なんと、元になっているのは「脱帽」
実は、「ポシャ」は「シャッポ」の「シャ」と「ポ」をひっくり返した語だといわれています。「シャッポ」ってご存じですか?
フランスのchapeau (シャポー)からで、帽子のことです。今でこそ帽子のことを「シャッポ」なんていう人はほとんどいないと思いますが、年配の方は「シャッポを脱ぐ」の形で、相手にかなわないと知って降参する、観念するという意味でも使うことがあると思います。
その「シャッポ」なんです。でも、そもそも「シャッポを脱ぐ」と言われても、何のこと?と思う人がいるかもしれませんね。要するに「脱帽」のことです。
この「シャッポ」ですが、なぜそれがひっくり返って「ポシャ」になると、だめになったり、失敗したりするという意味になるのか、理由がよくわからないのです。
「シャッポを脱ぐ」の降参するという意味から、だめになるという意味になったと説明する人もいますが、ちょっと説得力に欠ける気がします。
「ポシャる」は、ちょっと謎のことばなんです。
記事執筆
辞書編集者、エッセイスト。元小学館辞書編集部編集長。長年、辞典編集に携わり、辞書に関する著作、「日本語」「言葉の使い方」などの講演も多い。文化審議会国語分科会委員。著書に『悩ましい国語辞典』(時事通信社/角川ソフィア文庫)『さらに悩ましい国語辞典』(時事通信社)、『微妙におかしな日本語』『辞書編集、三十七年』(いずれも草思社)、『一生ものの語彙力』(ナツメ社)、『辞典編集者が選ぶ 美しい日本語101』(時事通信社)。監修に『こどもたちと楽しむ 知れば知るほどお相撲ことば』(ベースボール・マガジン社)。NHKの人気番組『チコちゃんに叱られる』にも、日本語のエキスパートとして登場。新刊の『やっぱり悩ましい国語辞典』(時事通信社)が好評発売中。