乳幼児に、新型コロナウィルスの感染予防対策をさせることは至難の技ですよね。そこで、2020年8月 27日に更新された、日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会の資料を参考に、小児における新型コロナウイルスの感染予防や、乳幼児健診や予防接種などでの注意点をご紹介します。
乳幼児がマスクをしてくれない場合は、どうしたらいいの?
感染している人のくしゃみや咳に含まれる飛まつを直接浴びないという観点からは、マスクをすることの利点はあるかと思いますが、2歳以下の小さな子どもでは現実的ではないと思われます。
4-5歳になるとマスクの着用は可能ですが、個人差があるので、正しいつけ外し方は保護者の指導が必要です。
子どもの感染ルートは家庭内
子どもの患者の多くは、家庭内において保護者から感染していますので保護者の方が感染しないこと、感染した方から2メートル以上の距離を保つことが子どもの感染予防につながります。
手洗いや消毒も大事
ウイルスに汚染されたおもちゃや本などに触れた手で、口や鼻、目を触ることでも感染しますので、手洗いや消毒も大事です。
母乳はやめておいた方がいいの?
母親が感染している場合は、接触や咳を介して子どもに感染させるリスクがあります。母乳中からウイルス遺伝子が検出されたという報告はありますが、感染性のあるウイルスが母乳に分泌されるかどうかも不明であり、母乳の利点を考えれば母乳をやめておいた方がよいということはありません。
母親の病状や希望により以下の3つの方法が考えられます。
①授乳前の確実な手洗いと消毒、マスクを着用して直接授乳
②確実な手洗い、消毒後に搾乳をし、感染していない介護者による授乳
③(母乳の利点を説明した上で)人工栄養を選択する場合は人工乳を授乳
乳幼児健診や予防接種を遅らせたほうが良いの?
可能な限り予定通りの実施を。祖父母、兄弟の同伴は×。
乳幼児健診の目的は、年齢ごとに起こりやすい病気や問題を早めに見つけて治療などに結び付けることです。予防接種についても、感染症にかかる前に接種することが極めて重要です。
新型コロナウイルス感染症を予防するための対策も重要ですが、極端な制限によって予防できる他の重要な病気の危険性にさらされることを避ける必要があります。今後も数か月単位での流行が想定され、その間に乳幼児健診や予防接種を回避するデメリットは大きいと考えられます。
乳幼児健診やBCGなどの予防接種を集団で実施している市町村でも、地域の流行状況により柔軟に対応しているところもあります。保健所や保健センターに確認してください。
集団・個別に関係なく、一般的な感染症対策として、子どもや付き添いの保護者の方については、発熱や咳などの症状がないことを確認して受診ください。付き添いの方については手洗いを行ってマスクを着用してください。
また、可能な限り、下記も心がけてください。
・きょうだいや祖父母などの同伴を避けること
・健診や予防接種の会場や医療機関でオムツを替えないこと(新型コロナウイルスは糞便中に排泄される可能性が指摘されているため)
※本見解は現在の疫学情報、数少ない報告や、過去のコロナウイルス感染症を踏まえたものであることにご留意ください。また状況に応じて今後内容は更新する予定です。(更新:2020年8月 27日)
参考/公益社団法人 日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会
文・構成/HugKum編集部