もしかして赤ちゃんかえり? 原因や年齢別の行動、対処法や注意点まで解説【助産師監修】

下の子が生まれると、上の子が赤ちゃんのように甘えてきたり、はたまた反抗してきたりで、「困った…」というママも多いのではないでしょうか。子供が赤ちゃんのような振る舞いをする「赤ちゃんかえり」とは、どんな行動を指すのでしょうか。

この記事では、赤ちゃんかえりとはどのようなものなのか、また、その原因を解説します。さらに、「もしかして赤ちゃんかえり?」と思われる子供の行動や、赤ちゃんかえりをしている子供への対処法や注意点などもご紹介します。

赤ちゃんかえりとは?

赤ちゃんかえりとは?
赤ちゃんかえりとは?

「赤ちゃんかえり」とは、ひとりで服を着ていた子供が急にママに着替えさせてもらおうとしたり、食事を食べさせてもらいたがるなど、赤ちゃんに戻ったような振る舞いを見せることをいいます。子供によって赤ちゃんかえりのパターンはさまざまですが、以下のような変化が多く見られるようです。

・ママを独占しようとする
・スキンシップを強く求める
・食事など、自分でできることをやってほしいと他人に頼む
・よく泣くようになる
・すぐ怒る、かんしゃくを起こす
・言うことを聞かなくなる
・おねしょをする
・下の子をいじめたり、邪魔扱いする

赤ちゃんかえりの原因

赤ちゃんかえりは、弟や妹が生まれたばかりの上の子に起こりやすいといわれていますが、その原因にはどのようなことが考えられるのでしょうか。

ママの妊娠や、弟・妹が生まれたとき

赤ちゃんかえりの原因で最も多いといわれているのは、ママの妊娠や、弟や妹が生まれたときです。

ママが妊娠をしたり、下の子が生まれると、今までママパパの愛情を独り占めしてきた子供は、「自分に対する両親の愛情が減ってしまうのではないか」と不安になります。ママパパの気持ちだけでなく、体や心までも新しく生まれる赤ちゃんに取られてしまうのではと思い、「パパママに自分をかまってほしい」と赤ちゃんかえりの行動につながります。

注目や関心を取り戻したい

これまで、ママパパはもちろん、おじいちゃん・おばあちゃんなど、周囲の大人の注目を一身に浴びていたのに、下の子が生まれた途端に、大人たちが小さな赤ちゃんばかりをかわいがるようになったと感じてしまうことがあります。自分に向けられていた関心が失われたのではないかと思い、大人の関心を取り戻すために赤ちゃんのような行動を取ることもあります。

環境が変わったとき

環境の変化も、赤ちゃんかえりの原因のひとつとされています。幼稚園や保育園への入学や引っ越しなどでも、子供は環境の変化を敏感に感じ、不安な気持ちから赤ちゃんかえりをすることがあります。

この行動、もしかして赤ちゃんかえり?

赤ちゃんかえりの行動には、どんなものがあるのでしょうか。赤ちゃんかえりの特徴について、年齢別にご紹介します。

1歳児の赤ちゃんかえりの特徴

睡眠時間が安定し始めていたはずの1歳児でも、赤ちゃんかえりをすると睡眠に変化が起こることがあります。スムーズに寝なくなったり、寝かしつけに時間がかかったり、夜泣きやおねしょをすることも。また、今まで以上にスキンシップをとりたがったり、おっぱいを欲しがることもあります。

2~3歳児の赤ちゃんかえりの特徴

自己主張の強くなる2~3歳児に下の子が生まれると、イヤイヤ期と赤ちゃんかえりが一緒になって大変なことがあります。反抗的な態度をとったり、「イヤイヤ!」など身勝手な言動が目立つようになります。物を投げたり、叩くなどの乱暴な行動を取ることもあります。またできていたことをしなくなり、やってほしいと甘えてくることもあります。わがままに育ってしまうのではないかと心配になるママパパもいるかもしれません。

4~5歳児の赤ちゃんかえりの特徴

赤ちゃんかえりをすると、保育園や幼稚園に行きたがらなくなってしまったり、着替えや食事など自分でできるようになっていたことでも、ママパパに手伝ってもらわないとできなくなってしまうこともあります。さらに、甘えるのはパパや他の大人にではなく、ママでないとダメ、という子供も多くいるようです。

赤ちゃんかえりをしない子の特徴

赤ちゃんかえりとは、言い換えると、子供が気持ちをストレートに表現している行為ともいえます。赤ちゃんかえりをしない子の場合、甘えられずに我慢していることもあるので注意が必要です。

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赤ちゃんかえりの対処法

赤ちゃんかえりの対処法
赤ちゃんかえりの対処法

ママパパの中には、子供の赤ちゃんかえりにイライラしたりストレスを感じる人もいるかもしれません。では、赤ちゃんかえりに対してどのように対処すればよいのでしょうか。

子供を怒らない

赤ちゃんかえりでわがままを言ったり、以前はできていたことを「できない」と言うのは、ママパパを困らせようとしているわけではありません。「自分をかまってほしい」という気持ちでそのような行動を取ってしまうので、それを理解せずに怒ってしまうのはいい方法ではありません。

また、「お兄ちゃんでしょ」「お姉ちゃんでしょ」と我慢させるのは逆効果です。なぜそのような態度を取ってしまうのか、怒る前に子供の気持ちを受け止めてあげることが重要です。

スキンシップを積極的に増やす

ママパパからスキンシップを積極的にとることで、子供は愛情をしっかり感じることができます。「抱っこしてあげたいな」「手をつなごう」などといって触れ合うと、子供は大切にされている幸せを感じ、親子の絆を深めることができます。下の子が寝たあとなど、子供とのスキンシップの時間を積極的に増やしましょう。

上の子を優先する

下の子が生まれるとお世話が忙しくなって、ついついそれを優先してしまいます。

「今忙しいからあとでね」「ちょっと待っててね」と言い続けると、上の子の赤ちゃんかえりがエスカレートしてしまうことも。1日1回でいいので上の子だけを優先したり、5分でも10分でもいいので上の子供とふたりで過ごしたりする時間を作ってあげることも大切です。

ママが妊娠中の場合は?

ママが妊娠中の場合、ママひとりで対応しきれない場合もあります。パパやおじいちゃん・おばあちゃんに上の子のお世話を頼んだり、ベビーシッターや地域のファミリーサポートを利用したりする方法を検討するのもいいでしょう。赤ちゃんかえりでママしかダメな場合もあるかもしれませんが、積極的に周りの人に協力してもらいましょう。

赤ちゃんかえりを「気持ち悪い」と感じてしまったら?

赤ちゃんかえりとわかっていても、ストレスが溜まってイライラしたり、「気持ちが悪い」と感じてしまうママもいるかもしれません。子供はママのイライラを敏感に感じ取ります。少しでもママがリラックスできる時間を作って、パパや家族に協力してもらいながら、気持ちをリフレッシュするように心がけましょう。

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赤ちゃんかえりをしている子への注意点

赤ちゃんかえりをしている子に接する場合、ママパパや周囲の大人はどんなことに注意すればよいのでしょうか。赤ちゃんかえりをしている子へ接するときの注意点を考えてみましょう。

「お兄ちゃん・お姉ちゃんでしょ」と突き放さない

「お兄ちゃんでしょ」「お姉ちゃんなんだから」などと突き放すのは逆効果です。赤ちゃんかえりは、新しく弟や妹ができて、その環境の変化をうまく受け入れられないことを表した行動なのだと理解して、寄り添ってあげることが重要です。

「◯歳なんだから頑張って! 」と無理強いしない

赤ちゃんかえりをすると「もう◯歳でしょ?」と言ってしまいがちですが、それは控えましょう。赤ちゃんかえりの子供とは、実際の年齢より幼いと思って接してみてください。子供は気持ちが満たされれば、赤ちゃんのような行動は自然としなくなります。無理強いせず、その子自身の成長を見てあげましょう。

「ごめんね」と素直に謝る

下の子のお世話に追われていると「時間も気持ちも余裕がない!」と思ってしまうママも多いのではないでしょうか。そんななかで、上の子に「あとでね!」と強く言ってしまい、罪悪感を感じることも…。

下の子のお世話が落ちついたら、上の子を抱きしめて「ごめんね」と素直に謝ることが大切です。また、スキンシップを取りながら、「〇〇ちゃんが大好き」「〇〇くんが大切」などとわかりやすい言葉で愛情を伝えてあげると、子どもは素直にその言葉を受け取ってくれます。

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赤ちゃんかえりを上手に乗り切ろう

子供の赤ちゃんかえりは、ママパパにとって悩ましいことかもしれません。また、赤ちゃんかえりの子供に接するのはパワーが必要です。しかし子供の不安感に寄り添うことで、その子の心の成長を促すことができます。

赤ちゃんかえりをひとりで対応するのは大変なことです。パパや周囲の大人、ベビーシッター、地域ファミリーサポートなどを上手に利用しながら、子供の赤ちゃんかえりにやさしく接していきましょう。

記事監修

Kawai
助産師・看護師
河井恵美

看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。

エミリオット助産院

文・構成/HugKum編集部

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