医師免許取得への道のり|医者が活躍できる意外な場所もご紹介【子どもと将来を考える】

医者になるためには医師免許が必要です。免許の取得は決して簡単ではありませんが、一度取得すれば資格を生かしてさまざまな働き方が選べます。医師免許を取得するまでの道のりや、医者として活躍できる意外な場所を紹介します。

医師免許取得までのステップ

医師免許を取得して医者になるまでには、三つのステップがあります。それぞれ具体的に見ていきましょう。

1.大学の医学部に進学する

医者を目指す人は、まず大学の医学部に進学しなくてはなりません。「医学部卒業」の事実または見込みがなければ、医師免許取得のための国家試験を受けられないからです。

医学部は一般的な学部に比べて入るのが難しく、高い学力を求められます。授業料が高い上に最低でも6年間は通うため、お金もかかります。

医者を目指す本人はもちろん、親もしっかりと覚悟を決め、塾選びや学費の準備を早くから行うようにしましょう。

2.医師国家試験に合格する

国内大学の医学部を卒業できた人は、年に1度実施される「医師国家試験」を受験します。

試験日程は2日間で、実施時期は例年2月上旬から中旬です。全国の会場で一斉に実施され、およそ1カ月後の3月中旬頃に合否が分かります。

国家試験の受験者は医学部の難しい卒業試験をクリアしていることから、合格率は約90%と高めです。

なお、外国の医学校を卒業した人や、外国の医師免許保持者が日本の医師国家試験を受けるためには、別途受験資格を得る必要があります。

出典:医師国家試験の施行について|厚生労働省 
医師国家試験受験資格認定について|厚生労働省

3.資格取得後に臨床研修を受ける

医師免許を取得しても、すぐに医者になれるわけではありません。医師国家試験合格者には、2年以上の臨床研修が法律で義務付けられています。

研修先は、大学附属病院または厚生労働大臣の指定する病院と決められています。

実際はこの研修を受けた後、さらに数年間にわたり、専門医になるための後期研修を受けるケースがほとんどです。

必要な研修が終われば、ようやく医者としてのスタートラインに立てます。

出典:医師臨床研修制度のホームページ |厚生労働省

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医師免許を持つとできること

ひと口に医者と言っても、さまざまな診療科があります。医師免許を取ると、どの範囲まで診療できるのでしょうか。医師免許取得者ができることを見ていきましょう。

ほぼすべての診療科で診療行為が可能

日本では診療科ごとの免許は必要ありません。医師免許を持っていれば、内科・外科・皮膚科などほぼすべての診療科から、自分の専門を自由に決められます。

ただし麻酔科医を名乗る場合のみ、別途専門の資格が必要です。また医師免許を取得しても、歯科医にはなれません。

麻酔科・歯科は専門資格が必要

麻酔科医

麻酔科医を名乗るときは、規定の麻酔科研修を受けてから厚生労働省に「麻酔科標榜医」の申請をします。

申請が通れば麻酔を扱えるようになりますが、「麻酔科専門医」となるためには、さらに研修を経て試験に合格しなくてはなりません。

歯科医

また、医者と歯科医はまったく違う資格です。歯科医になりたい人は大学の歯学部を卒業し、「歯科医師国家試験」を受ける必要があります。

そもそもスタート地点が異なるため、どちらになりたいかはあらかじめ決めておきます。

出典:麻酔科標榜に係る手続案内
歯科医師国家試験の施行について|厚生労働省

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医師の他にはどんな就職先がある?

医師免許を取得した人のほとんどは、病院で診療の仕事に就きます。しかし中には、企業や官公庁に就職する人もいます。医師免許を生かせる就職先を見ていきましょう。

企業や研究機関にも活躍の場が

病院以外の場所でも、医者を必要とする職場はたくさんあります。

製薬会社で薬の開発・試験に携わる「メディカルドクター」や、大学の研究機関で病気の治療法を探る「研究医」などは、医学の発展に貢献できる、やりがいのある仕事です。

医療分野専門のジャーナリストとしてマスコミで活動したり、大学の講師になったりする人も少なくありません。

また、所定の研修を受ければ、労働者の健康を管理する「産業医」として働けるようになります。

亡くなった人の死因を特定し、事件・事故の調査に役立てる「法医学者」も、医師免許を持つ人にしかできない重要な仕事です。

公務員としても働ける

公務員の中にも、医師免許が必要な職種がいくつかあります。

一つは厚生労働省所属の「医系技官」です。医系技官とは、日本の医療政策に関わる国家公務員を指し、医師免許または歯科医師免許を持った人だけが採用試験を受けられます。

その他には、保健所の所長や各自治体の医療行政担当者、公的研究機関の研究者などがあります。

公務員として採用されるためには法律など医療とは異なるジャンルの勉強が必要ですが、労働環境のよさや仕事のやりがいに魅力を感じ、病院勤務から転職する人も多いようです。

出典:医系技官とは | 厚生労働省 医系技官採用情報

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医師免許は就職先の幅が広い

医師免許を取得するまでの道のりは、決して楽なものではありません。医学部に進学できても卒業試験と資格試験をパスしなければならず、さらにその先には長い研修生活が待っています。

しかし頑張った分だけ、恵まれた職場で働ける可能性も広がります。病院で患者の診察・治療にあたれるのはもちろん、研究開発から政策の立案、住民の健康管理まで、自分に合った働き方が選択可能です。

医師免許は就職先の幅が広い、未来へのパスポートといえるでしょう。

構成/Hugkum編集部

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