玉ねぎをたくさん入手したら
玉ねぎは扱いやすい食材ですから、大量にあっても困ることはありません。冷凍にも向いていて保存もしやすく、どんどん使えますよ。
玉ねぎの旬は
通年にわたりスーパーで見かける皮が乾燥した玉ねぎは、貯蔵に適した品種です。一方、春に出回る「新玉ねぎ」は、辛味が少なくて水分が多いのが特徴です。こちらは長期の保存ができません。
一般的な玉ねぎは冷暗所や、風通しのよい場所に干して保存すると、1か月ほどは問題ありません。しかも冷凍がしやすく、調理前・調理後にかかわらず冷凍保存ができます。たくさん入手できる機会があれば見逃さず、適切な保存を施してくださいね。
痛みが出る前に調理
玉ねぎは薄皮に包まれているため中が見えませんが、切ってみると、中が茶色く変色していることがあります。嫌な臭いもしていたら、これは痛みが生じています。傷んだ部分をはずして早めに加熱調理に使用します。さらに、根が出たり、身が縮んだりすることもありますから、長期保存ができるとはいえ、おいしさが保たれているうちに調理してください。
あめ色玉ねぎをマスター
カレーにあめ色玉ねぎを加えるとおいしいのは周知の事実ですが、毎回作るのは大変、というのが本当のところではないでしょうか。玉ねぎの量が増えるとその分、炒める時間も長くなります。ところが、冷凍または電子レンジを使うと10分程度の炒め時間で作ることができるんです。
思い切りたくさん使って、トロトロの甘い旨味を楽しみましょう。ハンバーグ、スープの味もグンと深みを増します。
冷凍玉ねぎで作る、あめ色玉ねぎ
慣れるまでは、コゲないように火加減に気をつけてください。あめ色になる理由がわかれば、火を強めてもコゲなくなります。
【1】まず、玉ねぎ2個を丸ごと冷凍します。冷凍用の保存袋に入れ、そのまま冷凍庫へ入れればOK。一晩たてば、玉ねぎの細胞が壊れて繊維が柔らかくなります。
【2】冷凍庫から、丸ごと冷凍した玉ねぎを取り出し、皮をむきます。
【3】水を張ったボウルに5分程度つけておくと、半解凍されて包丁が入ります。半分に切ってください。
【4】まだ固いので、ケガには気をつけてスライスします。
スライスする時は、繊維を断ち切る方向に切ってください。半解凍のため、厚みや大きさが揃いにくいですが、仕上がりは形がなくなり、全体にトロトロになるので、かまいません。
【4】油をひいて温めたフライパンに半解凍のまま入れ、加熱します。
【5】最初の5分程度はほとんど触らず、出てきた水分で煮るように加熱を続けてください。
【6】水分がなくなり、フライパンの縁にコゲのようなものがつき始めます。これが、大事な甘みの素です。苦味に変わる前に、小さじ1/2〜1杯程度の水や、白ワインを入れて溶かしながら、玉ねぎにまとわせてください。さらに炒めていきます。
しっかりと混ぜ続けるのがコツですが、ゆっくりと進めたい場合は、火を弱め、水分を頻繁に足しながら進めます。慌てて失敗するよりは、確実に甘いトロトロ感が出せます。
【7】全体があめ色になったら火を止め、フライパンの縁に残る甘みの素を、最後まできれいにこそげ取り、完成です。ここまで15分です。
・注意点
炒め終わったあとのフライパンに、成分が残っていると次の調理の際に焦げてしまいます。テフロン加工のフライパンは、ペーパーでよく拭き取ってください。それ以外は、たわしなどで洗い落としてください。
電子レンジで作る、あめ色玉ねぎ
次は、生の玉ねぎから作る、あめ色玉ねぎです。電子レンジで加熱をしてから炒めます。こちらも簡単ですよ。しかも、冷凍保存ができます。
【1】生の玉ねぎ2個を使います。皮をむき、繊維を断ち切る方向にスライスしてください。
【2】耐熱の容器に、1個分ずつ入れて広げます。電子レンジ700wで4分ほど加熱します。
【3】加熱後、ひとつまみの塩を加え、全体にまぶしてください。浸透圧で水分が出やすくなります。
【4】油をひいて温めたフライパンで炒めていきます。
【5】冷凍玉ねぎより水分が出にくいためコゲやすく、火加減には気をつけます。頻繁に少量の水分を足して、旨味を溶かしながら進めます。10分程度で完成しました。
あめ色玉ねぎの冷凍保存
炒めた玉ねぎの粗熱をとった後、フリーザーバックに詰めて凍らせます。使いたい時に好きな量を割り出せて、便利ですよ。あらかじめラップで小分けしておくのもいいですね。
丸ごと煮込んで!基本の玉ねぎスープ
ごく基本のシンプルなスープです。このままでもおいしいですが、ベーコンや鶏団子、野菜を加えるとより味わいが深まります。出汁として使えば千差万別の使い道が。しかも、冷凍ストックができます。
材料
鶏の手羽先 15本
玉ねぎ 2個
ネギの青い部分、生姜の皮
水 800cc(目安)
塩・胡椒 適量
作り方
【1】鍋に鶏と皮をむいた玉ねぎを丸ごと入れます。ネギを入れ、ひたひたになるまで水を入れます。
【2】火にかけ、あくを取りながら煮込みます。
【3】最後に塩と胡椒で味を調えます。
冷凍する際は
冷凍する際は、鍋のまま冷ましてからスープを濾します。こうすると、鶏がしっとりしたまま取り出せるので、生姜醤油で焼くとおいしく食べられます。
スープと玉ねぎはフリーザバックに入れて冷凍へ。
こまめに作って大量消費!玉ねぎドレッシング
簡単なので、毎日でも作れます。生のすりおろし玉ねぎは血液をサラサラにしてくれますよ。
材料
玉ねぎ 1/2個
にんにく 1片
酢 100㏄
塩 小さじ1
胡椒 小さじ1
オリーブオイル 100㏄
作り方
【1】玉ねぎを粗く刻みます。
【2】材料をすべてボウルに入れ、ハンドミキサーなどで全体を撹拌してください。トロリとしてきたら完成です。
玉ねぎはすりおろしてもいいし、野菜カッターでもいいです。材料としっかり混ぜるだけです。
玉ねぎの大量消費メニュー
あめ色玉ねぎ、玉ねぎのスープを使って作れるメニューをご紹介します。
トマトとコーンのドライカレー
フレッシュなトマトとチーズのトッピングでおいしさ倍増!
◆材料
(2~3人分)
合挽き肉 250g
トマト 1個(200g)
玉ねぎ 1/4個
コーン缶 1缶
しょうが、にんにく 各1/2かけ
サラダ油 大さじ1/2
カレー粉 小さじ1
【A】
酒、中濃ソース 各大さじ1
ケチャップ 大さじ3
塩 小さじ1/4
こしょう 少々
カッテージチーズ、ご飯 各適量
◆作り方
【1】トマトは1㎝角に切り、玉ねぎ、しょうが、にんにくはみじん切りにする。コーン缶は汁気を切っておく。【A】は合わせておく。
【2】フライパンにサラダ油、にんにく、しょうがを入れて弱火にかける。香りが出たら中火にし、玉ねぎを炒める。しんなりしたら合いびき肉を加えて炒め、色が変わってポロポロになったらトマトの2/3量を加える。トマトの残りはトッピング用にとっておく。
【3】トマトがくずれるくらいまでしっかり炒めたら、カレー粉を加えて炒める。香りが出たら【A】とコーンを加え、汁気が少なくなるまで炒める。
【4】器にご飯を盛りつけて【3】をのせ、取り分けておいたトマト、カッテージチーズをのせる。
教えてくれたのは
新谷友里江さんさん
料理家・フードコーディネーター・管理栄養士。祐成陽子クッキングアートセミナー卒業後、同校講師、料理家アシスタントを経て独立。野菜たっぷりの家庭料理やかわいいおやつなど、楽しいアイディアが詰まった料理が人気。2児のママ。
煮込みハンバーグ
高野豆腐が入って、ハンバーグにカルシウムをプラス。おいしく焼きあがったら本格的なソースで煮込んで、さらにおいしさアップ!
◆材料
(2~3人分)
合いびき肉 200g
高野豆腐 2枚(1枚約18g)
【A】
きくらげ(乾) 20片程度
卵 1個
おろし玉ねぎ 1/4個分
塩 小さじ1/2
こしょう 少々
トマトの水煮 1缶(400g)
おろしにんにく 少々
【B】
トマトケチャップ、中濃ソース 各大さじ1
オイスターソース 大さじ1/2
塩 小さじ1/2
油 大さじ1
パセリ(みじん切り) 少々
◆作り方
【1】高野豆腐は熱湯をかけてから冷まし、水気を切って、フードプロセッサーなどを使ってなるべく細かくする。【A】のきくらげは水で戻して洗い、みじん切りにする。
【2】ボウルに合いびき肉、高野豆腐を入れてよく練り混ぜ、さらに【A】を加え混ぜてよく練ってから6等分にして形作る。
【3】フライパンに油を熱し、【2】を入れて強火で片面2~3分ずつ、両面焼く。
【4】細かくつぶしたトマトの水煮、おろしにんにくをフライパンに入れて煮立て、フタをして10分煮る。【B】を加えてさらに3~4分煮る。
【5】皿に盛り、パセリを散らす。
教えてくれたのは
藤井 恵さん
ふじいめぐみ/料理研究家、管理栄養士。女子栄養大学在学中から料理アシスタントを務め、料理家の道へ。25~30歳の5年間育児休業するも、復帰後、メディア各種、イベント、講演会など、幅広く活躍。「キユーピー3分クッキング」(日本テレビ系)の講師としても人気。
『めばえ』2017年1月号
キャベツとじゃがいものポタージュ
定番具材にキャベツを加えていつものポタージュをちょっぴりイメチェン! 仕上げのコーンフレークが食感のポイントに。
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
キャベツ 3枚
じゃがいも 3個
玉ねぎ 1/2個
ベーコン 2枚
オリーブ油 大さじ1
【A】
水 2カップ
顆粒スープの素 小さじ1
牛乳 2カップ
塩 少々
コーンフレーク 適量
◆作り方
【1】キャベツはざく切りにし、じゃがいもは皮をむいて乱切りにする。玉ねぎは薄切り、ベーコンはみじん切りにする。
【2】オリーブ油を熱して【1】を炒め、【A】を加えてふたをし、野菜がやわらかくなるまで弱火で煮る。
【3】火を止めて粗熱をとり、ミキサーにかける。鍋に戻して牛乳を加え、ひと煮立ちしたら、塩で味を調える。
【4】器に盛り、コーンフレークをのせる。
※大人は仕上げにこしょうをふってもおいしい。
◆ポイント
ミキサーがない場合は…
【1】素材をやわらかく煮たあと、熱いうちに、お玉の背でつぶします。お玉の代わりに、すりこぎやフォークを使ってもOK。
【2】さらに、なめらかにするには、作り終わった最後に、ざるでこし、ざるに残った分をへらでつぶします。
『ベビーブック』2011年3月号
一発ミートソースパスタ
〝ゆで〟と〝味つけ〟を同時に行う超スピード仕上げで、見た目も味も本格派!
◆材料
(2人分)
スパゲティ(1.6mm、7分ゆで) 160g
サラダ油 大さじ1/2
玉ねぎ 1/2個
マッシュルーム(生) 3~4個
合いびき肉 200g
水 2カップ
コンソメ(顆粒) 小さじ1
トマトの水煮缶(カット) 1/2缶
トマトケチャップ 大さじ3
砂糖、こしょう 各少々
好みでオリーブオイル 大さじ1
塩、粉チーズ 各適量
◆作り方
【1】フライパンにサラダ油を入れ、粗みじん切りにした玉ねぎとマッシュルーム、合いびき肉を、ひき肉の色が完全に変わるまで炒めておく。
【2】【1】に水、コンソメ、塩少々、トマト缶を加え、スパゲティを半分に折って入れ、ふたをして強めの中火にかける。煮立ったら一度ほぐすように混ぜ、再びふたをして弱めの中火で7分蒸しゆでにする。
【3】ふたを取り、火を少し強くして混ぜ、最後にケチャップ、塩少々、こしょう、砂糖で味をととのえる。好みでオリーブオイルを回しかけ、粉チーズをふる。
※スパゲティのゆで時間と水分の量は必ず守ってください。
教えてくれたのは
武蔵裕子さん
料理研究家。和食をはじめ、洋食、中華、エスニックと、幅広いジャンルにたけた家庭料理のエキスパート。わかりやすくて作りやすい、おいしいレシピの数々は、忙しい主婦たちから厚い支持を受けている。著書も多数。
『めばえ』2019年7月号
涙対策は、道具を上手に使って
玉ねぎの大量消費につきものなのが、止まらない涙、ですね。これは、野菜カッターやハンドミキサーなどを上手に使って避けてくださいね。そのほうが気軽にとりかかれて、より幅広く使うことができます。
また、たくさん貯まる茶色い皮は、草木染めに。玉ねぎは、植物の中でも随一の染まりやすさです。お子さんと一緒に楽しむのはいかがでしょうか。
この機会に、ぜひたくさん食べて楽しんでくださいね。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)