保育園での離乳食はどう進める?初めての食材やチェック表の役割、持参について解説

こんにちは!離乳食インストラクターの中田馨です。保育園に入園すると、昼は保育園で給食がスタートし、赤ちゃんは給食で離乳食を食べます。これまで母乳やミルクだけだった赤ちゃんが、どのように離乳食を取り入れていくのか?など、保育園での離乳食の進め方などを話します。

保育園での離乳食、その役割は?

保育園では、保育所における食育に関する指針の「楽しく食べる子に」というスローガンのもと、給食を提供しています。赤ちゃんは一日の大半を保育所で過ごしています。13回の食事と12回のおやつのうち、1回の食事と12回のおやつを保育園で食べるということは、給食の意味合いが大きいと言えます。食べると栄養を摂れるので身体の成長につながります。でも、食べることは身体の栄養だけではなく、友達や先生と一緒に食べる心の栄養にもなるのです。先生たちは「食べるって楽しいな!」と思える子どもに育ってほしいという思いをもっています。

保育園の離乳食の進め方

離乳食を進めるときに目安になるのが「月齢」を基本とした離乳食の4つの時期ですが、保育所では月齢や時期だけでなく、その子の発達や体調面、家庭での離乳食の進み具合などを考慮しながら、ひとりひとりに合わせて離乳食を進めていきます。

保育園で離乳食を始めるのはいつから?

実は、これは保育園によって違います。例えば、離乳食の最初のひとさじ目から保育園がしてくれる場合もありますし、家庭で2回食を順調に食べられるようになってくる離乳食中期(7カ月~8カ月)からスタートの園もあります。私の保育園では、離乳食初期の1回食の間は、まず家庭で始めてもらいます。それなりに順調に進み、2カ月目ごろの2回食になった時から保育所での離乳食を開始します。

離乳食初期の進め方

離乳食初期は、最初の1カ月は11回食です。初日は10倍つぶしかゆをスプーンひとさじから始め、12カ月かけて3040g程度に徐々に増やします。1週間たったら湯がいて裏ごしすると滑らかになりやすい玉ねぎやかぼちゃなどの野菜をひとさじずつ食べ最終的に1520gまで増やします。1カ月たったら12回食になります。豆腐や白身魚、固ゆでした卵黄も食べられるようになります。豆腐の目安量は25g 魚は5gです。多くの保育所では、この離乳食初期から給食スタートです。

離乳食中期の進め方

離乳食中期は、12回食です。おかゆは5080gを目安にし、7倍かゆ~5倍かゆが食べられるようになります。野菜は2030gまで増やし、少し繊維のあるレタス、オクラ、きゅうりなどにもチャレンジできるようになります。豆腐は3040g。魚はマグロなどの赤身の魚、肉は鶏ささみ、鶏むね肉にチャレンジし、それぞれ1015gくらいまで増やします。

離乳食後期の進め方

離乳食後期になると、離乳食は13回になります。おかゆは5倍かゆなら90g、徐々に軟飯も食べられるようになり80gを目安に進めていきます。野菜は3040gを目安にします。さやいんげんやもやし、きのこ類なども取り入れることができます。豆腐は45g、魚はサンマ、イワシ、アジなどの青背の魚、肉は鶏もも肉、牛赤身肉、豚赤身肉にもチャレンジ。量の目安は15gです。

離乳食のチェック表とは?

保育園に入園したら離乳食のチェック表をもらいます。

離乳食のチェック表の役割

このチェック表を書いてもらう理由は、家庭で食べたことがない食材は保育園で提供できないのが基本のため行っています。保育園で、食物アレルギーなどの身体の異変が起きないように、食べて身体に変化がなかった食べ物から順に給食に取り入れていくのです。チェック表をチェックして、献立を見てまだ食べたことがない食材が献立にある場合は、当日までにその食材23回食べてきてもらいます。また、当日までに食べられなかった場合は保育士に伝え、その食材を除去してもらうようにしましょう。

記入時の注意点

1つの食材は2回以上試してからチェックを入れる
・チェック時に、チェックを入れなかった食材は、食べたら保育士に伝える
・アレルギーのある食材は、分かりやすくチェックを入れる

などのことに注意してチェック表に記入するようにしましょう。

初めての食材はどうなる?

前にも上げているように、離乳食期は初めての食材を保育園で与えることはありません。しかし、1歳6ヶ月を過ぎ幼児食期になると、アレルギーのある食物以外は全ての食材を提供する保育園が多いので、未食の食材は、計画的に家庭で食材を食べておくようにしましょう。

離乳食の持参や持ち込みはできる?

基本的には離乳食は保育園で用意する

保育園で給食を提供している場合は、家庭から保育園へ離乳食の持参はできないところが多いでしょう。基本、離乳食は保育園が用意します。何故かというと、1つは、衛生面への配慮です。また、保育園では多くの子どもがいます。1人にOKを出せば、他の人にもOKを出さなければいけなくなります。そうすると保育以外で先生たちの負担が増えます。ただ、アレルギーなど事情がある場合は、園に相談すれば持参OKとなるケースもあります。

離乳食を持参するときの注意点

離乳食の持参OKになった場合は、以下に配慮しましょう。

・衛生面を考え離乳食を作る
・子どもの発達に合わせた離乳食を作る
・作り置きしたものではなく朝作る
・家庭で食べたことのない食材を入れない

園に、持参した離乳食を保管する場所があるかも確認しておきましょう。

保育園の離乳食の献立例

離乳食の時期別に、保育園で食べる給食のメニュー例をご紹介します。

【離乳食初期】 保育園で初めての給食メニュー

たんぱく質にまだチャレンジしていない子もいるため、最初はおかゆと野菜の離乳食にチャレンジ!見た目の彩りも考えます。

10倍かゆ 3040g
・ゆでブロッコリーのペースト

ブロッコリー10gを茹でて裏ごしする

・にんじんと玉ねぎのスープ

にんじん、玉ねぎ各5gを、昆布だし200mlで煮て、裏ごしする。

【離乳食中期】保育園での給食にも慣れてきたメニュー

7倍かゆ 5080g
・豆腐とニラのとろみスープ

みじん切りにした豆腐15g、ニラ3g、すりおろした玉ねぎ15gをかつお昆布だし100mlで煮る。水溶き片栗粉小さじ1でとろみをつける。

・鶏ささみのポテトサラダ

乱切りしたじゃがいも20g、にんじん10gを湯がく。鶏ささみ5gもあとから入れてゆがく。すり鉢で鶏ささみを細かくすりつぶしたら、じゃがいもとにんじんも加え、少し粒が残る程度につぶす。

【離乳食完了期】手づかみで食べるカンタンおやつ

・さつまいもとりんごの茶巾

さつまいも 40g りんご10gの皮をむいて大きめに切り、蒸し器に入れて蒸す。細かくつぶして滑らかにして、ラップに包んで茶巾にする。

離乳食を食べない赤ちゃんはどうすれば?対処法はある?

赤ちゃんが離乳食を食べてくれなくて、思うように進められないこともありますね。そんなときに見直したい時期別の対処法をご紹介します。

【離乳食初期】とろみ加減を確認

食材を裏ごししたときに、かぼちゃやじゃがいもなどは、水分が少なく裏ごししただけではトロトロにならない食材があります。食べないときは、赤ちゃんが食べやすい、トロトロのヨーグルト状になっているか確認してみましょう。

【離乳食中期】舌触りを確認

食材が裏ごしからみじん切りに変わるため、舌触りが気になって食べないことがあります。その場合は、食べない食材を以下の3つの方法のいずれかで対応してみましょう。

・裏ごしに戻す
・裏ごし半分、みじん切り半分を混ぜ合わせてみる
・水溶き片栗粉などでとろみをつけてみる

【離乳食後期】遊び食べ

手づかみ食べが始まると、遊び食べもスタートです。手でグチャグチャ触るだけ触って口に入らない。なんてこともあります。真剣な表情でグチャグチャしているということは、食べ物に興味がある証し。とはいえ、食べてほしいのが親心です。ですので「手づかみしていい器とママが食べさせる器に分ける」作戦で行きましょう。赤ちゃんに今食べる全ての離乳食を目の前に与えていませんか?赤ちゃんが触って良い離乳食の量を決め、横からママが食べさせるスタイルに変えてみましょう。

保育園の離乳食に関する体験談

HugKumでは、0~2歳のお子さんをもつママやパパに保育園での離乳食に関する体験談をアンケートリサーチしました。みなさんの声をご紹介します。

ママパパの体験談

「働きながらの初めての食材チェックをするのはすごく大変だった」(30代・静岡県・子ども2人)
「保育園で出る食材を先に家で試さないといけないのが大変」(40代・千葉県・子ども2人)
「中期で好きだったものが後期で嫌いになるなど、気分や好き嫌いが難しく、自分の調理が下手なのかと落ち込んだ」(20代・青森県・子ども1人)
「新しい食材をどんどん試す」(30代・和歌山県・子ども2人)
「葉野菜は味付けを食べやすくした」(30代・愛知県・子ども2人)

保育園からもらう離乳食のチェック表をもとにした食材チェックが大変だった、働きながら進めることが大変だったとの声が聞こえてきます。また、離乳食が進むごとに好き嫌いや食べムラがでてきて自分を責めてしまった方もいるようです。

 

離乳食の進め方に悩んだときは、保育士さんに相談したり、保育園でよく食べるメニューを聞いてマネしてみたりしてください。身近に相談できる先生がいることは、心強いことですよ!

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記事監修

中田馨|離乳食インストラクター

一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。

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