イカはなぜ「一ぱい」「二はい」と数えるの? 【知って得する日本語ウンチク塾】

足を外したイカの胴が「杯(さかずき)」の形だから「1杯、2杯」と数えるようになった

 

「1ぱい」などの「ぱい」は、前にある数字によって「ぱい」「はい」「ばい」と読み方が変わりますが、もともとは「はい」と読みます。漢字で書くと「杯」です。

この「杯」という漢字は、酒を入れるうつわの意味ですが、うつわに入れた水などの液体やご飯などを数えるときにも使います。

これをイカを数えるときに使うのは、胴体の部分がうつわのように見えるからなんです。はらわたを抜いたイカの胴を乾燥させてとっくりの形にしたものを「烏賊徳利(いかどっくり)」と言いますが、そのように加工しなくても確かにうつわのように見えます。

カニ、アワビ、タコを、数える単位も「はい」

ところで、「はい」を使って数えるものはイカの他にもあるということをご存じですか?カニ、アワビ、タコなどがそうです。カニは甲羅の部分が、アワビは貝がらの部分がうつわのようだからです。

でも、タコはどうして「はい」なんでしょう。タコはイカに似ているかららしいのですが、タコの胴体がうつわのように見えるかというと、ちょっと想像力が要りそうです。

もちろんイカもそうですが、ぜったいにこれらを「はい」を使って数えなければいけないということではありません。お店によっていろいろな数え方をしていると思います。

 

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記事執筆

神永 暁|辞書編集者、エッセイスト

辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。

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