子どもに落ち着きがない原因はなぜ?親ができる正しい理解と対処法

「うちの子ってなんでこんなに落ち着きがないんだろう?」「こんなに集中力がないのはうちの子だけ?」子育てをする日々の生活の中で、そう感じているママパパは少なくないようです。

そこで今回は、0~12歳のお子さんを持つママパパに「落ち着きがない子供」について調査。落ち着きがない子供に対する正しい理解と年齢別の対処法を探っていきます。

落ち着きがない子が心配…どうすれば?

兄弟姉妹と比べてこの子だけ落ち着きのなさが目立つ、なにをやっても集中力が全くないなどといった子育ての悩みは、多くのママパパが抱えているよう。子供は落ち着きがないのが当たり前とはわかっていても、その程度には個人差があり、心配になることも。

まずは、0~12歳のお子さんを持つママパパにこれまでの子育ての中で「子供に落ち着きがない」と感じたことがあるか伺ってみました。どれくらの割合のママパパがお子さんの落ち着きのなさを感じているのでしょうか。

「子供に落ち着きがない」と感じたことはありますか?

今回のアンケート結果では、43%のママパパが「落ち着きがないと感じたことがある」と答えました。さらに、37%はときどき落ち着きがないと感じていると回答し、「ない」との回答は20%にとどまりました。約80%のママパパは子育てをしていて何かしら子供が落ち着きがないと感じたことがあるようですね。

子どもの落ち着きのなさを感じたママパパの体験談

では、どのような日常の場面で落ち着きがないと感じたのでしょうか。ママパパの体験談を伺ってみました。

常に感じているとの声も目立つなか、食事や勉強の時など、ひとつのことに集中することができないとの回答が多くみられました。子供が3歳の時、もしくは幼稚園に入ってから特に落ち着きのなさを感じていたという回答も多くみられました。

「7歳の現在、常にせわしなく動いている。」(40代・東京都・子ども3人)
「現在2歳であるが、落ち着きなく、常に動いており、買い物に行っても暴れ回る。」(30代・千葉県・子ども1人)
「勉強に集中できない、でかけ先でおちつかなく、そわそわしてることが多い」(40代・北海道・子ども1人)
「幼稚園に入って以降ずっと、一つのことを集中してできない。勉強、テレビ、遊び等すべて。」(40代・広島県・子ども1人)
「幼稚園の時に急に走り出して、自転車や車と接触しそうに何度もなった。」(40代・兵庫県・子ども2人)
「学芸会の鑑賞時、娘の落ち着きのなさを感じた」(40代・東京都・子ども1人)

落ち着きがない子に考えられる理由は?

では、子供に落ち着きがないのはなぜなのでしょうか。考えられる理由をみていきましょう。

個性

恥ずかしがりやだったり、ひとり遊びが好き、マイペースな性格などといったのと一緒で、落ち着きがないこともその子の性格の一部で個性である場合も。幼少期は特に落ち着きのなさを感じるママパパも多く、成長のスピードにも個人差があります。何かに興味をもっている子供の意欲を大切にすることも必要なようですね。

心も身体もまだ発達段階

大人とは違って子供の心と身体はまだまだ発達段階です。好奇心も旺盛な幼少期は、今やりたい事を我慢するということは子供にとって簡単なことではありません。落ち着きがない行動がみられるのは発達段階のひとつのステップでもあります。学校生活が始まると規律を守ることや友人との関わりも増え、徐々に落ち着いてくる子もおり、成長のひとつとして見守ってあげることも大切ですね。

不安

不安が強まると、落ち着きなく見えることがあります。例えば、不安を感じる人や場所からは急に逃げ出してしまったり、そわそわして急に姿勢を崩して寝そべってしまったりすることもあるでしょう。もともと繊細で敏感なお子さんは、不安を多くの場面で感じていて、落ち着きがない印象を与えるかもしれませんね。

ADHDの特徴

落ち着きのなさが気になり始めると、発達障がいの疑いを心配するママパパも少なくありません。発達障がいを正しく理解し、心配な場合は医師に相談するようにしましょう。

ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder(注意欠如/多動症)は発達障がいのひとつで、不注意、多動・衝動性といった症状がみられます。

不注意の主な特徴としては、「ケアレスミスが多い」「集中を続けることが難しい」「話しかけられてもぼんやりして聞いていないように見える」「順序だてて計画を立てることが難しい」「最後まで課題をやり遂げることが難しい」「忘れ物や失くし物が多い」などがあります。

多動性、衝動性の主な特徴としては、「じっとしていない」「手足をそわそわ動かしていることが多い」「しゃべりすぎる」「順番が待てない」「衝動的に行動することが多い」、「思いついたことを、そのまま話してしまう」などがあります。

ASDの特徴

落ち着きのなさが目立つお子さんの中には、ADHDだけではなく、ASDAutism Spectrum Disorder(自閉スペクトラム症)のお子さんもいます。

ASDも発達障がいの1つで、社会的なコミュニケーションの苦手さや、こだわり・感覚過敏といった症状がみられます。

ASDのお子さんの場合、「好きな遊びには長時間集中しているが、興味のないことには集中が続かない」「いつもバタバタしているわけではないが、周囲の状況にかまわずふらふらと自分のペースで行動している」といった落ち着きのなさであることが多いです。また、幼少期には言葉の遅れが目立つこともあります。

ADHDやASDといった発達障がいは、症状が幼少時から持続していて、学校や家庭、職場などで生活上何らかの支障を来たしていることが診断の前提となっています。

ただし、年齢や成長によってそれぞれの症状が治まってきたり、あるいは目立つようになったりする傾向もあるようです。症状がみられる、もしくは不安と感じる場合は、専門の医師に相談するようにしましょう。

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落ち着きがない子への接し方

落ち着きがない子にどのように接していいのかわからない…。まずは今までの子供への接し方を振り返り、親子の関係性を見直してみましょう。

一方的に叱らない

常に時間に追われている忙しい子育てでは、時にイライラしてしまい、一方的に叱ってしまう事もありますよね。しかし、親の考えを一方的に主張しても子供はうまく理解ができないことがあります。自分の気持ちを十分に表現できる年代のお子さんであれば、子どもの気持ちを聞きながら、なぜ今それをしてはいけないのかをていねいに説明する方法もあるでしょう。

ただ、たとえ理解できたとしても、自分で自分の行動をコントロールできないこともあります。自分でコントロールできない場合は、叱られても直すことができず、何度も同じことを繰り返し、さらに叱られてしまいます。その結果、反抗的になってしまったり、望ましくない行動が増えてしまうこともあります。叱るよりも、少しでもできた行動を褒める方が、子どもの望ましい行動は増えていきます。

子供の気持ちの切り替えのサポート

ご飯の時は歩き回らず座って食べる、ここでは走ってはいけないなどという大人にとって当たり前であることや社会生活での決まり事は、子供にとっては当たり前ではありません。それぞれの状況で子供が落ち着きがない理由を探ってみて、子供の気持ちを切り替えられるようにママパパがうまくサポートしてあげることが上手な対応のカギです。例えば、ご飯中に落ち着きがない様子であれば、子どもが興味をそそられるおもちゃや物が目に入る場所で食べるのではなく、刺激の少ない小さめの部屋で食事を取ったり、視界をさえぎる仕切りをして食べるようにするのも一つの方法です。

落ち着きがない子の年齢別の対処法

では、落ち着きがない子に対してどのように対応していいのでしょうか。子供の成長段階に合わせた対処法を心がけることで、ママパパも子供の成長を発見し、子供の気持ちへの理解も深まるはず。子供が落ち着きがないときの対応方法をもう一度振り返って考えてみましょう。

1歳~2歳

一般的に2歳頃までは落ち着きがないのが当たり前ともいわれており、子供の意欲を見守ることも必要な時期です。ママパパも初めての子育てで、ついつい周りの子供と比べてしまい「できない」ことが気になってしまいがちな場合も。子供たちはママパパが喜ぶことで意欲がわく時期でもあります。「できる」ようになったことに焦点をあてて、ひとつひとつの小さな成長を喜ぶことも忘れずにしましょう。心配な場合は、乳幼児健診で相談してみるのもいいでしょう。

3歳~5歳

好奇心旺盛で自分の主張も強くなってくる年頃。まだまだ心も身体も発達段階であり、自分のやりたい事を「我慢する力」は、この年頃から徐々に育まれるといわれています。きちんと子供の意見を聞いてあげ、「○○ちゃんが、今~したい気持ちはわかるよ。」などと同調してあげるだけでも子供は落ち着いて話を聞いてくれるようになることも。自分の感情や行動をまだうまくコントロールができない子供に対して、ママパパが子供の気持ちを切り替えてあげられるように環境を整える工夫をしてみましょう。

小学校低学年~

小学生になると幼稚園で育んだ集団生活に加えて社会性もさらに身についてくる時期。お友達との関わりが増え、自分の持ち物の管理や時間を見ながらの行動が少しずつ身についてきます。宿題が出るようになり、お家での勉強時間に集中力がないのがみえてくる時期であります。今回のアンケート結果でも、小学生のお子さんを持つ家庭で勉強するときの集中力に問題意識をもった回答が目立ちました。集中力がなく、10分で終わる宿題をダラダラ1時間かけてやっと終わったなんてこともよくあるようです。一般的に、小学校低学年の集中力は15分程度、高学年で20分程度といわれています。タイマーなどを使って勉強時間を15分ずつ2回に分けるなど、子供の集中力を高められる工夫をしてみるのもいいでしょう。

落ち着きのなさや集中力の改善には、睡眠不足や生活習慣の見直しも効果的といわれています。この時期にもう一度見直してみるのもいいでしょう。

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子どもの気持ちを上手くサポートして親子で成長を喜びましょう

今回のアンケート結果によると、8割のママパパが子育て中に子供の落ち着きのなさが気になったことがあると回答しており、多くの家庭でみられることがわかりました。落ち着きがない原因はさまざま考えられまずが、成長と共に落ち着いてくるケースもよくあることのようです。落ち着きがないときは子供の気持ちをうまく切り替えられるよう状況に応じてママパパが上手くサポートしてあげることが大切です。わずかでも進歩が見られたらすぐに褒め、親子で一緒に成長を喜び、乗り越えていきましょう。

記事監修

虹の森クリニック
院長 坂野真理

東京生まれ。日本医科大学医学部卒。東京大学医学部附属病院小児科およびこころの発達診療部、医療福祉センター倉吉病院精神科などで勤務。この間、公益財団法人松下政経塾にも在籍。英国キングスカレッジロンドンの精神医学・心理学・神経科学研究所に留学し、修士号取得。帰国後鳥取県倉吉市に虹の森クリニックを開業。2020年より英国ロンドンに虹の森センターロンドンを開設。日英両国を行き来しながら、診療や情報発信を行っている。二児の母。日本精神神経学会精神科専門医、子どものこころ専門医。

 

文・構成/HugKum編集部

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