子どもの勉強に、タブレット教材を取り入れる家庭が増えています。教育現場でタブレット学習の導入が進められていることもあり、早めに慣れさせたいと考える保護者も多いでしょう。タブレットと紙の違いやそれぞれのメリット、おすすめ教材を紹介します。
目次
タブレット学習とは?
タブレットを使った学習は、既に学校や通信教育で活用が始まっています。タブレット学習の特徴と、導入の経緯を見ていきましょう。
政府も推進する新たな学習方法
タブレット学習は、政府が推進している新しい学習方法の一つです。文部科学省は2016年に公表した「教育の情報化加速化プラン」の中で、子ども1人に1台のタブレットがある環境を目指すとしています。
教室に電子黒板や無線LANを整備し、教科書やノートの代わりにタブレットで学習する授業スタイルを取り入れている学校も既にあります。
また20年には「学習指導要領」が改訂され、小学校の理科や算数の授業でプログラミングを勉強することが決まりました。
プログラミングの授業には、パソコンやタブレットなどのデジタル端末が必須です。学校の授業に対応するために、家庭でもタブレットを使った学習スタイルが定番になると考えられています。
タブレット教材と紙教材の違い
タブレット教材もよいけれど、昔ながらの紙教材も捨てがたいと感じる人は少なくありません。学習内容によっては、紙教材の方が有効なケースもあります。
どちらか一方だけに絞るのではなく、子どもの様子をみながら上手に組み合わせることが求められます。紙教材とタブレット教材の違いを見ていきましょう。
教材の種類が豊富
歴史が浅いタブレットに比べて、紙の教材は種類が豊富です。同じ教科でも難易度によって細かくレベル分けされており、子どもの学力に合う教材を見つけやすいでしょう。
違う出版社が出している教材を買いそろえて、さまざまな問題にチャレンジすることも可能です。学校のテストや入学試験は紙ですから、紙教材に慣れておけば答案用紙への記入もスムーズです。
記憶に残りやすい
紙教材では漢字を書く、筆算する、図やグラフを書くなど、実際に手を動かして学習します。手を動かすことで学んだ内容が記憶に残りやすくなるため、何かを覚えたいときにはとても有効です。
問題文も紙の方が読みやすく、簡単に下線を引いたり注釈を書き加えたりできるため、学習の実感がわきやすいでしょう。
一方でタブレットの場合は、図形やイラストが動く教材が多数あります。鮮やかな写真や動画、音声で動植物の生態を学んだり、複雑な図形の問題も角度を変えて立体的に考えられたりします。
学ぶ対象物によっては、タブレットの方が記憶に残りやすいといえるでしょう。
タブレット教材のメリット
タブレット教材にはデジタル機器ならではのメリットがあります。紙教材では実現できない、便利なポイントを見ていきましょう。
飽きずに学習ができる
タブレット教材には、音や映像を使って子どもの学習意欲を高める工夫をこらしたものがたくさんあります。静かに読み書きするだけでなく、キャラクターとの会話やゲームを楽しんだり、動画の解説を視聴したりできるので、子どもは飽きずに取り組めるでしょう。
またタブレット1台にさまざまな教材が入っているため、教科ごとにテキストやノートを用意しなくても済みます。思い立ったときにすぐに興味のある学習を始められるため、子どものやる気を損ないません。
繰り返し問題を解ける
時間を空けて同じ問題を解く「繰り返し学習」は、記憶の定着に大変有効です。しかし紙の問題集では、一度答えを書いてしまうと同じ問題を解こうとしても答えが見えてしまい、繰り返し学習の効果が半減してしまいます。
繰り返し学習をするために、ノートに問題を書き写したり、コピーを取ったりした経験がある人も多いのではないでしょうか。答えをリセットできるタブレット教材なら、同じ問題を繰り返し解くのも簡単です。
自動で採点して、間違えた問題だけをもう一度出題したり、数日後に違う形式で出題してくれたりする教材もあり、効率的に学習できます。
学習状況が管理しやすい
タブレット教材には、学習の結果を元に子どもの学力を分析して、苦手分野や今後の対策、学習スケジュールなどを提案する機能を搭載したものもあります。
子どもはタブレットの画面に従って勉強すればよく、保護者がつきっきりで勉強を見てあげる必要はありません。子どもの学習状況は保護者専用サイトやメールでチェックできるようになっているので、ほったらかしになる心配もなく安心して任せられます。
タブレット教材のデメリット
大変便利なタブレット教材ですが、デメリットも指摘されています。子どもが使うものなので、少しでも心配な点があれば、事前に対策を考えておくとよいでしょう。
バッテリー切れや故障が起こる
タブレットは電子機器なので、バッテリーがゼロになると動きません。勉強したいタイミングで使えないと、学習意欲の低下につながるため注意が必要です。
使った後は充電するよう子どもに言い聞かせると同時に、モバイルバッテリーや充電ケーブルを余分に準備して、いつでも充電できる環境を整えてあげましょう。
また、子どもが落としたりぶつけたりして、タブレットが故障する可能性も考えられます。本人が気をつけていても、下のきょうだいが興味を持って触っているうちに、動かなくなることもあるでしょう。
紙教材と違って、壊れてしまうと代わりのタブレットが来るまで勉強できないので、取り扱いには十分注意しましょう。
勉強以外のことに使ってしまう
タブレット教材では、勉強以外の動画やゲームに夢中になってしまうケースも心配されます。専用タブレットではなく、家族共有のタブレットを使う場合は特に注意が必要です。
息抜きのつもりで動画を観始めて止まらなくなったり、うっかりゲームに課金したりすることもあり得ます。教材を始める前にしっかりと対策を考えましょう。
勉強専用のタブレットを購入するのが理想ですが、難しい場合は家族でルールを決め、使う機能や時間を制限するとよいでしょう。有害サイトをブロックするフィルタリングサービスの導入も有効です。
視力が低下する可能性も
タブレットやスマホなどデジタル機器の画面を長時間見続けると、視力が低下する可能性があります。また寝る前に画面を見ると、睡眠の質が下がるともいわれています。
子どもの視力低下や睡眠不足は、保護者にとって最も不安に感じるポイントではないでしょうか。以下の点に注意して、上手く付き合っていきましょう。
・画面にブルーライトカット効果のあるフィルムを貼る
・部屋の照明を明るくする
・使用時間を決める
・一定時間ごとに休憩させる
・寝る1時間前には勉強を終える
タブレット教材に限らず、漫画も本もテレビゲームも、長時間使用すると目によくないのは同じです。普段から子どもの行動に関心を持ち、変な姿勢で読書したり、テレビ画面に近付き過ぎたりするようなときは、声をかけてあげましょう。
タブレット教材を選ぶポイント
ひと口にタブレット教材といっても、さまざまなタイプがあります。子どもにぴったりの教材を選ぶポイントを見ていきましょう。
専用のタブレットが必要か
タブレット教材は、専用タブレットが必要なタイプと、手持ちのタブレットから教材にアクセスするタイプに分けられます。
専用タブレットを使うタイプは、基本的に学習に関係ない機能は使えないため、勉強そっちのけで動画やゲームに夢中になる心配はほとんどありません。
自分専用の端末を使えることで、子どものモチベーションが高まる効果も期待できます。ただしサービス利用料金の他に、タブレットの購入費用がかかります。
既にタブレットを持っている人なら、専用タブレット以外の教材を検討してもよいでしょう。途中で辞めても端末代が無駄にならず、初期費用も抑えられます。
料金やサービス内容を比較
タブレット教材を選ぶ際は、料金とサービス内容をよく比較しましょう。どんなに魅力的な教材でも、料金が高過ぎて続けられないようでは意味がありません。
逆に、最初は安くても学年が上がると料金が高くなるケースや、子どもがつまずいたときに十分なサポートを受けられないケースもあります。
ほとんどのタブレット教材では無料体験ができますが、本人が気に入ったのに料金やサービスが原因で続けられなくなっては残念です。無料だからと手当たり次第に試すのではなく、最初に内容をよくチェックして、ある程度候補を絞るとよいでしょう。
子どもに合わせて選ぼう
タブレットに限らず、教材は子どものレベルに合わせて選ぶのが基本です。簡単過ぎても難し過ぎても、子どものやる気は続きません。
また子どもの性格によっても、選び方は変わってきます。集中力が続かない子には、短時間で終わる・ゲーム要素を取り入れているなど、飽きさせない工夫が充実した教材がおすすめです。
学習意欲が高く、分からないことは自分で調べようとするような子には、どんどん先取りできるタイプの教材が向いています。
以下の点に注目しながら、子どもに合いそうな教材を探してみましょう。
・科目別にコースを細かく設定できる
・年の途中でもコースを変更できる
・先取り学習や繰り返し学習が簡単にできる
・分からないところをすぐに解決できる手段がある
・ごほうびシステムなど、やる気を維持する仕組みがある
条件が同じような教材をいくつか選んだら実際に試してみて、気に入ったものを一つ子どもに選ばせます。親に決められるより、自分で決める方が子どもの意欲がわき、長続きするでしょう。
おすすめのタブレット教材
数あるタブレット教材の中から、小学生向けのおすすめを紹介します。公式サイトで詳細をチェックして、比較検討してみましょう。
丁寧な解説が魅力「スマイルゼミ」
スマイルゼミは、専用タブレットを使うタイプの教材です。市販のタブレットに比べて頑丈に作られている上に、故障時の保証制度があるので、小さな子どもにも安心して持たせられます。
タブレットはノートとほぼ同じ大きさで、画面に手をついても文字を書き込める仕様です。紙の教材と同じ感覚で、ペンで書き込みながら計算問題や記述問題に取り組めるでしょう。
またスマイルゼミでは、問題を解いたらすぐに自動で答え合わせして、間違えた問題について解き方や考え方を丁寧に解説してくれます。学習を重ねるうちに子どもの得意不得意を分析し、苦手な分野を手厚くフォローする仕組みも整っています。
タブレットで学ぶ小学生向け通信教育「スマイルゼミ」|【公式】スマイルゼミ
1人1人に合わせた個別学習「進研ゼミ チャレンジタッチ」
チャレンジタッチでは、進研ゼミが蓄積した過去の指導データと、子どもの学習量や正答率を元に、AIが1人1人に合わせた個別の学習プランを自動で作成します。
さらに毎月、同じ赤ペン先生が子どもの答案を添削し、間違えた部分は丁寧に指導してくれます。学習レベルは教科ごとに選択でき、後で変更も可能です。
保護者には学習の様子がリアルタイムでメールで届けられるため、家事や残業で忙しいなか「勉強終わったかしら」などと心配する必要はありません。タブレットは外部のネットワークに接続できない仕様になっているため、ゲームや動画に惑わされず勉強に集中できるのもポイントです。
【公式】チャレンジタッチ(進研ゼミ小学講座)|小学生のタブレット学習
分かりやすい映像授業「スタディサプリ」
スタディサプリは、プロの塾講師による分かりやすい映像授業が特徴の通信教材です。自宅にあるタブレットやパソコン、スマホが使えてテキストもPDFでダウンロードできるため、初期費用が安く済みます。
毎月定額で小学4年生から高校3年生までの全教科・全科目の映像授業が見放題になるので、先取り学習や復習が自由自在です。1回15分という短時間授業で集中力が続きやすく、塾に通う時間がない子どもでも無理なく勉強を続けられるでしょう。
名探偵コナンとナゾトキ「名探偵コナンゼミ」
名探偵コナンゼミは、人気漫画『名探偵コナン』のキャラクターと一緒に学べる通信教材です。毎月届くワークブックと、自宅のタブレットやパソコンで見るデジタルコンテンツを使って、学習の基礎となる国語と算数を学べます。ワークブックはPDF版もあり、自宅でプリントすれば月額費用を抑えられるでしょう。
週2回配信される、ブラウザゲームの「名探偵コナンゼミ ナゾトキ」と組み合わせることで、思考力や応用力を鍛えられるのも大きな魅力です。ナゾトキはレベルに合わせて四つのコースが用意されており、大人も一緒に楽しめます。
名探偵コナンゼミ|ナゾトキ×通信教育のエデュテインメントサービス
学年にとらわれない無学年方式「すらら」
「すらら」は自宅のパソコンやタブレットから、インターネットを通じてゲーム感覚で学ぶ通信教材です。学年に関係なく学習できる「無学年方式」を採用しています。
「もう〇年生なのに」「まだ〇年生だから」のように学年を意識せずにすむため、子どもは伸び伸びと勉強に取り組めるでしょう。講義を一方的に聴くのではなく、キャラクターとの対話形式で進むので集中力が続きやすいのもポイントです。
キャラクターは子どもの年齢に応じて設定されており、幼稚過ぎる心配もありません。対象範囲は小学校1年生から高校生までと広く、長く続けられます。
【公式】無学年式オンライン教材『すらら』|SuRaLa Net Co.,Ltd.
算数が苦手な子に「RISU算数」
「RISU算数」は算数の学習に特化したタブレット教材です。暗記すれば解ける教科と異なり、算数は一度つまずくと、どんどん苦手になってしまう可能性があります。
RISU算数では、子どもがつまずいているポイントを分析し、苦手克服に最適な問題や解説動画をタイミングよく配信してくれます。
算数が得意な子には「オニモード」や「スペシャル問題」が出題され、簡単過ぎて飽きるということもないでしょう。得意な子も苦手な子も、それぞれのペースで楽しく算数を理解できるようなカリキュラムです。
また学習が一定のステージ以上進んでいないときには、月の利用料がかからないので、学習ペースが遅い子や部活動などで忙しい子も、焦らずに取り組めるでしょう
RISU算数 – お子様1人1人にピッタリの学びを届けるタブレット教材
おすすめのタブレット端末
近年は通信教材以外にも、学校や塾でオンライン授業を実施する機会が増えています。家庭にインターネットにつながるタブレット端末があると、さまざまなシーンで重宝するでしょう。
辞書や図鑑、地図などのアプリをインストールすれば、副教材としても活用できます。大人も一緒に使える、おすすめのタブレット端末を紹介します。
持ち運びにぴったり「Apple iPad mini」
iPad miniは、大人なら片手で持てるほどのコンパクトなタブレットです。重量も300g強と軽く、子どもがバッグに入れて持ち運んでも負担になりません。
通学の電車の中や習い事への移動時間に、さっと取り出して授業動画を観ることも可能です。専用のタッチペンで細かな図や文字を書き込めるので、紙のノートの代わりにもなります。
年齢フィルター搭載「Amazon Fire HD 10キッズモデル」
子ども向けコンテンツの定額配信サービス「Amazon Kids+」がセットされたタブレットです。商品購入後1年間は追加料金なしで「Amazon Kids+」を利用でき、2年目以降は更新か解除を選択可能です。
「Amazon Kids+」では学習系コンテンツのほかに、絵本や学習漫画、児童書・ゲーム・ビデオなど数千点のコンテンツが使えます。
子どもの年齢に合うコンテンツだけを自動表示する「年齢フィルター」を搭載しており、成長に合わせて長く楽しめます。利用時間制限機能や、保護者が子どもの利用状況をチェックできる機能もあり、安心して持たせられるタブレットです。
防塵・防滴に優れた「NEC LAVIE Tab E TE710/KAW」
NECのLAVIE Tabは10.1インチの大画面と、パワフルなプロセッサが特徴です。防塵・防滴仕様なので、キッチンやベランダなどで作業中に子どもが質問しにやってきても、慌てずに対応できます。
高精細液晶で動画やゲームを高画質で楽しめるほか、地上デジタル放送を受信できるチューナーも内蔵されています。子どもが寝た後にゆっくりとドラマや映画を観たり、調べ物をしたりして、大人の時間を満喫したい人にもおすすめです。
楽しみながら学習ができるタブレット教材
政府の方針や社会の急速な情報化を追い風に、タブレットを使ったデジタル学習は今後ますます普及すると予想されます。
タブレット教材を使えば、子どもの学力や意欲を分析し、苦手な分野を手厚くフォローするなど、紙の教材だけでは難しかった個別学習が可能です。
子どもの個性に合うタブレット教材を選んで、学習意欲を高めてあげましょう。
文・構成/HugKum編集部