赤ちゃんが離乳食を食べない場合は断乳すべき?【保育のプロがお悩みを解決!】

こんにちは!離乳食インストラクターの中田馨です。私は、離乳食の専門家としての活動をしていますが、もともとは02歳児専門の保育士です。これまで、離乳食周りの「食べない」赤ちゃんたちを保育してきました。今回は、赤ちゃんが離乳食を食べない場合は断乳すべきなの?と言った疑問を含め、離乳食期の「食べない」について、その対処方法もお話しします。

離乳食を食べない我が子、断乳すべき?

「先生。最近離乳食を食べてくれないんです」と言った保護者さんからの声、実は結構あるんです。厚生労働省『乳幼児栄養調査』(平成27年)の資料によると、「離乳食について困ったこと」(回答者:0~2歳児の保護者)という問いに対し、

・食べる量が少ない 21.8%(3番目)

・食べるのをいやがる 15.9%(7番目)

と、「赤ちゃんが離乳食を食べてくれない(少ししか食べてくれない)」と言うお悩みが多いことが分かります。

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離乳食を食べてくれない原因

赤ちゃんが、離乳食を食べてくれない理由は、月齢や離乳食の時期によってその原因が違います。時期別に、よくある原因を紹介します。

離乳食初期 舌突出反射が残っている

「舌突出反射」とは、おっぱいやミルク以外の固形物を口に入れることで、反射的に舌で押し出す反射の事。これは赤ちゃんが、自分の身を守るための大切な反応なのです。

離乳食初期 離乳食がポタージュ状になっていない

産まれてから、母乳やミルクを飲い?んできた赤ちゃんです。離乳食に少しでも粒粒があると気になってしまう子もいます。離乳食がなめらかなポタージュ状なっているか?を再確認してみましょう。

離乳食中期 形に戸惑っている

離乳食中期になると、裏ごしからみじん切りに、離乳食の形状が変わっていく時期です。これまで滑らかだった舌触りが、急にツブツブになり、赤ちゃんは違和感を覚えているのでしょう。

離乳食後期以降 好みが出始めた!

離乳食後期以降によくあるのが、「おかゆだけ食べる」「おかずだけ食べる」と言う姿。好みが出てきたということは「自分で食べ物を選ぶことができるようになってきた」と言う成長の証でもあります。と考えると、決して悪いことではないんです。

離乳食と断乳を考えた方がいい状況

断乳を考えてもいい状況はどんなときでしょうか。

断乳とは?卒乳との違い

断乳と卒乳。一見、同じように思われがちなのですが、実は違いがあります。「断乳」は、ママに事情がありおっぱいをやめること。「卒乳」は、自然とおっぱいをやめていくことです。

1歳ごろまでは、おっぱいや育児用ミルクを飲ませて欲しい

では、「離乳食を食べてくれないんだけど、断乳したほうが良いかしら?」と言う質問に関してですが、これは時期やお子さんの状況によって返答が変わります。

1歳ごろまでは、離乳食の後に授乳、離乳食と離乳食の間にも授乳が必要です。離乳食初期は、栄養の8~9割が乳汁栄養で1~2割が離乳食。離乳食後期は、栄養の4~5割が乳汁栄養です。と考えると、この時期に断乳しないほうが良いということが分かりますね。ちなみにですが、離乳食完了期(12~18カ月)は、栄養の1~2割が乳汁栄養です。

赤ちゃんの心の安定があるなら、飲ませてほしい

1歳を過ぎ、そろそろ断乳や卒乳を考える場合もあると思います。ただ、その時に考えてほしいことが「赤ちゃんの気持ち」。おっぱいを飲むことが赤ちゃんにとって幸せな時間なのであれば、断乳するのはもう少し先。でもいいのかなと感じます。

「離乳食を食べないから断乳する」と考えるのではなく、赤ちゃんの月齢や気持ちを考慮する必要があります。

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離乳食を食べてくれないときの対処法

では、離乳食を食べてくれない時の対処方法の一例を紹介します。

舌突出反射の場合は、いったん離乳食を休憩する

「舌突出反射」は、多くの赤ちゃんが、4カ月ごろに消失していきますが、5カ月ごろに残っている場合もあります。そんな様子が見られるのなら、数日離乳食をお休みして、再度開始してみてください。

離乳食のツブツブが気になる場合は、裏ごしにする(戻す)

離乳食初期の場合、離乳食がなめらかなポタージュ状なっているか?を再確認してみましょう。離乳食中期に、裏ごしからみじん切りに変えて急に食べなくなったのなら、裏ごしにいったん戻し、日にちをかけて少しずつツブツブを増やしていくようにしてみましょう。

選り好みするときは、気長に構えて!

選り好みする時子どもに、いろいろな食材をまんべんなく食べてほしいな!と言うママの気持ちがあると思います。食べない食材は、食卓に登場させつつ、無理強いはしない。ママや家族がその食材を食べて「美味しいね」「みんなで食べるって楽しいね」と言う雰囲気づくりをすることが大切。今すぐに魔法のように食べてくれる方法はなかなかありませんが、「ま、そのうち食べてくれるさ!」くらいの気持ちで取り組んでみましょう。

離乳食と断乳に関するお悩みにお答え!

最後に離乳食にまつわる具体的なママパパのお悩みにお答えします。

お悩み1「完全母乳で育ったからか、母乳ばかり欲しがって離乳食を食べません」

唇の内側に離乳食をそっとつけて「おいしい!」と気づかせて

ママのおっぱいが大好きなんですね。赤ちゃんにとってママのおっぱいを飲んでいる時が、幸せな時間なのだと思います。母乳ばっかり欲しがってどうしよう・・・!と思う必要はありません。満足いくまで母乳を飲ませてあげればOKです。じゃあ、ここからは、どうやって離乳食へ気持ちを向けていくかですね。良くあるのが「食べず嫌い」。何となく離乳食の印象がおっぱいより悪く、スプーンでやってきたものすべてを嫌がる赤ちゃんがいます。スプーン一杯に離乳食をのせて「あーん」と言うとそっぽを向くでしょう。ですので、そんな赤ちゃんには、スプーンの先に離乳食をほんの少しだけのせて、唇の内側にそっとつけてみるのです。きっと、唇についた離乳食をペロリとなめるでしょう。その時に「あれ?美味しいかもしれない」と思ってくれたらラッキー!そのまま、食べてくれた子は、多くいますよ!一度お試しください!

お悩み2「朝、保育園に行かきゃなのに離乳食もミルクも拒否。断乳したほうがいいですか?」

ママパパの焦りが伝わってしまっているかも

もしかすると、保育園に行く朝の慌ただしい時間の中、「ボク(私)のことをもっと見て!」と言った赤ちゃんのサインの場合もあります。朝は本当に忙しい!私も2人の子どもを育ててきていますので、朝の11秒がとっても大切なことはは分かります。でも、そんな時ほど10秒でもお子さんをムギューっと抱きしめる時間を持つだけで、お子さんの気持ちが変わることがあります。ママパパが焦れば焦るほど、子どもはその気持ちを受け取ってしまいます。まずは、ママパパが慌てないこと。その上で、やっぱり離乳食やミルクを拒否する場合は、断乳を考えるのではなく保育園に相談しましょう。「そんな時は、保育園で飲ませるから、大丈夫よ!」って私は言っています。

お悩み3「1歳で断乳後、離乳食を食べなくなってしまいました!」

意識的にスキンシップを増やしてみて

断乳後、離乳食を食べなくなってしまったのですね。食べないと心配ですよね。食べなくなってしまった理由は赤ちゃんによってさまざまだと思いますが、その一因と考えられるのは「スキンシップが減ったこと」があるかもしれません。授乳をしているとその時間、赤ちゃんはママに抱っこされ自然とスキンシップの時間になっていました。断乳すると、その時間が無くなり、抱っこの時間が以前に比べると減っている可能性があります。意識的に抱っこの回数を増やし、スキンシップを取り入れることで改善した赤ちゃんもいます。

断乳を決断する前に、赤ちゃんの様子を観察して

私個人の考えで言いますと、「離乳食を食べないから断乳する」と行動する前に、「どうして離乳食を食べないんだろう?」「この子はどうしておっぱいが好きなんだろう?」ということを、もう一度見つめなおしてみて、「この子にとって何が一番いいかな?」と考えてみてください。その上で、食環境の雰囲気づくりをして欲しいなと思います。

 

一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在14歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年以上の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで3000人が受講。

離乳食インストラクター協会HP 

中田馨の和の離乳食レシピブログ

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