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「世界食料デー」ってどんな日?
わたしたちが生きていくために、絶対に欠かせない食料。しかし、世界では食料にかかわる数多くの問題が起きており、対応が急務とされています。そうした食料問題の存在と解決の重要性を国際社会に訴えるために定められた記念日が「世界食料デー」です。英語表記は「World Food Day」。
この記事では、最も有名な国際デーのひとつともいわれる「世界食料デー」について、その目的・歴史・由来、取り組みなどをわかりやすく解説します。
世界では9人に1人が飢えている
世界では約77億人のうち、およそ8億2100万もの人たちが飢餓状態に苦しんでいます。つまり、世界の9人に1人が毎日の食べ物を手に入れることができず、さらに3人に1人は栄養不良に苦しんでいます。
その一方で、世界では毎年約40億トンの食料が生産され、実はそのうちの約1/3、年間約13億トンが廃棄されています。日本では、年間約600万トン以上が廃棄されています。この問題は「フードロス」とも呼ばれています。
食料は不足しているわけではなく、世界の飢餓の大きな原因は、需要と供給の不均衡なバランスにあるといわれています。さらに気候変動による自然災害なども、食料問題を悪化させています。
2024年の「世界食料デー」はいつ?
世界食料デーは、国際連合(以下:国連)が組織する「国際連合食糧農業機関(以下:FAO)」が定めた記念日です。2024年の「世界食料デー」の日付と曜日を確認しましょう。
今年の「世界食料デー」は10月16日水曜日
世界食料デーは、毎年10月16日と定められています。2024年は水曜日にあたります。過去3年間、来年以降3年間の曜日は以下の通りです。
・2021年10月16日土曜日
・2022年10月16日日曜日
・2023年10月16日月曜日
・2025年10月16日木曜日
・2026年10月16日金曜日
・2027年10月16日土曜日
「世界食料デー」とは?
「世界食料デー」は、食料にまつわる問題を国際社会にアピールする日。国際連合食糧農業機関(FAO)は、どのような意図や経緯を持って、この日を国際デーに制定したのでしょうか?
目的
「世界食料デー」は、政府、国際機関、地域団体、個人が世界の食料問題を考える日です。最も重要な基本的人権である「食料に対する権利」は、何よりも最優先に守られなければなりません。
世界の食料生産と分配の問題を改善し、世界中から飢餓、栄養不良、貧困を撲滅することがその目的です。
歴史
1945年、世界の食料安全保障を強化するために、国連の専門機関として国際連合食糧農業機関(FAO)が設立されました。
1979年に開催された第20回FAO総会で「世界食料デー」の制定が提案・採択され。1981年から世界共通の国際デーとなりました。ちなみに「世界食料デー」に定められた10月16日は、FAOの創設日を記念したものです。
由来
FAOが「世界食料デー」を制定した背景には、世界的な食料問題が依然として解決できていないことがあります。飢餓や栄養不足などの食料問題は、アジアの一部地域やアフリカ、南米などで深刻なダメージを与えており、世界では今も8億人を超える人々が健康で活動的な生活を送るために必要な食料を手にすることができていません。
そして飢餓で苦しむ人口の約70%は子どもです。年間約690万人、5秒に1人の子どもが飢餓を原因に、栄養不良を含めると年間約920万人、1分間に12人の子どもの命が失われています。
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「世界食料デー」の日本の取り組み
食料問題が生み出す飢餓や栄養不良を解決するため、FAOをはじめとする世界各国の政府や国際機関、地域団体などがさまざまな支援・啓発・広報活動をおこなっています。ここでは「世界食料デー」における日本の取り組みを紹介します。
「世界食料デー月間」の制定
日本は2008年から10月を「世界食料デー月間」と定めています。FAOをはじめ、飢餓や食料問題を解決するために活動しているさまざまなNGO、NPOと連携して、情報発信やイベントを開催しています。
農林水産省でのPR活動
2021年の「世界食料デー」は前年に続き二度目の新型コロナウィルスのパンデミック下での開催となりました。より良い生産、より良い栄養、より良い環境、そしてより良い生活のために、より効率的で、包括的で、回復力があり、持続可能な農業食料システムへの変革を支援する必要性の認識向上に焦点を当てました。食料システム改善に取り組むさまざまなパートナーの視点を通じて、「農業・食料システム」の複雑な概念を解き明かすことを目的としました。
また2023年は「水は命の源、水は食の源、誰一人取り残さない」をテーマとし、人々の生活に欠かせない水の大切さに注目。特に、食のための水への行動変容を促進しました。
世界食料デーイベントの開催
外務省とFAOは「世界食料デーイベント」を開催。2023年は「WORLD FOOD NIGHT 2023 with 横浜〜世界とつながるわたしの食卓〜」と題し、水資源の課題に照らして世界の食料安全保障の現状を検証しました。またSDGsサミットの成果を踏まえ、折り返し点を迎えたSDGsの進捗状況と今後求められる行動についても考えました。
「世界食料デー」の海外の取り組み
10月16日の「世界食料デー」を迎えるにあたり、世界各地で食料問題や飢餓の問題を考え、行動に起こすことを狙いとしたイベントやキャンペーンなどが開催されています。
「世界食料安全保障委員会」の開催
ローマのFAOの本部に1974年に設置された「世界食料安全保障委員会」は、毎年10月16日の「世界食料デー」前後に、食料問題に関する国際的な政策を議論しています。2010年からは、NGOや市民団体なども参加できるようになりました。
国連WFPの「世界食料デーキャンペーン」
「国際連合世界食糧計画(以下:国連WFP)」は、世界の飢餓をなくすために活動する国連の食料支援機関。国連WFPは、毎年「世界食料デーキャンペーン」を展開。2023年は「#ごちそうさまチャレンジ」として食品ロス削減の取り組みが寄付となり、途上国の給食支援につながりました。
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「世界食料デー」に、わたしたちができること
世界の食糧問題や飢餓を解決するため、わたしたちに何ができるのでしょうか?ここでは「世界食料デー」に際して、わたしたちができることを考えてみます。
フードロスを減らす
食料問題や飢餓の解決に向けて、わたしたちができる一番身近で、直接的な取り組みが「フードロス」を減らすことです。
日々の買い物や調理、外食のなかでわたしたちひとりひとりがフードロス、つまり廃棄する食料を減らすことは、食料問題、飢餓の解決につながります。
「世界食料デー」にまつわる情報発信
10月16日の「世界食料デー」に際して、政府や国際機関、NGO、NPOは、さまざまな情報を発信しています。そうした最新情報をキャッチし、また気になる情報を周囲に拡散したり、自分の意見を発信することで「世界食料デー」や、その取り組みを広めることができます。
「ゼロハンガーチャレンジ」に参加
国連WFP協会が開催する「ゼロハンガーチャレンジ」に参加することができます。食品ロスを減らすアクションを行い、SNSに投稿すると1投稿が120円の寄付となり、国連WFP協会が開発途上国の子どもたちに学校給食を届けます。
身近な取り組みのきっかけに
世界各地での食糧不足や飢餓の問題は、しばしばニュースなどでも伝えられますが「実感がわかない」という感想も正直なものでしょう。ですが、日本でも最近、満足に食事を取ることができない子どもの存在などがクローズアップされています。
食事を満足に食べることができない。そんな状況はHugKum読者の皆さんには、なかなか想像できないことだと思います。ですが、10月16日の「世界食料デー」には、少しだけそうした現実に目を向け、フードロスを減らすなど身近な取り組みを始める、きっかけとしてみてください。
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文・構成/HugKum編集部