丁寧にひかれた出汁と、季節の食材で作った味噌汁は格別です。毎食ごとに用意できれば一番いいですが、余裕がない時もありますよね。今回は味噌汁の保存についてご紹介しながら、手軽に用意できる方法も見ていきたいと思います。
あまった味噌汁を翌日も美味しく飲むには?
夕食時に鍋で作った味噌汁を、朝までコンロに置いておく、なんてことはありませんか? じつは、常温のまま置いていた味噌汁の味が変わってしまった、という経験談はよく耳にする話です。特に、夏に一晩放置しただけで酸っぱい味に変わる、ということはしばしばあります。
傷んだ味噌汁の特徴
味噌はもともと大豆を発酵させた食材なので、一度お湯に溶かすと発酵の働きはなくなります。そしてその後、ほんのりと温かさを残したコンロに置いて長時間が過ぎると、まず酸味を感じるようになります。その後、納豆を思わせる匂いや、白い膜のようなカビが浮くのは時間の問題です。
この他にも、なんとなくモッタリしているのも危険な兆候。味を確かめるまでもなく、いつもと違う様子が見られた時は、潔くあきらめてください。一口くらいは飲んでも大丈夫ですが、おかしな味がしたときは、もちろん食べることをやめておきましょう。
味噌汁の保存方法
作りすぎてしまった味噌汁。どうしたら捨てずにおいしくいただけるでしょうか。
常温
冬の朝作った味噌汁を、夜に食べる事があります。このように、常温で保存した味噌汁が食べられる期限は、冬なら半日くらいと思ってください。
季節に関わらず、5~6時間おきに加熱すると腐敗を止めることはできますが、味噌は加熱に弱い食材だということを覚えておくといいですよ。
冷蔵
味噌汁に限らず、雑菌は温めることで死滅します。そのためには75℃を超える温度で1分間の加熱が必要です。低い温度ではかえって雑菌を繁殖させることになりかねません。さらにノロウイルスなら、90℃以上で90秒の加熱が必要です。しかしながら、お味噌汁の適温は75℃。味噌汁を温め直すことは、味噌の風味を損なう事と表裏一体なところがあります。
もしも少量の味噌汁を保存したい時は、粗熱がとれてからマグカップに移し替え、ラップでフタをして冷蔵庫に保存しましょう。短時間の冷蔵保存なら、香りはとびますが安心して食べることができます。夏の朝、冷製の味噌スープとしていただくと適度な塩分もあり、熱中症対策にもなります。卵を混ぜ入れてからレンジでチンすると、冬の朝に嬉しい一品にも。ただし加熱が少ない分、保存できるのは半日、冬場でも一日の期限と考えましょう。
温め直す場合は、少量の味噌を足すことで香りが戻るので試してみてください。
WH スープカップ<クリーンコート加工>
冷蔵庫で冷やして、そのままレンジに入れられるスープ用カップです。忙しい朝でも、味噌汁が手軽に用意できるため、活躍します。
あらかじめ作り置きする保存方法
家族が多いご家庭や、いつも味噌汁が欲しいという方にもおすすめできるのが、これからご紹介する保存方法です。作り置きできるところは先にすませておき、味噌だけは食べる直前に入れます。
出汁のままで保存
煮干しの出汁を保存すると、やさしい甘みを感じる味噌汁がいつでも手早く作れるようになります。
煮干し(30グラム)の腹わたと頭を取り除き、麦茶ポットなどに水(1リットル)と一緒に入れ、一晩置くだけで美味しい出汁がとれます。煮干しは一晩で取り出し、腐敗防止のためにひとつまみの塩を入れると、冷蔵庫で3日間の保存ができます。
乾燥ワカメと豆腐なら煮込む必要がありません。出汁に入れて温め、あとは味噌を溶かすだけで食卓へ出すことができます。
あらかじめ切って冷凍した具材を使えば、味の幅も広がり手早く仕上げられます。おすすめの冷凍具材はお揚げ、小松菜などです。
味噌を溶かす前に冷凍して保存
煮込む必要がある具材を、作り置きする方法も見ておきましょう。
鍋に出汁(だしの素でもOK)を入れ、具材をしっかり煮込みます。粗熱がとれてから保存容器に詰め替え、冷蔵庫で保存します。食べる直前に温め、味噌を加えましょう。保存期間は冷蔵で2~3日、冷凍すると2週間が目安です。
ニラ、もやし、なめこなど、足が早い食材は避けます。さらに冷凍の場合は、冷凍によってスカスカの食感に変わってしまう食材、豆腐やじゃがいも、こんにゃくなどは適しません。玉ねぎ、人参、れんこんなどの根菜類や、きのこ、ちくわなどの練り製品がおすすめです。
ランチのお弁当用におすすめ即席味噌汁
ランチに温かい味噌汁が欲しい時、頭に思い浮かぶのはスープジャーを使う方法ですね。残念ですがここまで見てきたように、保温で変質しやすい味噌汁には不向きです。手軽なフリーズドライもありますが、「値段も高く味が好みじゃない…」という方におすすめの方法があります。
即席モバイル! 味噌玉、スプーン味噌
味噌はきゅうりにつけて食べるように、加熱しなくても安全に食べることができる保存食です。これを生かした「味噌玉」という方法があります。
味噌汁一杯分の味噌(小さじ2)に、だしの素と具材を混ぜ合わせ、ラップにくるむというもの。具材は乾燥ネギや、乾燥わかめなどの乾物類、ネギ、みょうがなどの香味野菜にすると、火を通す必要がないので味噌と一緒にお湯に溶かすだけで食べることができます。食べる時はラップから取り出した味噌玉をカップに入れて、お湯を注ぐだけ。冷凍もできるので、多めに作って保存できるところも嬉しい点です。
混ぜた具材が味噌漬けの味になるのが気になる方は、胡麻やとろろ昆布を味噌に巻きつける方法もあるので試してみてください。
さらに、もう一つ簡単な方法は、スプーンに味噌(小さじ2)を盛り付けてラップに包み、鰹節パックと一緒に持ち歩きます。食べる時は、容器の中に味噌スプーンと熱湯を入れ、鰹節を入れるだけです。味噌を熱湯に入れて放置すると柔らかく緩むので、やさしく混ぜてください。
鰹節が出汁と具材をかねていますが、乾物類をトッピングしたり、鮭フレークやお漬け物など、そのまま食べられる食材ならなんでもOKです。意外なところではナッツ類や、加熱しなくても食べられるウインナーもおすすめです。
マーナ(MARNA) お料理はかどるシリコーンスプーン イエロー K514Y
シリコン製なので衛生的で、持ち歩いても割れたりしません。おにぎりと一緒にいかがでしょうか。
味噌汁を毎日美味しくいただくために
味噌汁の保存ができるのはほんの数時間ですが、加熱前の味噌なら常温での保存性が抜群です。戦国の武将や、江戸の飛脚が必ず携帯していたそうですよ。
味噌汁を一から作ろうと思わず、ご紹介してきた保存術を上手に活用すると、栄養のある美味しい味噌汁が毎食いただけます。ぜひ試してみてくださいね。
構成・文/もぱ(京都メディアライン)