【わらびの保存方法】冷蔵や冷凍の仕方、あく抜きや下処理を名人に訊いてみた!

わらびの基礎知識

春の山菜は種類豊富ですが、他の山菜が終りかけた頃にやっと出荷されるのが“わらび”。地域によって異なるようですが、4月から6月くらいが最盛期だといわれています。独特のぬめりが特徴で、よく山菜おこわや蕎麦などに入れて親しまれていますよね。山菜の中でもアクが強く、生のまま食べると中毒症状を起こすといわれているので、きちんとしたあく抜きは必須条件です。

今回は、正しいあく抜きの方法と保存の仕方を“わらび名人”に聞いてみました。

わらびのアク抜き方法

わらび名人こと、東北在住の節子さん(88歳)は、昔ながらの方法であく抜きをしている、わらび大好きおばあちゃまです。早速、わらびのあく抜き方法を伺うと灰を使うとか。なかなか灰の入手は難しいと伝えると、重曹であく抜きをする秘策を教えてくれました。

それは、“ゆでない”あく抜き法! ゆでずにあく抜きができるなんて…正直、驚きです。早速、試してみましたので、ご覧ください。

まず、食用の重曹を用意します。

鍋に洗ったわらびを入れます(本当は、曲がらないほうがいいらしいです…)。

重曹を小さじ1程度、パラパラと振りかけていきます。

わらび全体に雪がうっすらと積もるように重曹を散らしたら、熱湯をかけます。

熱湯をかけると、すぐにわらびの緑色が溶け出す様子が分かります。

わらびが浮いてこないように、お皿などをかぶして一晩おく。コレだけ!

朝になったら、湯は深い緑色に変色していました。

アクが抜けたかどうかは、味見をするのが一番だとか。8時間ほど経った後に確認してみましたが、まだ少しえぐみがあったため、再び放置。結果、10時間以上そのまま置いてアクが完全に抜けたようでした。

節子おばあちゃま曰く、「わらびは重曹を入れてグラグラとゆでたら絶対にダメ!  食感が一番、大切だからね」とのこと。食べてみると分かるのですが、本当にサクッとした食感が残ったまま!  ゆでずに熱湯をかけた理由がよく分かって感動的です。やはり熟練の技は別格です。

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わらびの保存方法

次に、わらびの保存方法についても聞いてみたので情報をシェアしますね。すぐにマネできない保存法もありましたが(笑)。大量のわらびと広い敷地があれば、できる方もいるはず!

というわけで、節子おばあちゃまの保存法を端折らずにお伝えしていきます。

わらびを常温で保存

わらびは、すぐに茎の部分が硬くなってしまうので常温保存は避けたほうがよいそう。入手できたら、すぐにあく抜きをして保存をするのが鉄則とか。前出の重曹+熱湯のあく抜き方法は簡単なので、わらびを手に入れたら即あく抜きをするのがおすすめです。

わらびを冷蔵で保存

冷蔵保存するためには、下準備が必要です。あく抜きをしたら、まずは流水で洗いましょう。

よく洗ったら、わらびの先端は食べられない部分とのことなのでなので除きます。

節子おばあちゃまに聞いた通り、指でつまんで軽くスーッと引っ張ると簡単にとることができました。

2つの工程を経たら、冷蔵保存の下準備オッケー!

保存容器にわらびを入れて、ひたひたに水を注げば冷蔵庫で保存できます。

わらびを冷凍で保存

冷凍保存の下準備は、冷蔵保存と同じです。あく抜きをした後は、よく水洗いして先端部分をすべて除くこと。

冷凍保存の場合は、食べやすい長さに切ったらラップで小分けに包みます。冷凍用保存袋に入れたら完了です。

わらびを塩漬けで保存

わらびが大量に手に入ったら試して欲しい保存法がこちら。わらびを塩漬けにする方法です。塩漬けにする場合は、あく抜きをせずに生のまま塩漬けにしていくそうです。

大きな漬物用の樽と、漬物用のポリ袋を用意。生のわらびは、ビニール紐などで小分けに束ねて準備します。

樽の底に塩を敷き、次にわらび、その上に塩という具合に重ねていきます。わらびと塩が何層かのミルフィーユ状になったら、最後に重石をのせます。

塩漬けは、生のままのわらびを使うため、3か月以上おかないとあくは抜けないとか。食べる時は、きちんと塩抜きをしてから青菜のない冬の時季に大切にいただくとのこと。まさに暮らしの知恵ですよね。

わらびを乾燥させて保存

わらびを乾燥させる方法も節子おばあちゃまに聞きましたが、これはもう達人技(笑)。

生のわらびを軽く塩ゆでしたら、水けを切ってはじめます。天気のいい日にゴザを広げて、一面にわらびを散らして天日で乾燥させます。これからが、かなり難しい…。

時々、わらびを手の平でゴザに押しつけるようにして繊維を壊しながら柔らかくしていく「揉みこみ」という作業を数回に渡ってするのだとか(天日で干しているだけでは、筋張って硬く乾燥されてしまうそうです)。

最後は、少しずつわらびを手に取り分け、両手を使って団子を丸めるようにまとめていくとか。この方法は、わらびだけではなくゼンマイも同じ乾燥法ということでした。

わらびの保存期間

下処理前のわらびの保存期間

あくを抜いていない生のわらびは、保存がきかないので半日程度です。できるだけ、早めにあく抜きの作業をしましょう。

下処理済みのわらびの保存期間

あく抜き後に下処理をしたわらびは、冷蔵で2~3日保存可能。水は毎日取り換えましょう。

また、小分け冷凍にしたわらびは、1か月程度は保存できます。

塩漬けしたわらびの保存期間

塩漬けしたわらびは、1年ほど保存ができます。

食べる時の塩抜き方法も節子おばあちゃまに伺ったのでお伝えしておきますね。鍋に塩漬けしたわらびを入れたら水からひと煮立ちさせてすぐに火を止めます(煮過ぎると柔らくなってしまうため、プクプクしてから2~3分程度で火を止めること)。

何度か水を取り替えたら、水をはったボウルで一晩おきます。

1本食べてみて、ほんのり塩気が残る程度まで抜けたら塩抜きの出来上がり! その状態になれば、すぐお料理に使えるそうです。

コツをつかめば、わらびのお惣菜は手軽でかんたん!

さて、あく抜きに成功したので、節子おばあちゃまにわらびの食べ方を聞いてみました。

「油揚げやこんにゃくと一緒に油で炒めて醤油で味付けするだけで美味しいよ」と、いたってシンプル!

醤油だけで味付けできるほど、筆者の腕に自信がなかったため…白醤油でズルをしました(笑)。それでも、熱湯であく抜きをしたお陰でシャキシャキのわらびが楽しめましたよ~。この食感は、もはや革命的かも!

これからの時季、わらびを見つけたら試してみてくださいね♪

 

撮影・文/川越光笑(たべごとライター・栄養士)

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