家でも学校でもかいてしまう、集中できない…つらい子どもの「アトピー性皮膚炎」、治療の選択肢が増えている!

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アトピー性皮膚炎の治療は塗り薬によるものが中心ですが、最近では、飲み薬や注射薬も登場しています。つらい症状をやわらげる毎日のケアの基本に加え、新しいタイプの治療法についても知っておきましょう。

勉強に集中できない、眠れない。薬の管理、子どものケア…親子共に日常生活で「かゆい」「しんどい」が負担に

アトピー性皮膚炎のつらさは、なんといってもかゆいこと。かゆみをガマンするのは難しいため、ついかいてしまって症状が悪化していく……という悪循環に陥ってしまうことが少なくありません。また、肌の赤みやカサつきが目立つ場合もあるため、子ども自身が見た目を気にすることも。中学生になる年頃までは毎日のスキンケアや薬の管理に大人のサポートが必要なことが多いため、保護者にも負担がかかります。

「かいちゃダメよ」と声をかけても、体温が上がるとどうしてもかゆくなる…/塾でのテスト中もかゆくて集中できない…

毎日、きちんと薬を塗っているのになかなかよくならないと、「もっとよい治療法はないのかな?」と気になってくるもの。最新の治療について、浜松医科大学医学部附属病院の本田哲也先生に教えていただきました。

そもそも子どものアトピー性皮膚炎とは?

HugKum「アトピー性皮膚炎」とはどんな病気で、何が原因で起こるものなのでしょう?

本田医師:肌には、外部の刺激から体を守る「バリア機能」があります。アトピー性皮膚炎は乾燥によって肌のバリア機能が低下し、アレルギーの原因となる物質が体内に入り込むために、かゆみのある湿疹ができやすくなる病気です。よくなったり悪くなったりしながら、くり返し症状が現れます。発症の原因は特定されていないのですが、肌が乾燥しやすい体質的な要素に加え、環境的な要素も関わっていると考えられています。

HugKum症状やそれに関連する悩み事に、子どもならではの特徴はありますか?

本田医師:症状の現れ方には個人差がありますが、小学生ぐらいの子どもの場合、赤みが強かったりジュクジュクしたりしている湿疹が多く見られます。肘の内側や膝の裏などこすれやすいところに症状が現れやすく、体の片側ではなく左右対称に見られることも特徴のひとつです。

ただし、子どもの皮膚トラブルにはさまざまなものがあるので、気になる症状が見られる場合は自己判断せず、皮膚科や小児科を受診しましょう。

つらいかゆみを防ぐにはどうしたらいい?

浜松医科大学医学部附属病院の本田哲也先生

HugKumアトピー性皮膚炎のお子さんをもつHugKum読者の中には、「かゆみが強そうなときは、ひっかき予防のためにガーゼや包帯を巻いている」という方も。ただし、室内が暖かいときなどは、汗をかくことでかえって悪化させるのでは……という心配もあるようなのですが?

本田医師肌をかかないようにするためには、よい方法だと思います。かゆい部位を覆うことで適度に保湿されますし、心理的な効果でかゆみを感じにくくなることもあります。汗の刺激でかゆみを感じることはありますが、汗そのものが症状を悪化させるわけではありません。汗をかいた後はシャワーで洗い流すなど、肌を清潔に保つようにすれば大丈夫です。

HugKumかゆみで集中できないという子に、「塾に行く際などに保冷剤をもたせている」という方もいます。かゆみを抑えるためには、冷やすことも有効なのでしょうか? 

本田医師:体が温まるとかゆみが増すので、冷やすことには効果はあると思いますが、保冷剤で冷やせるのは短時間ですよね。その場だけかゆみをやわらげるよりも、きちんと治療することを優先したほうがよいと思います。

HugKumアトピー性皮膚炎は、成長とともに治っていくこともあるのですか?

本田医師:アトピー性皮膚炎の場合、中学生ぐらいになると、薬を使わなくても症状が出ない状態(寛解)になるケースも少なくありません。ただし寛解するには、それまでに適切な治療やスキンケアを続けることで、どの程度、症状をコントロールすることができたかが、ある程度関わっていることがわかっています。生活に影響が出るような症状が長引いたり、そのためにつらい毎日を過ごすよりは、アトピー性皮膚炎の治療をきちんと行うことが大切なのです。

塗り薬だけじゃない。アトピー性皮膚炎の治療選択肢が増えている!

HugKum治療の中心は塗り薬だと思いますが、それ以外の選択肢も増えているのでしょうか?

本田医師:小学生にも使えるものとしては、飲み薬や注射があります。塗り薬(外用薬)によって治療する「外用療法」に対して、飲み薬や注射、紫外線を使う治療法は「全身療法」と呼ばれています。 

全身療法について説明する本田先生

HugKum全身療法には、どのような特徴があるのですか?

本田医師:全身療法のいちばんの特徴は、全身への効果が期待できることです。塗り薬のように「塗り忘れたところには効かない」といったことがないため、症状をコントロールしやすい点がメリットです。

現時点では、アトピー性皮膚炎の治療は、まず塗り薬から始まります。ただし、症状が広範囲に広がっていて日常的に薬を塗るのが難しかったり、薬の効果が現れにくかったりすることもあります。そういった場合に、治療の選択肢として全身療法を検討する、という流れになっています。

HugKumかかりつけの医師に、全身療法のことを相談してみてもよいのでしょうか? 

本田医師:全身療法を希望する場合は、かかりつけの医師に相談するとよいと思います。ただし、治療法の進歩はとても速いため、医師によって全身療法や薬選びに関する知識や経験に違いがあります。かかりつけのクリニックなどで十分な情報が得られない場合は、希望する治療が可能な病院への紹介を頼んでみるとよいでしょう。

子どもと一緒に! 塗り薬を使って行う「外用療法」のコツは?

HugKum毎日欠かせないのが、薬を塗ること。小学生ぐらいからは、自分で薬を塗ることも少しずつ教えていくことになると思います。塗り方の基本を教えてください。

本田医師:処方される塗り薬のタイプによって、塗り方も違ってきます。もっとも一般的なのが、皮膚の乾燥を防ぐ保湿剤と、炎症を抑える塗り薬(ステロイド外用薬など)を使うケースでしょうか。基本は、お風呂上りなどの清潔な肌に塗ること。ステロイド外用薬はすり込まず、肌の表面にのせるように塗ります

もっとも大切なのが、用量を守ることです。副作用を恐れて控えめに塗ってしまう人が少なくないのですが、症状をコントロールするためには、医師の指示に従って薬を使う必要があります。症状が強いときや子どもが幼い場合は、薬の量や塗る部位を保護者が確認しながらサポートしていくとよいでしょう。

保湿外用薬は指先でなく手のひらに多めにとり、身体のしわに沿って塗ると、きれいに広がります。

 親子ともに負担を少なく、自分たちに合う治療法が選べる時代に

アトピー性皮膚炎の治療法は、どんどん進歩しています。治療法の選択肢も増え、適切な治療を続ければ、薬なしでも快適に生活できる状態を維持することも可能になっています。医師と相談しながら、症状に合い、より負担の少ない治療法を選んでみてください。

  • 監修/浜松医科大学医学部附属病院

    本田哲也 | 皮膚科専門医・医学博士

    皮膚科専門医・医学博士。専門領域は皮膚科一般、皮膚アレルギー、アトピー性皮膚炎、乾癬。2000年に京都大学医学部を卒業、2007年に京都大学大学院医学系研究科で医学博士を取得、現在は浜松医科大学皮膚科学講座の教授に。日本皮膚科学会、日本皮膚免疫アレルギー学会の代議員、日本研究皮膚科学会、日本乾癬学会の理事などを務める。

    協力/日本イーライリリー株式会社(>>トップページはこちら

    取材・文/野口久美子 撮影/鈴木浩介(スズキコウスケ) イラスト/まいぽー 構成/HugKum編集部