2020年に必修化となったプログラミング教育。小学生の子どもをもつママ・パパは、「そもそもプログラミングって何?」「プログラミングによって何が学べるの?」「プログラミング学習で子どもたちにどういう変化があるの?」「なぜ小学校でプログラミング教育が必修化になったの?」という疑問をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
◆「そもそもプログラミングって何?」はこちらの記事で解説しています。
プログラミング教育が必修化された背景
まず、プログラミングが必修化になった背景を簡単に紹介します。実際に提示された小学校の新学習指導要領では、次の2つの学習活動が定められています。
ア. 児童がコンピュータで文字を入力するなどの学習の基盤として必要となる情報手段の基本的な操作を習得するための学習活動
イ. 児童がプログラミングを体験しながら、コンピュータに意図した処理を行わせるために必要な論理的思考力を身に付けるための学習活動
参考資料はこちら
もう少し簡単に言い換えると、アは、日常的にパソコンを使用するために必要なタイピングなど、コンピュータの基本的な操作・活用スキルのこと。イは、コンピュータはどうすると動くのかという論理的な思考力を身につけることです。
つまり、コンピュータを上手に活用すること、またその過程を通して課題を解決する能力を育むという教育の狙いがあるのです。
準備が順調とは言えない状況
2020年度のプログラミング教育必修化のスタートにむけて全国の小学校で準備万端!と期待したいところですが、実態はそうではないことがわかりました。
指導体制の整い具合に差がある
2020年1月9日、文部科学省は教育委員会を対象とした、小学校プログラミング教育の準備に関する調査の令和元年度の結果を、「令和元年度 市町村教育委員会における小学校プログラミング教育に関する取組状況等の調査の結果について」で公表しています。
都道府県別の集計結果をみると指導体制の整い具合は様々です。最も比率の高いところでは、調査時に既に100%との回答ですが、最も低い島根県では73.7%となっています。研修や模擬授業の実施や、その実施の予定もない、という回答の教育委員会もありました。現在のコロナ禍の影響もあり、授業への実装は更に遅れているかもしれません。
課題はICT支援員の不足
指導体制の準備が整っていない教育委員会では、どのようなことが原因で準備が進まなかったのでしょうか? 2017年に文部科学省が行った「教育委員会等における小学校プログラミング教育に関する取組状況等について」(平成30年度)から探ってみたいと思います。
プログラミング教育の実施に関する課題として得られた回答では、「ICT支援員の不足」を80.6%が挙げています。また、「そもそも何から手を付けたらよいのかわからない 」41%、「どのような支援が必要かわからない」47.1%と、プログラミング教育への理解不足も比率が高い状況でした。プログラミング教育への理解や指導方法を、先生方が一朝一夕に身につけられるとは考え難いですから、「わからない」という課題は今もあると推測できます。
先取り!全国の小学校の授業例をみらいいが再現してみました
ここまで文部科学省がプログラミング教育を必修化した目的や、学校の準備状況を紹介してきましたが、ここで一番気になるのは“実際にどんな授業が行われるのか”ということですよね。学校で行われるプログラミングの授業には教科書がまだ存在しておらず、各学校によって行われる内容が変わります。
しかし、それでは先生たちも不安が多いので、「未来の学びコンソーシアム」という組織が運営する「プログラミング教育ポータル」というサイトの中で全国の小学校で過去に実践された授業の事例が紹介をされています。この事例を参考に、「みらいいチャンネル」ではライブ配信で、実際にどのような授業が行われるのかシュミレーションしてみました!
【社会×プログラミング】ブロックを組み合わせて47都道府県を見つけよう
これは社会科の授業にプログラミングを取り入れた内容になっています。都道府県の特徴が書かれているブロックを上から積み重ねると、該当する都道府県が答えとして出てくるようになっています。
名産品や有名な催事などから選択できるので、ゲーム性を用いながら都道府県を覚えられる素敵なアプローチですね。
◆「みらいいチャンネル」の授業の再現動画はこちら↓
※使用した教材の情報はこちら
【総合×プログラミング】AI ×スクラッチでどんなことができるかな
こちらは総合の教科にプログラミングを取り入れたものです。総合は範囲が幅広いですが、今回はAIを身近に感じてもらうということで「画像認識」の技術を使ったプログラムを紹介します。
今の子どもたちが大人になる頃にはもっと技術が進んでいるので、こういうものに触れる機会はぜひ作ってあげたいですね。
◆「みらいいチャンネル」の授業の再現動画はこちら↓
※使用した教材の情報はこちら
【算数×プログラミング】正多角形をプログラムを使って描こう
こちらは総合の教科にプログラミングを取り入れたものです。この授業の中で「図形」について、種類や角度などをプログラミングを使って学んでいきます。
学校では黒板で学び、図形を描くのも定規でノートに描くというのが一般的ですが、この授業のように、ネコが動きながら図形を作るというレクリエーションの要素が入ったもののほうが子どもは楽しめるかもしれませんね!
◆「みらいいチャンネル」の授業の再現動画はこちら↓
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既存の教科×プログラミングの新しい学習を楽しもう
今回はプログラミング教育必修化がスタートしてから、実際に行われた授業の内容を参考例として紹介しました。プログラミングを取り入れた授業は楽しそうだと思いませんか。
学校によって内容はさまざまですが、プログラミングを学ぶことだけが目的ではなく、既存の教科の学習をより楽しく、新しい形で学ぶためにプログラミングを使う、という方針でスタートした今回のプログラミング教育の必修化。ぜひお子さんにどんな風に授業が行われているのか、話を聞いてみてください。
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記事監修
「いいなぁ、みらい」をコンセプトに、子どもたちのみらいを切りひらくための機会を提供。webメディア「みらいい」やYouTube「みらいいチャンネル」を中心とした先端教育に関する情報発信や成功体験を得るプロジェクトを推進。プログラミング教育やSTEM教育、SDGsに関する情報格差の解消を目指します。