2021年の世界人口の推移と今後。人口増減から見えることとは?

世界人口について学ぶことは、世界情勢や環境問題に興味を持つきっかけになります。人口問題が将来に及ぼす影響を考えてみるのも、よい勉強になるでしょう。2021年の世界人口統計データを元に、世界の現状と今後について解説します。

2021年の世界人口の推移

世界には現在、どのくらいの人が暮らしているのでしょうか。国別ランキングや日本の状況も合わせて紹介します。

増加する世界人口

2021年の世界人口は約78億7500万人で、前年より8000万人ほど増えました。総務省統計局の「世界の統計2021」によると、世界人口は1950年から毎年増加していることが分かります。

ただし、増加率は年々下がっており、人口が減少している国も少なくありません。2030年以降は、世界人口の増加率がマイナスに転じるとの予測もあります。

参考:
UNFPA Tokyo | 世界人口白書2021
総務省統計局「世界の統計2021」

国別の人口ランキング

世界で最も人口が多い国は、中華人民共和国(約14億3930万人)です。2番目はインドで、約13億8000万人が暮らしています。

約3億3100万人のアメリカが3位につけており、以降インドネシア・パキスタン・ブラジル・ナイジェリアが2億人台で続きます。なお日本は長くトップ10入りしていましたが、人口の減少が続いており、総務省統計局「世界の統計」2021では11位となりました。

また、インドは近年の人口増加率が高く、数年後には中国を抜いて最も人口が多くなると予測されています。

日本の人口は?

2020年の国勢調査によると、日本の総人口は1億2614万6000人で、2015年の調査時よりも94万9000人減少しました。2021年はさらに減り、2021年12月の概算値では1億2547万人と発表されています。

世代別の割合を見ると、14歳以下が11.8%しかいないのに対して65歳以上が28.8%と多く、高齢化が進んでいることが分かります。また、47都道府県のうち、人口が増えたのは8都県だけでした。

参考:
総務省統計局「令和2年国勢調査  人口等基本集計結果 結果の概要」
総務省統計局「人口推計-2021年(令和3年) 12月報-」

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2021年の性別・年齢別の世界人口

人口構成を男女や年齢で分けてみると、世界の情勢がより具体的に分かるようになります。男女別・年齢別の推移や今後の見通しを見ていきましょう。

男女で分けた世界人口

世界の総人口を性別で分けた場合、男女の比率はほぼ同じです。ただし、国によって男女比に差があることも分かっています。

アメリカや日本、ロシアなどは、女性のほうが男性よりも多く、インドやパキスタンなどのアジア諸国では男性のほうが多い傾向です。

アメリカや日本などの先進国では早くから医療が発達しており、女性に課される重労働や差別も少ないため、女性の平均寿命が長くなっています。

しかし、女性の権利が保障されていない国では、長生きできない女性が多く、男性の比率が高くなるのです。

なお、ロシアで男性の比率が低いのは、アルコールの過剰摂取による短命が原因ともいわれています。国の情勢や民族的風習が、男女比に大きく影響しているといえるでしょう。

年齢で分けた世界人口

年齢別にみると、日本だけでなく、世界各国でも高齢化が進んでいることが分かります。2018年には65歳以上の人口が、5歳未満の人口を初めて上回りました。

また、65歳以上の人口比率は2019年で9%でしたが、2050年には16%に上がるといわれています。世界的に平均寿命が延びているため、今後は先進国を中心に80歳以上の人口も急激に増加すると予測されます。

参考:総務省統計局「世界の統計2021」

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今後人口は増加する?減少する?

世界の人口は、今後どのように推移するのでしょうか。人口の増減が暮らしに与える影響も合わせて解説します。

出生率の低下により人口減少へ

将来にわたって人口が増え続けるためには、親世代よりも多くの子どもが生まれ、育たなくてはなりません。女性1人が一生で産む子どもの数(合計特殊出生率)が2.1以下になれば、人口は自然に減っていきます。

近年は、世界的に出生率が低下しており、1975〜1980年に平均3.92だった出生率は2000〜2005年には平均2.65まで下がりました。今後もその傾向は続くとみられ、出生率が2.1を切る日も遠くはないといわれています。

国連では、2045~2050年には2.05になると予測しています。

出生率が下がった背景には、女性の生き方が多様化したことがあげられるでしょう。それは先進国だけでなく、発展途上国でも女性への教育や独立支援の動きが活発になっていると考えられます。

参考:補章 海外の少子化の動向: 子ども・子育て本部 – 内閣府

増加や減少に伴い起きること

人口が多い社会は豊富な労働力に支えられ、経済活動が活発になります。その代わり、食糧やエネルギーもたくさん必要です。

人口が増加するほど、農地確保のために森林を伐採したり、温室効果ガスの発生原因となる化石燃料を大量に消費したりして、環境破壊が進むでしょう。限られた資源をめぐって、国同士の争いも起きやすくなります。

一方、人口が減少に転じれば、人間による環境破壊行動は抑えられます。しかし、労働人口が減ってしまうため、経済活動の停滞は避けられません。

特に若者よりも高齢者の比率が高くなると、社会保障制度を支える「働く世代」に大きな負担がかかることも懸念されます。

人口の推移から分かる世界の現状

現在は増加している世界人口も、子どもたちが成長する頃には減少するといわれています。日本では既に人口が減り始めているため、世界人口の減少を他人ごとではないと感じる人も多いでしょう。

また人口増減率・人口構成・出生率などのデータからは、国や地域によってさまざまな事情があることが分かります。子どもから人口について聞かれたら、人数やランキングだけでなく、今後の予測や世界の現状も含めて教えてあげるとよいかもしれません。

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