安売りの野菜を買ってきて腐らせた経験はありませんか? 特に旬の野菜は比較的、手ごろな値段で売られているため、つい多めに買い過ぎてしまいがち。すぐに食べきれば問題ないのですが、保存を目当てで買ってきて失敗するケースも。それでは、日本の食品ロスを増やす要因を作っているようなものです。ここでは、最後まで美味しく野菜を食べ切るための基本の保存法についてご紹介していきます。
野菜の保存方法の基本
それでは、野菜の保存方法を、常温・冷蔵・冷凍と順を追ってご説明します。
常温で保存する
野菜は、それぞれ保存に適した温度帯があるのをご存じですか? 一般的に根菜類などは、常温向き。ただ、常温保存は厳密な条件の見極めが大事なんです!
基本的に常温の温度帯は、15~25度くらい。風通しのよい直射日光に当たらない場所が条件になります。つまり、室内に置いておくだけが「常温ではない」ということです。室内の温度を一定に保てる環境であれば問題ないのですが、例えば夏場の不在時などには注意が必要です。気づくと30度以上になっていることって、よくあるものです。季節や室温を確認しながら臨機応変に「常温」を調整するのも保存のコツです。
冷蔵庫で保存する
冷蔵室の庫内温度は、マイナス3~10度ですが、これだとたいていの野菜には温度が低すぎます。そのため冷蔵室には野菜専用の野菜室があります(もともと内臓されていない機種は除く)。
野菜室は、マイナス5~10度に設定されているのが基本です。冷蔵庫で野菜を保存する場合は、乾燥を避けるためポリ袋などに入れて、この野菜室に保存するようにしましょう。
※冷蔵庫内の温度帯は、メーカーや機種によって異なります。
冷凍庫で保存する
なるべく長期保存がしたい場合は、冷凍庫内がおすすめ(たいていは、マイナス15度以下に設定)。
冷凍保存法は、野菜の種類によって異なります。しっかり洗って水けを拭いてから冷凍するのは基本中の基本。その上で、繊維質の多い野菜は細かく切るか茹でるなどのひと手間が必要になる場合も。用途ごとに賢く保存法を変えるのが冷凍保存のポイントです。
野菜の種類ごとの保存方法と見分け方
野菜は、購入した後も生きています。そのため、保存するには野菜の個性を知ることが第一優先です。ここでは、種類ごとの保存法についてまとめてみました。
根菜類の保存
にんじんやかぼちゃ、ゴボウなどの根菜類は常温保存できます。
にんじんやかぼちゃは、丸ごとの場合は新聞紙へ包んで冷暗所へ(カットした場合は、冷蔵庫へ入れます)。ゴボウも同様に、新聞紙へ包んで冷暗所へ置いておきましょう。
ただ例外も。夏場や梅雨など室内の温度や湿度が変動しやすい時季は、冷蔵庫の野菜室へ入れておく方が安心です。また、茎菜類である玉ねぎも常温保存向き。より長く保存するためには、ネットなどに入れて風通しの良い場所へ保管するのがベストです。
いも類の保存
里芋やじゃがいもなど土の中で育ついも類は、常温保存が一般的。新聞紙に包んで風通しのよい場所へ保存しておきましょう。
いも類の中でも、特にじゃがいもは発芽しやすい野菜です。「じゃがいもの芽は、毒だから食べないように」ということは、よく聞く話ですよね。その理由は、じゃがいもの芽や緑がかった皮には、ソラニンやチャコニンと呼ばれる天然の毒素が多く含まれているからなんです。人によっては、腹痛や頭痛、嘔吐などの症状が現れることもあります。直射日光が当たる場所に置いてしまうと、発芽を早めてしまうことになるため要注意! もしも風通しのよい冷暗所がない場合や、夏場などは冷蔵庫で保存するようにしましょう。
葉物野菜の保存
ほうれん草や小松菜、キャベツなどの葉物類は、栄養素も多く常備しておきたい野菜です。ただ、少し傷みやすいのが難点。特に雑菌が増えると腐りやすくなるため、買ったままの袋に入れっぱなしはNG! よく洗って水けを拭いてからポリ袋へ移し、冷蔵庫の野菜室で保存しておきましょう。
果菜類の保存
トマトやキュウリ、ナスなどは果菜類に属します。他にもゴーヤやトウモロコシなども同じ仲間です。
すでにお気づきの方もいるかもしれませんが、果菜類は夏野菜が多いのです。夏生まれの野菜は、寒さに弱いというのが特徴。そのため冷蔵庫でも比較的、温度の高い野菜室へ入れましょう。また下処理は葉物類と同様に、洗って水けをきちんと拭いてからポリ袋へ入れて保存することが大切です。
野菜が長持ちする保存のテクニック
では、具体的に鮮度保持のテクニックをご紹介します。野菜ごとに保存例をもとに説明していきますので、参考にしてみてください。
育った状態で保存する
野菜は育った環境に近い状態で保存するのがいちばん鮮度をキープできるんです。例えば、葉物野菜は縦に長く伸びますよね。そのため、高さを維持する容器(ペットボトルなど)を活用して立てて野菜室などで保存するとよいです。
加えて、葉物野菜の根元をキッチンペーパーなど(水で濡らしたもの)で包んでからポリ袋に入れると、水分を補給させながら長持ちさせることができます。この時、ポリ袋を完全に閉じないのもポイント! 野菜が窒息死しないように、空気ができる道を確保してあげましょう。
天日干ししてから保存する
干すことで旨味や栄養価がアップする食材があります。ズバリ、きのこ類です。
食べやすい大きさに切ったきのこを盆ザルなどに並べて、天気の良い日に天日に干すだけ! 干すことでビタミンDが増し、旨味もアップすると言われています。また乾燥することでカサが減るため、保存がしやすくなるという利点も。瓶や袋などに入れて冷蔵庫で3週間ほど保存可能です。
新聞紙で包んで保存する
泥つきの長ねぎなどは、新聞紙で包んで冷暗所で保管します。
他にも新聞紙の保存に適しているのは、じゃがいもやにんじんなど。じゃがいもは、前出の天然毒素の問題もあるため、エチレンガスが発生しやすいリンゴと一緒にポリ袋へ入れて冷蔵庫で保存すると発芽しにくくなります。
よく使う野菜の保存方法一覧
常備しておくと便利な定番の野菜の保存方法は、こちらからご覧ください。下処理のコツも紹介しているので、普段の調理が時短になること間違いナシです。
にんじん
新聞紙に包んで冷暗所、もしくは冷蔵庫の野菜室へ。冷凍する場合には下記記事を参考に。
大根
大根も新聞紙に包んで冷暗所、もしくは冷蔵庫の野菜室で保存。冷凍する場合には下記記事をご覧ください。
玉ねぎ
上でもご紹介したように、玉ねぎは風通しのよい場所で常温保存が基本。ただし、カットしたり下ごしらえを済ませて冷凍すると、調理の時短になるという裏ワザもあります。
じゃがいも
新聞紙に包んで冷暗所に保存。夏場は冷蔵庫の野菜室へ。冷凍保存する方法もあります。下記記事をご参考に。
キャベツ
ポリ袋に入れて野菜室に入れるのが一般的な保存方法。冷凍する場合には、下茹でして水気が切ってからラップ&ポリ袋でくるんで冷凍室へ。
野菜の保存におすすめアイテム
日常の野菜保存で持っ常備しておくと便利なアイテムはこちら♪
・ラップ
・冷蔵・冷凍用ジップロック
・ポリ袋
・新聞紙(または、ペーパータオル)
・アルミ箔
※他にも、乾物などの湿気からを防ぐガラス瓶や、金属トレーがあると冷凍庫での急速冷凍などに活用できます。
ストリックスデザイン 鮮度保持ポリ袋 Lサイズ
エチレンガス減少効果と抗菌効果により、袋内の野菜や果物の鮮度を保つ専用保存袋。さまざまな野菜・果物に使用することができ、サイズもLサイズのほか、Mサイズがあります。
NIPRO 鮮度保持袋
老化促進ホルモンを吸着透過する大谷石粉末を使用。水滴が付着しにくく、防腐菌の発生・増殖を制御します。水洗いして乾燥させれば再利用も可能で経済的。
関西紙工 愛菜果 グリーン L・M・Sサイズ
こちらも野菜の老化の原因、エチレンガスを吸収・透過する大谷石粉末を配合。適度な気体透過性、透湿性で、野菜にとって適した環境をキープします。
OXO 野菜保存容器 グリーンセーバー フードキーパー
エチレンガスを活性炭リフィル(天然ヤシガラ活性炭)がしっかり吸収。底上げされたバスケットが通気性をキープし、食材から出る余分な水気から野菜や果物を守ります。開閉が調節できる通気孔で湿度もコントロールできます。野菜を洗う際にはコランダーとしても使えて便利。
野菜の保存方法をもっと知るためのおすすめ本
最近、食材の保存法についての書籍は多く出版されています。より深く知りたい方におすすめの本をご紹介しておきます。野菜を美味しく食べきれば、お財布にも優しい暮らしができるはず! ぜひ、正しい知識を身につけてくださいね。
『選び方ポイント付き 食品の保存テク便利帳』
野菜・肉・魚介類から調味料まで、保存法だけでなく、良品の選び方も指南。安全な素材選びと家庭での食材保存に役立つ一冊です。
『効率よく栄養をとる 食べ方&保存のコツ事典』
食材保存のコツだけでなく、栄養面にフォーカスして、効率よく栄養を摂る食べ方や食べ合わせ、調理法なども解説されています。毎日の食事を見直し、体の不調を改善したい方にもおすすめ。
『もっとおいしく、ながーく安心 食品の保存テク』
野菜・果物に限らず、肉・魚介類・卵・豆腐・乳製品等々、全200品目以上の保存テクニックを網羅。冷蔵、冷凍、干すなど、さまざまな方法で食材のおいしさをキープするワザを紹介します。
『野菜のおいしい冷凍・解凍』
冷凍学の専門家・鈴木徹教授とテレビでおなじみの料理研究家&ラク家事アドバイザー島本美由紀さんのコラボレシピブック。冷凍テクニックだけでなく、凍ったまま調理の時短レシピや、栄養価アップのテクニックまで、実践的な知恵が満載です。
撮影・文/川越光笑(たべごとライター・栄養士)