通称「無認可保育園」には、認可保育園にはないメリットがあります。よりよい保育園を選びたいと考えるのであれば、無認可保育園も選択肢に入れてみるとよいでしょう。認可・無認可の違いや見学の際にチェックしたいポイントまで一挙に解説します。
無認可保育園ってどのようなところ?
子どもの保育園を探すようになると、保育園が「認可保育園」と「認可外保育園(無認可保育園)」に分かれていることに気付くでしょう。この二つが何を基準に区別されているのか解説します。
正式名称は「認可外保育施設」
「無認可保育園」は通称で、正式には「認可外保育施設」といいます。施設がある地域の都道府県知事によって、認可されているかいないかが大きな違いです。
無認可保育園を利用する場合、次のいずれかの施設から選ぶことになるでしょう。
- 事業所内保育施設
- ベビーホテル
- そのほかの認可外保育施設
「事業所内保育施設」とは、会社が雇用者の子どものために設置した施設のことです。子どもだけで宿泊できる、もしくは半数以上が常時預かりではなく一時預かりである施設は「ベビーホテル」と呼ばれます。
国の基準は満たしていない施設ですが、自治体の立入調査が定期的に行われます
都道府県知事が保育施設を認可する基準は、児童福祉法によって定められています。無認可保育園はこの基準を満たしていないか、何らかの理由で認可が下りていない施設です。
認可を受けるには、主に国が定めた保育士の数や室内の広さなどの基準を満たす必要があります。都市部にあるために施設面積の基準を満たしていないという場合もあり、設置基準を満たしていないから環境が悪いということではありません。運営状況の把握のために自治体の立入調査が定期的に行われます。
保育士の人数は次の数が基準です。
- 0歳児:園児3人につき1人以上
- 1~2歳児:園児6人につき1人以上
- 3歳児:園児20人につき1人以上
- 4歳児以上:園児30人につき1人以上
室内の広さは、0~1歳児では1人につき乳児室1.65平方m以上、ほふく室3.3平方m以上あることが求められます。2歳児以上では、1人につき保育室または遊技場1.98平方m以上、屋外遊技場または屋外遊技場に代わる広場3.3平方m以上があることです。
このほかにも、育児環境について細かな基準が設けられています。
認可外保育園の入園方法や特徴
次に、無認可保育園の「入園方法」について解説します。気になる「保育料」の目安も紹介するので、保育園選びの参考にしましょう。
入園基準は特になし
認可保育園と無認可保育園の大きな違いは「入園基準が設けられているか否か」にあるといえます。
認可保育園は、同居する家族の中に、子どもの面倒を見られる大人がいない場合のみ預けることが可能です。一方、無認可保育園では公的に定められた基準がないため、さまざまな場面で利用しやすいでしょう。
また、申し込み先が異なる点も特徴です。認可保育園は自治体に、無認可保育園は園に直接申し込みを行います。保育に欠けるかどうか自治体が判断する必要がないため、無認可保育園は入園申し込みの手続きが簡単に済みます。
保育料は各園が独自に設定
無認可保育園の保育料は、園によって大きく異なります。また、子どもの年齢によって料金を設定している場合もあるため、いくらかかるのか園に確認する必要があるでしょう。
目安としては、1カ月に5~7万円ほどです。とはいえ、都市部の保育園では10万円を超える高額な保育料が設定されている場合もあります。
なお、認可保育園は世帯収入によって自治体が保育料を定めているのが一般的です。そのため、世帯収入によっては無認可保育園に預けるよりも高額な保育料を支払うこともあるでしょう。
無償化の対象になる場合
2019年10月より、幼児教育・保育の無償化制度がスタートしました。認可保育園に限らず、無認可保育園に預けられている子どもも対象となります。
無償化の対象となるのは、住民税非課税世帯の0~2歳児および就学前の3~5歳児です。なお、0~2歳児は4万2000円まで、3~5歳児は3万7000円までという上限があります。
自治体により「保育の必要性がある」と認められることが条件で、補助されるのは保育料に関する部分のみです。食材や行事などにかかる金額は含まれないので注意しましょう。
出典:認可外保育施設を 利用している方へ 10月から 幼児教育・保育の無償化がスタートします|厚生労働省
休日や深夜に対応している園もある
無認可保育園は、預かり時間について比較的柔軟に対応してくれます。そのため、定期的に休日や深夜保育が必要な場合、無認可保育園の方が探しやすいでしょう。
認可保育園の保育時間は、一般的に7時半~18時半となっています。それ以降は30分ごとに追加の保育料がかかり、ほとんどの施設は20時半までのお迎えが必要です。
一方、無認可保育園の延長保育は22時半ごろまで預けられる園もあり、ベビーホテルなどでは24時間保育にも対応してもらえます。
認可保育園の中にも、休日や夜間保育に対応している施設はありますが、限られているため探すのが大変かもしれません。
無認可の保育園で気になることは?
保育園を選ぶとき、第1条件として「安全性」が挙げられるのではないでしょうか。ここでは、無認可保育園の安全性とメリットについて解説します。
園の安全性
無認可保育園は、国の基準に照らしての認可は受けていませんが「認可外保育施設に対する指導監督基準」に基づいた調査が各自治体によって行われることになっています。
保育士の数や、1人あたりに必要な乳児室の広さなどの環境については、認可保育園に求められるものとほとんど変わりありません。また、保育士資格のない従事者が保育士と名乗ることも禁止されています。
つまり、無認可保育園といっても安全性の面において必ずしも認可保育園に劣るわけではないのです。
出典:認可外保育施設に対する指導監督の実施について|厚生労働省
預けるメリット
無認可保育園の選び方によっては、数多くのメリットが得られます。
- 入園基準は園が定める
- 保育時間の融通が利きやすい
- 駅に近い場所や商業施設でも見つけられる
- 自由な保育内容
認可保育園は、すでに保護者が長時間就労している家庭が優先されるため、これから仕事を探す場合には不利になります。しかし、無認可保育園であれば就労状況を入園基準としないところも見つかるでしょう。
園それぞれで教育方針が異なるため、子どもに合った環境を選べるのもポイントです。個性を伸ばすために、学習やスポーツに力を入れている無認可保育園を選ぶ家庭も少なくありません。
保育園を選ぶ際のポイント
無認可保育園は、認可保育園に比べて園での過ごし方に多様性があるのが特徴です。そこで、園を選ぶときのポイントを三つ紹介します。
園の教育内容を確認
まずは「教育内容」をしっかりと確認しておきましょう。無認可保育園の中には、専門的なカリキュラムを取り入れている施設も多く見られます。
外国人講師との高いレベルでのコミュニケーションスキルを付けることを目的としていたり、音感やリズム感を養えるレッスンが開講されていたりと、教育方針は園によってさまざまです。
また、子どもの自由な発想力を伸ばすために、あえて伸び伸びとした保育をする施設もあるでしょう。就学前にどのような教育を与えたいのか、前もってよく考えておくことが大切です。
遊具や園庭などの設備をチェック
見学に行ったときに見ておきたいのが「設備や環境」です。主に次の三つについてよく確認しておきましょう。
- 採光や照明
- 掃除が行き届いているか
- 遊具の種類と安全性
まず、十分に採光できる大きな窓や明るい照明は欠かせません。お昼寝の時間でもないのに室内が薄暗い場合、いつもその状態だと考えてよいでしょう。
また、衛生面についてもしっかりと把握しておきましょう。多くの子どもが集まる保育園は、風邪などに感染するリスクの高い場所です。室内やトイレ、備品などが清潔に保たれているかチェックしましょう。
遊具については、新しい・古いなどではなく「危険はないか」「さまざまな遊びが経験できるか」といった確認が大切です。
保育士や園児の様子を見学する
園がどのような環境で運営されているかは「保育士や園児の様子」から感じ取れます。見学に行ったら、次のような点に注目してみましょう。
- 園長先生の人柄
- 保育士の表情
- 園児の様子
園長先生の人柄を知るには、質問をしてみるのが一番です。例えば、「食が細いのですが大丈夫でしょうか」などの相談に対し、どれだけ親身に対応してくれるかという面で判断してみてはいかがでしょうか。
実際に預けてからは、担任の保育士から園での様子を聞いたり、育児相談をしたりすることになります。子どもに対して笑顔で接している保育士が多いかどうかもチェックしたい点です。
もちろん、子どもたちが楽しく過ごせているかも見ておきましょう。笑ったり泣いたり生き生きとした表情を見せていれば安心です。
園の特徴を知って入園を検討しよう
無認可保育園は、国の基準を満たしていないため認可されていませんが、定められた監督基準に基づいた指導を受けています。大きな違いは、入園基準や申し込み方法、保育料です。
どのような教育方針を取っているか、子どもがどのような雰囲気で過ごしているのかは園によって異なります。入園申し込みをする前に見学に行って、子どもに合う保育園かどうかを確認しておくとよいでしょう。
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文・構成/HugKum編集部