目次
食品ロスとは?
買い過ぎ、食べ残し、消費期限切れ… これらのような理由で、食品を無駄にしていませんか? 本来ならまだ食べられる食品を捨ててしまうことを「食品ロス(フードロス)」といいます。世界の人口の約9人に1人が飢餓に苦しむ一方で、食品の供給量を消費しきれない「食品ロス」が、日本を含む先進国で深刻な問題に。
昨今注目されている「SDGs(持続可能な開発目標)」でも大きな課題のひとつとされ、「2030年までに小売・消費レベルにおける『世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減』させ、『収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少』させる」といった目標も示されています。
食品ロスは放っておくと、どのような問題を引き起こしてしまうのでしょうか? どのようなことが原因となり、どのような対策をしていけばいいのでしょうか。
参考:『グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン 公式サイト』
食品ロス問題、なぜいけないの?
先述したように、世界には食料が不足している国と、食料が余る国の両方が存在しています。そして、「食品ロス」はその一因であると考えられているのです。
「食品ロス」が飢餓問題の一因に
世界で毎年生産されている食料は、約40億トン。これは世界の全人口に行き渡るには十分な量といえるのですが、それでも不均衡が生じているのが現状です。
その一因として指摘されているのが、収入が多く消費が見込まれる先進国が、消費しきれるかしきれないかに関わらず大量の食料を生産し輸入していること。そして、そのことによって、食料の多くが先進国に集中していることなのです。
環境への影響も
さらに、「食品ロス」は、環境問題にも影響を及ぼしています。食べ残された食料を廃棄するために消費されるのは、多くの資源やコスト。可燃ごみとして燃やすことで、焼却作業、そして灰の埋め立てが必要となったりと、「食品ロス」は環境にも負荷をかけているといえます。
食品ロスはどこから?
世界全体の食品ロスを含めた食品廃棄物の量は、13億トンにものぼります。つまり、年間の生産量が40億トンであれば、その約3分の1は廃棄されていることに! そのうち日本だけでも、年間600万トン、毎日大型トラック(10トン車)約1,640台分の食品が、食品ロスによって廃棄されているというのも事実です。
「事業系」と「家庭系」から
そんな日本の食品ロス600万トンの発生要因は、「事業系」と「家庭系」両方によるもの。両者の食品ロス発生量や、発生理由は下記のとおりです。なんと、「家庭系」が食品ロス発生要因のおおよそ過半数を占めているのです。
・事業系=324万トン…規格外品、返品、売れ残り、食べ残しなど
・家庭系=276万トン…食べ残し、手つかずの食品(直接廃棄)、皮の剥きすぎなど(過剰除去)
家庭から出る食品ロスの割合
では、一般家庭では、どうしてまだ食べられる食品が捨てられてしまうのでしょうか。
消費者庁が実施した「食品ロス削減」に関する実証事業の結果では、その理由として、
(1)食べ残し=57%
(2)傷んでいた=23%
(3)期限切れ11%(賞味期限切れ6%、消費期限切れ5%)
(※ 平成29年に徳島県で調査実施)
以上の3点が大半を占めていることが分かっています。
出典:『政府広報オンライン』
食品ロス対策に家庭でできることは?
食品ロスの大きな要因が「家庭系」であるということは、その対策も、各家庭から真剣に取り組んでいく必要があるということではないでしょうか。
ここでは、先述の「家庭から出る食品ロスの原因の割合」をもとに、食品ロス削減を目指して一般家庭でできることを確認していきましょう。
作ったものは食べ残さない
当たり前のことですが、食べ残しを減らすためには、料理を食べ残さないように各家庭のひとりひとりが心がけることが大切。もしも残してしまったら、次の日に回したり、リメイクをしてみることもできるはず。また、作りすぎたり、外食の際には頼みすぎたりしないように気をつけましょう。
必要な分だけ買い物する
気づいたら傷んでいた…ということがありがちな生鮮類。一度にたくさん買い過ぎてしまうと、傷むまでに消費しきれないことがあります。買い物をする際は、必要な分だけを買うようにしましょう。
正しく保存して期限内に使い切る
消費し切る前に期限が切れてしまった…なんてパターンも家庭ではよくある話。しまい忘れや保存方法を誤ったことによる、カビや腐敗も防ぎたいところです。食料は、正しく保存して期限内に使い切れるように気をつけましょう。
食品ロス削減に向けて|家庭での取り組みをアンケート調査
では、各ご家庭では食品ロス削減に向けて、どのような取り組みがされているのでしょうか? Hugkumメルマガ読者のママパパを対象にアンケートで聞いてみました。寄せられた回答を厳選の上、ご紹介いたします。
子どもが食べきれるよう工夫する
子育て家庭において、子どもの食べ残しは大きな課題のひとつかもしれません。いただいた回答には、子どもが食べやすそうな献立を立てたり、食べ切れる量だけを盛り付けるなど、お子さんの食べ残しを減らせるよう工夫する声が目立ちました。
残ったら翌日食べる
それでも子どもが食べ残してしまった場合は、親が自分たちで食べるというご家庭も。お子さんが自分で全て食べ切れるようになるまでは、しばらく辛抱が必要かもしれませんね。
子どもの食べ残しは親が食べる
また、どうしても食べ物を余らせてしまったとき、食べ物によっては、次の日の献立に回すこともできますね。最近ではファミレスでも、食品ロス削減のために、食べきれなかった料理の持ち帰り用容器を提供している場合があります。お家でも外食でも、どうにか食事を無駄にしないように心がけていきましょう。
買い過ぎない工夫をする
食べ残しの原因の多くが「作り過ぎ」「買い過ぎ」ではないでしょうか。食べ切れないほど買い物をしないことは、その両者を防ぐのに最も大切で有効なこと。
ついつい買い過ぎてしまう「お腹が空いているとき」は買い物しないようにしているという方も見受けられました。
消費期限の近いものから購入する
スーパーの陳列棚に並ぶ消費期限の近い商品は、そのまま売れ残れば廃棄されてしまいます。スーパーでの食品廃棄削減のために、「できるだけ消費期限の近いものから購入する」という、見習いたい回答も!
皮まで食べる
もったいない野菜や果物の皮。栄養面を配慮しても、捨てずに料理に取り入れたほうが良いものも多いようです。インターネット上には野菜や果物を皮ごと食べられるレシピが多数存在しているので、チェックしてみましょう。
アレンジやリメイクで美味しく食べる
残った料理を同じ形で翌日に食べるのは、なんだか味気ない…。そんな方は、アレンジやリメイクをしてみましょう。おなじ料理でも、工夫次第でアレンジ方法は無限にあるかもしれません。
食品の期限を管理する
期限切れによる食料の廃棄もまた、実にもったいないもの。買ったことを忘れたり、期限が切れるまで使わなかったりしないよう、十分に気をつけたいところです。なかには、食品の購入日や残数をきちんと記録し、管理しているという方もいらっしゃいました。
「食べ物を無駄にしない」ひとりひとりの心がけが大切
食品ロス削減のために何よりも大切なことは、ひとりひとりが食べ物を無駄にしないように、日々心がけていくこと。捨てる食料を少しでも減らすにはどんな工夫をしたらいいのか、今回ご紹介したみなさんの取り組みを参考に、ご家庭にあった方法をぜひ考えてみてくださいね。
構成・文/羽吹理美