断乳ケアは必要? 断乳スケジュールの立て方から、断乳前後や断乳中のおっぱいトラブル対処法まで【助産師監修】

離乳食が進んでくると、「そろそろ母乳をやめよう」「断乳しよう」と考えるママも多くなることでしょう。しかし、実際に断乳はどのように進めればよいのでしょうか。

本記事では、断乳とはどのようなものなのか、どのようなスケジュールで行えばいいのかを解説します。また、断乳を行うにあたって心配される「おっぱいのトラブル」とはどのようなものなのか、さらに、それらを予防するために行う断乳ケアの方法や対策についてもご紹介しましょう。

断乳と卒乳のちがい

断乳とは?
断乳とは?

授乳をやめる方法としては「断乳」と「卒乳」があります。これらはともに、赤ちゃんに母乳を与えるのをやめることをいいますが、断乳と卒乳には次のような違いがあります。

断乳

親の都合で授乳をやめること。

卒乳

子供の意思でおっぱいを欲しがらなくなること。

最近では、親の都合で授乳をやめる断乳ではなく、自然と赤ちゃんがおっぱいから離れる卒乳の方がよいという傾向もあります。しかし、赤ちゃんの離乳食が進まなかったり、赤ちゃんもママが夜の授乳でぐっすり眠れなかったり、ママの職場復帰などの理由で断乳を検討するママも多いようです。

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アンケートでママに聞きました! 断乳ケアはした?

断乳を進めるうえで、赤ちゃんのケアはもちろん、ママの体のケアも必要になります。断乳をするときには、どんなことに注意すればよいのでしょうか。また、どんなケアが必要なのでしょうか。そこでハグクムではママたちにアンケートを実施、断乳をするときに何らかのケアを行ったか否かを聞いてみました。

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断乳ケアを行った

アンケートによると、「断乳ケアをした」と回答したママは全体の22.6%でした。産院や母親学級で「乳腺炎防止のためにしたほうがいい」とアドバイスされ、それに従って実施したという回答が多く見受けられました。

・ふたり目が欲しくて断乳をしました。インターネットで調べながら、子供の気持ちも考えるように工夫しました。
・夜の授乳が続き、体力的に厳しくなったので断乳を決断しました。おっぱいをやめることを子供に何度も教えてから断乳を実行しました。断乳し始めはシコリができたので、自分で母乳を搾り出していました。
・職場復帰を考えたタイミングで断乳しました。断乳直後は、乳腺炎で胸がガチガチになり、発熱もしました。助産師さんにおっぱいマッサージをしてもらうなどして対処しました。その他、キャベツの葉を蒸したものを胸に当てたり、じゃがいもをすり下ろしたのをガーゼに包んで胸に当てたりしました。

断乳ケアを行わなかった

反対に、68.7%のママは断乳ケアをしなかったと回答しました。理由としては、「子供のお世話で自分のことにまで手が回らなかった」というものや、「やりたいけど何をすればいいかわからなかった」など、結果として断乳ケアを行わなかったというママが多かったようです。

・出産後すぐに仕事復帰。断乳前後のケアをしたかったが、仕事が忙しくそれどころではなかった。
・実家も義実家も遠方で、ママ友もおらず情報がありませんでした。日々の育児に追われ、断乳ケアの大切さをそのときは理解していなかったです。
・旦那も仕事が忙しく、基本ワンオペ育児でした。育児に精一杯で自分のことに気が回りませんでした。

断乳ケアが必要な理由

断乳ケアは、ママのおっぱいのトラブルを予防するために行います。断乳によって起こる可能性があるおっぱいトラブルには、どのようなものがあるのでしょうか?

張りや痛みで発熱

断乳を開始したからといって、すぐにおっぱいが作られなくなるわけではありません。今まで赤ちゃんが飲んでいた母乳がおっぱいに溜まると、張りや痛みで発熱してしまうことも。おっぱいが張って痛いときや発熱した場合は、冷やすことで母乳の分泌を抑え、痛みを和らげることができます。また、張ったおっぱいをマッサージしながら搾乳することも重要です。

しこりで抱っこがつらい

張りや痛みのあるおっぱいに、しこりができる場合もあります。しこりがあると赤ちゃんを抱っこするのもつらくなります。放置すると乳腺炎になってしまうことも。しこりが残っている箇所は、搾乳するときに指でやさしく押しながらマッサージしましょう。

乳腺炎防止のため

乳腺炎とは、母乳が溜まりすぎたりしておっぱいが炎症を起こした状態のことをいいます。また、細菌に感染しておっぱいが腫れたり、熱が出たりすることもあります。おっぱいの腫れや痛みが強くて我慢できない場合や、高熱をともなうときは、受診しましょう。

乳腺疾患につながる可能性も

長い期間おっぱいが張ったり、痛みやしこりがある場合は、乳腺炎以外の乳腺疾患の可能性も。乳頭から分泌物が出る、しこりが消えないなど、気になる症状がある場合は乳腺外科を受診しましょう。

断乳ケアを指導してくれる助産院もある

断乳に不安がある場合は、母乳育児外来を設けている助産院や産婦人科に相談するという方法もあります。助産院によっては、断乳後の母乳マッサージを行っているところもあるので、断乳前に調べておくことをおすすめします。

断乳ケアのスケジュールの立て方

断乳のスケジュールの立て方
断乳のスケジュールの立て方

断乳をすると決めてからのスケジュールは、どのように立てればよいのでしょうか。ここでは、赤ちゃんにもママにも無理のないよう、約1カ月間を目安とした具体的な断乳ケアの進め方をご紹介します。ただし、あくまでも目安と考え、体調や状況に合わせて調整してください。また、どうしたら良いかわからない場合は、助産師に相談しましょう。

断乳ケアのスケジュール例

断乳開始~3日目

断乳開始から3日目くらいまでは、おっぱいが張りやすくなります。おっぱいが張って痛いときは、搾乳を行いましょう。搾乳するときは、搾り切らないように少しずつ搾乳することが重要です。搾り切ってしまうと、ママの体は「また母乳を作らなきゃ!」となってしまうので、母乳の量が減りづらくなってしまうことも。

また、血行が良くなるとさらにおっぱいが張ってしまうので、張りがあるときのお風呂は湯船につからず、シャワーのみにするのがいいでしょう。

4日目~1週間

この頃になると、少しずつ母乳が作られる量が減ってくるので、おっぱいの硬くなった部分をマッサージしながらしっかり搾って問題ありません。おっぱいの状況に合わせて、2週間後、3週間後と間隔をあけてマッサージしながら、母乳がなくなるまで搾りきりましょう。

断乳開始から1ヶ月後

1ヶ月経つと母乳はほとんど出なくなってきます。乳房の張りや痛みを感じなくなったら、それで終了です。おっぱいの張りや痛みが続く場合は、助産院や産婦人科に相談しましょう。

断乳前のケア・対処法

断乳日は余裕をもって設定しましょう。そして、できれば1ヶ月くらい前から、断乳準備ケアを始めるのがおすすめです。

断乳前は、数日に1回ずつなど授乳回数を少しずつ減らす、日中は母乳以外のものも与えてみるなど、赤ちゃんにもママにも負担にならない回数で進めていきましょう。焦らず少しずつ進めることで、母乳が作られる量も徐々に抑えられるので、断乳後のおっぱいの張りを軽減することができます。

断乳中のケア・対処法

断乳中は、おっぱいに母乳が溜まりやすくなります。おっぱいをマッサージしながら、溜まった母乳を搾乳する圧抜きを行いましょう。

圧抜きの方法(母乳の搾り方)

一般的な圧抜きの方法(母乳の搾り方)を紹介します。おっぱいが張ったときはこの方法で搾乳を行いましょう。おっぱいの張りが少し楽になったなと思ったら、それで搾るのをやめましょう。搾りすぎるとまた母乳が作られてしまいます。

1、左右の手のひらでおっぱいを包み込むように添え、上下左右にゆっくりほぐします。
2、脇の下からおっぱい周辺をやさしくマッサージします。
3、おっぱいを包み込み、親指と人差し指の腹で搾ります。
4、反対側のおっぱいも同様に搾ります。

急な断乳は、おっぱいの中に母乳が溜まってしまい、張りや痛み、乳腺炎の原因になってしまいます。断乳準備ケアを行い、少しずつ授乳の回数を減らしていくのが理想的な断乳方法といえるでしょう。

バランスのいい食事を

授乳をしていないからといって、食べる量を極端に減らすことはやめましょう。育児には体力が必要ですし、ママが元気でいられないと、赤ちゃんが不安に感じてしまうことも。食べすぎもよくありませんが、過度なダイエットなどは行わず、赤ちゃんのためにもバランスのいい食事と規則正しい生活を心がけましょう。

下着や服装は締め付けすぎないものを

断乳中は、ワイヤーなどできつく締め付けない、しっかりとおっぱいを支えるブラジャーを着用しましょう。また、おっぱいに張りや痛みがある場合は、ブラジャーの中にタオルに包んだ保冷剤を入れて冷やすと痛みが和らぎます。ただし、冷やしすぎると逆効果になることもあるので、注意をしながら冷やしてみてください。

断乳中のトラブルケア

断乳中は、さまざまなおっぱいトラブルが発生することがあります。また、ママの気持ちが不安定になってしまうこともあるでしょう。ここでは、断乳中に起こり得るトラブルへの対処法をご紹介します。

おっぱいが痛い・腫れる

断乳すると、今まで赤ちゃんが飲んでいた母乳がおっぱいに溜まってしまいます。母乳が溜まると、おっぱいが張って痛くなり、腫れて眠れないなどのトラブルが起こる場合もあります。痛い・腫れる場合は、搾乳を行ったり、母乳の分泌を抑えるためにおっぱいを冷やすなどで対処しましょう。

おっぱいのしこり

しこりができてしまった場合は、マッサージが有効です。おっぱいを両手で包み込み、上下左右に揺らしたり、ほぐしたりしておっぱいをやわらかくしましょう。しこりが残っている箇所は、指で軽く押しながら搾るのも効果的です。自分でできない場合は、助産師に相談しましょう。

メンタル面

断乳は、赤ちゃんにとってもママにとっても不安なものです。授乳時間が少なくなったぶん、赤ちゃんに話しかける回数を増やしたり、スキンシップの時間を多く取るようにしましょう。断乳をさびしく感じてしまうママもいるかもしれませんが、断乳は赤ちゃんが成長するステップのひとつです。前向きにとらえ、十分に準備をして行いましょう。

断乳後のケア・対処法

断乳開始から1ヶ月~1ヶ月半過ぎると、母乳量も減少し、張りや痛みも落ち着いてきます。また、搾乳の必要もなくなってくるでしょう。おっぱいに乳腺炎などの問題がなく、赤ちゃんが授乳しない生活に慣れてきたら、断乳完了となります。

断乳が完了しても、気になることがある場合は、助産院や産婦人科などに相談しましょう。また、自分でも定期的におっぱいをチェックをしておくと安心です。

ママにとって大切な断乳ケア

断乳ケアが必要な理由や、断乳ケアのスケジュールの立て方、断乳前後のケア・対処法などをご紹介しました。断乳することで、おっぱいの張りや痛み、腫れ、乳腺炎などのトラブルを起こしてしまうこともあります。適切な断乳ケアを行い、トラブルを未然に防いで無理のない断乳を行いましょう。

記事監修

Kawai
助産師・看護師
河井恵美

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

エミリオット助産院

文・構成/HugKum編集部

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