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小学1~6年生の子どもをもつ12組にオンライン取材
新型コロナウイルス対策の休校措置がスタートして早2ヶ月。子どもを学童保育に預けていた筆者も、4月に入ってほぼ在宅となり小6男子との巣ごもり生活が始まりました。しかし、初心者ゆえに試行錯誤中です。みんなはどんなふうに過ごしている? うまくいったこと、うまくいかなかったことは? 小学1〜6年の子どもをもつ12人のママたちにオンラインで取材を行いました。
第3弾となる今回は気になる よそんちのお昼ごはん。給食がなくなって毎度のこと、悩みのタネです。
実は、この機に子どもにお昼ごはんの手伝いをさせちゃおう、という家庭が多いのです、ご紹介します。
勉強編・遊び編はこちら
登場する家庭
ヨウコさん/小5の男の子。中学生の姉2人。
アキさん/在宅ワーク。小1と小3の女の子。
アユさん/コロナ禍のために休業中。小4の女の子。中学生の兄と高校生の姉。
ユカさん/出勤する日もあり。小6の男の子。中学生の姉。
ナナさん/今週から在宅ワーク。小3の女の子。中学生の兄。
サトコさん/夫婦で在宅ワーク。小5の男の子。
筆者/夫婦で在宅ワーク。小6の男の子。
スイーツ作りをきっかけに休校中に「お料理女子」に変身
3回目は、長期休み定番の悩みの種「お昼ごはん問題」とお手伝いについて。
まずは、うらやましいケースから。
ごはん作りに上手に誘導
小5の男の子と中学生のお姉ちゃん2人がいるヨウコさん。この春、中学生になった下のお姉ちゃんが料理にめざめてしまったそう。
そもそものきっかけは、今年のバレンタインデー。お菓子作りをするようになって、チーズケーキ、牛乳ブリン、クッキー、マフィン…と作り続けた。
「クリームチーズとか高いじゃないですか。材料費がかかるなぁとは思っていたんですが、興味を持ったことなので続けさせたいと思っていました。でも、お菓子ばかりだと太ってしまうので、『ごはんを作らない?』と誘ってみたら、進んでキッチンに立つようになったんです。ひたすら毎日、料理をしています。私も一緒に料理ができて嬉しいし、とても助かっています。私はパパッと簡単に作ってしまいたいんですが、娘は分からないことがあると私の母に電話して、教わっています(苦笑)」
メキメキ腕を上げていて、すでに、1ヶ月分くらいのレパートリーがもっているとか。ちなみに、この日のお昼は野菜たっぷりのやきそば。「夜のメインは焼き鳥で、すでにタレに漬け込んでいて準備万端です」。
毎日ではなくとも、週に何回かの親子クッキングなら、すぐにでも取り入れられそうだ。
準備と片づけはママ。逆に時間はかかるが我慢
「週に2回は、お菓子も含めてですが、子どもとお料理するようにしています」と話すのは、小1と小3の姉妹がいるアキさん。1回目で、見事なスケジューリングを見せてくれた人だ。
「長期休暇中や週末はこれまでも、子どもにごはん作りを手伝ってもらっていました。特に、今のような長期の休みは3食準備するのが大変です。準備と片づけは私がやるので、逆に手間がかかる時もありますが、お姉ちゃんはひとりで完結できることもどんどん増えているので、来年あたりは任せられるんじゃないかと思います」
さすがアキさん!と思っていたら、間髪入れずに「子どもにも早く家事を覚えてもらいたいと思っているから。ラクしたいからです(笑)」と返ってきた。
巣ごもり期間は、巣立ちの準備期間と考える
4年生の女の子のいるアユさんも、「ふだんは忙しくて家事は自分でやっちゃったほうが早いので、あまり手伝ってもらうことはなかったんですが、こんなにたくさん時間ができたので、子どもたちが学ぶチャンスではないかと思っています」。中学生のお兄ちゃんと高校生のお姉ちゃんもいる。
そうなのだ。少しずつ家事は覚えさせたいのだけれど、ふだんは忙しくてそこまで手が回らない。親子が長く一緒に過ごす巣ごもり期間こそ、自立の練習期間になる。
写真絵本で「おにぎり」作り
絵本の読み聞かせやベビーマッサージのサークルなどを主宰するアユさん。きっと絵本をうまく取り入れているのではないかと思い、聞いてみた。
「おにぎりの絵本というと平山和子さんの『おにぎり』が定番ですが、最近、写真絵本が出たんです。料理家の高山なおみさんによる『おにぎりをつくる』です。お米を炊くところから始まるんですが、きっとおにぎりを作りたくなりますよ。握る強さによってはごはんがばらばらになってしまうことや、手にお塩をつけるとざらざらすることなど、やってみて初めて味わえる感覚ですよね」
『おにぎりをつくる』高山なおみ
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ネットでのぞいてみたら、ふっくら塩むすびの写真。おいしそう。これは作りたくなる。
「梅干しやおかか、こんぶ、好きなふりかけなんか用意して、セルフおにぎりバイキングも楽しいかも」と、アユさんからはさらなるアドバイスも。
なんと、粉から手作りうどんも!
アユさん宅の今晩のメニューはと聞いたら、手作りうどん。子どもたちと粉から作るそうだ。
男の子を台所に誘う方法もある
「お昼は自分で」という家庭はほかにもあった。6年生の男の子と中学生のお姉ちゃんがいるユカさん。今も週に何回かは出勤もしている。
家庭内バイト代方式で「昼は自分で」。男の子にGOOD!
「子どもたちには、自分の分は自分で準備してもらっています。息子は前の日のおかずの残りを温めたり、ごはんを炊いたり、冷凍食品のうどんを温めたり、という簡単なことですが。娘は、休校前から家庭内バイトという形で、ご飯の準備から片づけまでをしてくれていました。休校中の今は週に2、3回、本気の夕飯を作ってくれています。今晩は、私が帰宅したら豚の生姜焼きとサラダと卵スープが出てきました。だいぶバイト代を稼いでいます(笑)」
やはり中学生だが、バイト代方式の家庭がもう1軒。最近やっと在宅ワークになったナナさん。3年生の女の子と中学生のお兄ちゃんがいる。
「私が出勤の日は、お兄ちゃんにお昼ごはん作りと片付けを300円、掃除機とトイレ掃除を200円にして、お小遣い制でお願いしていました。気分によるので、やってくれない日もありましたけど」
サトコさん宅の5年生の男の子は、この自粛期間中によくお手伝いをするようになった。2回目で紹介した羽根打ち毎日200回のソフトボール少年だ。「ちょっと手伝って」と言うと、ゆでたり、あえたりをサッとやってくれるそうだ。うらやましい。
お手伝いを勉強時間にカウントするのも方法
我が家はと言うと、「お手伝いはしてほしいけど家事は自分でやったほうが早いから…」と思っていた派で、これまでお手伝いはほとんどしてもらっていなかった。朝のバッティング練習のついでに新聞を取りに行くのと、食べた後のお皿を下げるだけ。やらなさせすぎだったと反省。 巣ごもりが始まってからは「家庭科の勉強時間としてカウントするよ」と言って、しゅうまいを包んだり、食器洗い、洗濯物干し(ベランダに出すだけ)などをお願いしたりしているが、しぶしぶ感たっぷり。
幼児の頃は「パティシエになりたい」と言っていたこともあったのに。今となっては料理には全く興味を持たない男子になってしまった。料理男子にまではならなくとも、簡単なことはひと通りできるようになってほしい。アユさんを真似て、おにぎり作りもやってみたいが、まずは、何日か前にリクエストされていたチョコレートケーキから。甘い匂いに満たされて、料理男子のスイッチが入ってくれたらなぁ。
「食べたいと言ってたよね、手伝ってくれたら今日食べられるよ」。声をかけたら、小6男子が動き出した。
「お昼ごはん、何?」の呪縛からママが解放された「1週間分のメニュー会議」
蛇足だがもうひとつ。
お手伝いではうまく行っていない我が家だが、取り入れて大正解だったのは日曜日に1週間分のメニュー会議を開くようになったこと。朝食はもともと夫の担当だったので、夕食に昼食が加わっただけなのだが、それが苦痛で苦痛で。何がいやって、「お昼、何?」の言葉。2週目からは、メニューの選択肢を並べて、リクエストを聞きながら昼と夜を埋めてみた。すると、あら不思議。メニューを考えずにすむだけでこんなにラクだったなんて。イライラしないし、パパっと作れるようになった。
メニュー会議を開くようになって3週目に変化が。ほんの少しだが小6男子が好物メニューの手伝いをしてくれるようになってきた。
第4回目は家族で遊べるゲームについてレポートします!
取材・文/須藤みか
ノンフィクションライター。長く暮らした中国上海から大阪に拠点を移し、ライターとして活動中。現在は、「子どもと本」「学童保育」など子どもの育みをテーマにしたものや、「大阪」「在日中国人」「がん患者の就労」について取材中。東洋経済オンラインなどに執筆している。著書に『上海ジャパニーズ』(講談社+α文庫)他。2009年、『エンブリオロジスト 受精卵を育む人たち』で第16回小学館ノンフィクション大賞受賞。地元の図書館や小学校で読み聞かせやブックトークも行っている。JPIC読書アドバイザー。小学生男子の母。