起きた災害で、アクセスが非常に悪く災害の規模を把握するのに時間がかかった。そういう点が1月の能登半島地震と少し似ているね。そして2011年の東日本大震災。日本の地震災害というものに対する認識が大きく変わるきっかけが生まれたわけだけど、それは巨大な津波による被害がいかに恐ろしいかを経験したことが大きい。津波に飲み込まれたときに現代の日本の町がどうなるか、というものが映像で記録された初めての地震なんだ。津波で生活における必要物資も何もかも流されてしまった、という点が火災の被害が大きかった阪神淡路大震災とは違っていたよ。あと、阪神のときは”携帯電話”で、東日本のときは”LINE”で情報収拾や安否確認ができた。このような通信網の広がりと活用の大切さも感じさせる震災となった。
そして1月の能登半島地震ですね。道路が寸断されて海側に行けなかったり、雪が降り始めて道路が覆われてしまったり…新潟県中越地震もそうですが、人口の少ないエリアでの災害にどう対応するのか、というのが今後の課題なのかなと。
そう、能登半島地震はそういう意味で、日本の未来を象徴するようなところが多々あるんだ。例えば、今後、日本は2050年までに9500万人くらいまで人口が減少すると予測されている。これは今の人口の3/4ほどになるということ。単純に言うと、今、人が住んでいる25%の地域からは人が居なくなるということだよね。つまり、人が住んでいない過疎地域というものがどんどん増えてくる。さらに過疎地域ほど高齢化が進む可能性が高いんだ。その地域をどう守っていくのか、そもそも守り続けていけるのか・・・。今後、日本中で私たちは決断を迫られることになるんだけど、その社会課題を能登の現状は20~30年先取りしている、とも言えるんだ。高齢者施設が避難所になったりもして、そこで働いている人はもう過労死レベルで働いていて。災害のあるなしに関わらず、将来的に今後増え続ける高齢者のケアという問題の深刻さが浮き彫りになった。
都市部でも山間部でも、それぞれの課題が浮き彫りになるんですね。HugKum読者の1人ひとりができることというのはなんでしょう?
HugKum読者のみなさんには、ぜひ「自分たちが住んでいるまちが今後どうなっていくのか」ということに目を向けてほしいんですね。住んでいるまちの自然や産業、人口、そしてインフラ。そこに住み続ける、移住する、またはいずれ地元にUターンするなどなど。子どもたちの未来にどんなまちを残していけるかは私たち大人の責任ですよね。そういうことを普段から考えてほしいんです。
子育てをしていると目の前のことだったり、1週間後の行事のことだったりで結構頭がいっぱいになりがちなんですけど、別視点で「10年、20年住み続けたら、このまちはどうなっているんだろう」ということを考えてみることが、まずは第一歩ですね。あともう一つ聞きたいのが、震災が起きた際、私たちにできることって何があるかなと。子どもがいるから気軽にボランティアには行けないし、能登半島地震の際もそれこそ募金とか寄付金を送るくらいしかできなくて…。
災害支援への関わり方はまず自分のできることをすることが大切。だからそれで十分だと思います。また、寄付金にもいくつか種類があって、大きく分けると災害発生時などに被災地に入って活動する団体などに活用される「支援金」と、お金の分配に時間はかかるけど被災者の生活の再建などに活用される「義援金」があるよ。どちらも被災者の支援に使われるありがたい寄付金だけど、目的や分配先などに違いがあるから自分たちはどのような寄付をしたいかによって選ぶのが良いよ。
あとは、子ども達はもちろん自分達が被災者になった時のことも考えておいてほしい。特に東京のような大都市はインフラが複雑に入り組んでいるから、震災で一気に破壊されたときのダメージは計り知れなくて、恐ろしいことになる可能性が高い。いつか、ではなくて今日にでもすぐ、連絡手段や待ち合わせ場所をしっかり話し合って、できれば避難訓練のようにシミュレーションしておくことをおすすめするよ。
自分の住むまちについて、今いちど関心を!
同じ地震災害でも、地域によって被害規模や課題はさまざま。自分の住んでいるまちの地形や特徴をしっかり学んでおくことが、自分の身を守ること、そして「11 住み続けられる町づくりを」に繋がっていくということと、町井さんから教わりました。