お年玉の由来と歴史
お正月には家族や親戚から子どもたちがお年玉をもらう習慣がありますが、そもそもお年玉にはどんな由来や歴史があるのでしょうか?
由来
お年玉の由来は、「年神(歳神)様の賜物(たまもの)」。年神様(としがみさま)とは、元旦に各家庭に降りてくる神様のことで、その年神様からいただくものが「お年玉」という言葉に変化していったと言われています。
また「年神様の魂」が「お年玉」の由来になったとする考えもあります。
歴史
昔は、年神様に餅を供える風習があり、この餅をくだいて家族や使用人などに分けていました。これが現代では、お正月に訪れた家族や親戚、友人の子供などに「お年玉」を渡す習慣として変化していったと考えられています。
現金を直接わたす人が増えてきたのは、高度経済成長期だった昭和30年頃のことです。
子ども向けに簡単に説明すると?
現金をもらうお年玉について、子どもにその理由を説明しておきたいもの。
「昔はお正月に神様が降りてきて、みんなが幸せに暮らせますようにと祈っていたの。それと同じようにお年玉には、1年元気に過ごせますようにという願いが込められているんだよ」などと、わかりやすく説明してあげましょう。
海外にもお年玉ってあるの?
中国でもお正月に大人から子どもにお金を贈ります。これは「圧歳銭(あっさいせん)」と呼ばれるもので、子どもを祟りから守る意味があるのだそう。
またベトナムや台湾にも赤い袋に現金を入れて贈る習慣があり、主にアジアでお年玉と同じような習慣があります。それぞれ、お金を贈ることには意味があり、子どもや家族を守ったり新年を祝ったりするために古くから続けられているものです。
お年玉をあげる・もらうのは何歳から何歳まで?
小さい子どもの頃は何も考えずにお年玉を受け取っていたかもしれませんが、大きくなってくるといつまでお年玉をもらってもいいのか、何歳になったらお年玉をあげるべきなのか、気になるところではないでしょうか。
お年玉は誰に、どこまであげる?
お年玉をあげるのは、「直接会う親戚の子どもには全員」と考えている方が多いよう。兄妹や親せきの数が多い家庭では、なかなか痛い出費になるかもしれませんが、直接会ったときに渡すケースが多いのかもしれません。また自分の子どもにはあげないと考える親も多いようです。
お年玉をあげる・もらうのにふさわしい日にちは?
お年玉の由来となっている年神様が降りてくるのは元旦です。ですからお年玉をあげるのにふさわしいのは、元旦でしょう。
でも1月1日に親戚と会うとは限りませんし、いつまでに行わなければならないといったルールもありません。一般にお正月期間中といわれる松の内(1月1日~7日)なら、お年玉をあげたりもらったりしても問題ありません。
お年玉は何歳まであげる・もらうべき?
お年玉をあげるのは、子どもが高校生を卒業する頃までと考える方が多いよう。大学生になれば、自分でアルバイトしてお金を稼ぐ機会もあるでしょう。ただお年玉をいつまであげるかということは、その子どもや親との関係性にもよります。
お年玉の金額の相場は?
お年玉をあげる側からすると、いくら包むべきか金額が悩みどころ。ここでは相手別に一般的な相場をご紹介しましょう。
赤ちゃん・孫
まだ赤ちゃんならお年玉は500円や1000円程度がおおよその目安。おもちゃやお菓子を買える程度の金額なら、あげるほうの負担が少なく済みます。
孫に贈る場合は、相手によって金額に差があるかもしれませんが、数千円程度が目安ではないでしょうか。
甥・いとこ・親戚
いとこや親戚になると、少し関係が離れます。いとこなどの場合は、だいたい2000円~3000円前後にしている方が多いでしょう。贈る相手の年齢が高いならもう少し上乗せして、低いなら少なくするなど調整してもいいかもしれません。
小学生・中学生・高校生・大学生
年齢別では、小学生なら数千円程度、中学生や高校生は5000円、大学生は1万円が一般的。多くても1万円以下だと、贈る側の負担が軽減されます。もしきょうだいがいる場合は、年齢によって数千円程度差をつけるケースもあるようです。
金額の決め方
結婚式のご祝儀は、「2つに別れる=縁起が悪い」という考えから偶数の金額は避けるのがマナーです。でもお年玉の場合はそのような考えはありませんので、偶数でも奇数の金額でもどちらでも問題ないでしょう。
ただし「4」や「9」の数字は、日本ではネガティブなことを想像させる数のため、4000円や9000円の金額は避けたほうがいいでしょう。
▼こちらの関連記事も
お年玉にも贈与税がかかるって知ってた?
贈与税は、誰かから現金などの財産をもらった場合に生じる税金のこと。贈る側が「あげる」という意思を示し、受け取る側が「もらう」意思を示しているなら、一般的に贈与税の対象ということになります。
110万円以上だと贈与税の対象になる
1年間にもらった金額の合計額が110万円を超える場合、もらった側が贈与税の申告を行わなければなりません。
お年玉の金額が110万円になることは一般的にはないと思いますが、お年玉以外に贈与したものがあり合計額が110万円以上になるなら、納税の申告が必要となります。
贈与税がかからないお年玉のあげ方
では贈与税がかからないようにお年玉をあげるには、どうしたらいいでしょうか?
あげ方1:お年玉は相場の金額にする
国税庁のウェブサイトに、「年末年始の贈答・祝物などの金品で、社会通念上相当と認められるものは、贈与税の対象外になる」と記載されています。一般的なお年玉の金額の範囲なら、この社会通念上相当にあたり、贈与税の対象外になるということでしょう。
あげ方2:生活費や教育費としてあげる
生活費や教育費に必要なお金を贈与された場合は、贈与税の対象になりません。ですから、もし一般的なお年玉の相場よりもずっと高額を渡すなら、生活費や教育費として使うといいかもしれません。
あげ方3:年末と年始にわけて贈る
贈与税は、毎年1月1日から12月31日までの期間にもらった合計金額をもとに計算します。ですから、もし高額のお年玉をあげるのなら、12月中と1月にわけて渡すという方法もあります。
お年玉の入れ方
お年玉はポチ袋に入れて渡すのが一般的。そして袋には、相手の名前と自分の名前を書き、お札は折って入れます。お札の正しい折り方や向き、金額などの詳細については、こちらの記事を参考にしてください。
▼関連記事はこちら
お年玉のあげかた・金額は各家庭ごとのルールで
お年玉に贈与税がかかることについては驚いた方もいることでしょう。ただし常識的な金額であればその心配はありません。
本来は新しい年の多幸を願ってやりとりされたお年玉。もらったお年玉をどう使うかといったことも含め、家庭ごとに新年に向けての思いや、お金に関するルールについて話しあってみるとよいのではないでしょうか。
こちらの記事もおすすめ
文・構成/HugKum編集部