5位 天空の城ラピュタ
5位は『天空の城ラピュタ』(1986年公開、宮崎駿監督)です。
主人公は、見習い機械工の少年・パズーと、空から降ってきた少女・シータ。シータが持つ「飛行石」をめぐる陰謀をきっかけに、壮大な事象にふたりは巻き込まれていきます。好きな人を守ろうとするパズーの勇敢さや、凛としたシータの姿は、子どもたちの心にもきっと響くはず。
「好きな人を守って、勇敢に生きること。知らない世界がたくさんあるから夢を持ってほしい。」 (大阪府・女性・子ども1人)
「強い心を育て、芯のある人になってくれそうなので。ストーリーとしても面白いけど、内容が濃くて深い。」(群馬県・女性・子ども1人)
「不思議な世界に感動してほしいです。」(東京都・女性・子ども2人)
4位 魔女の宅急便
『魔女の宅急便』(1989年公開、宮崎駿監督)が4位に。
魔女の母と人間の父との間に生まれた少女キキが、魔女のいない町での修行の旅に出ることからお話は始まります。親元を離れた場所で、新たな出会いや、挫折、スランプを経て、成長していくキキ。大人になる過程できっと誰もが経験する苦悩が描かれているからこそ、それを乗り越えていくキキの姿を、子どもたちにも見せてあげたいですよね。
3位 となりのトトロ
子どもから大人まで、みんなが大好きな『となりのトトロ』(1988年公開、宮崎駿監督)は3位でした。
サツキとメイ、そして「トトロ」と呼ばれる生き物の不思議な交流を描いた本作。夢のようなファンタジーとともに描かれる舞台は、なんと、昭和28年の日本。ぐいぐい引き込まれる物語を楽しみながら、井戸での水汲みや、見たこともないタイプの電話機など、日本の古い文化に子どもたちが触れるきっかけにもなりそうです。
「絵本のような夢いっぱいのトトロの世界、あの音楽と素晴らしい映像は絶対に見せるべき。現在とは違う昭和の日本を楽しんでほしい。」(愛知県・女性・子ども1人)
「最初から最後までワクワクドキドキで、笑顔で観ていられる。歌も一緒に歌って、森に一緒に行ったらトトロに会えるかもなんて。今の子供達は、井戸を汲むのも手や足踏みで洗濯やふんどしなど知らないので、日本の古い文化も観れて勉強になりました。 」(長野県・女性・子ども2人)
2位 風の谷のナウシカ
2位は、宮崎駿監督が自身原作の同名漫画を映画化した『風の谷のナウシカ』(1984年公開)でした。
大戦争によって文明も自然も崩壊してしまった世界を舞台に描かれるのは、争う人間の愚かさと自然の尊さ。幼い子どもには難しいシーンも多いかもしれませんが、「いつかで構わないので、じっくり見て、真剣に考えてほしい」といった声が多数寄せられていました。この地球を大切にしていくためにはどのようなことをしていけばいいのか、鑑賞後は家族で語らいたくなる作品です。
「勧善懲悪では片付けられない、人間と自然界との関わり、人間関係の複雑さなど、切り取る面で如何様にも解釈できる深い作品だからです。わかる年齢になってからでいいので、原作も必ず読んで欲しい。」(埼玉県・女性・子ども2人)
「何年経っても色褪せない世界観があるところ。架空の物語だがどこか遠い将来に起こる予感もあるストーリーで初めてみた時はただ面白い、絵が綺麗、音楽も素敵くらいにしか思わなかったが、大きくなってから見るとまた違った感想を持ちます。ジブリ作品はほとんど見ていますが、何度も見返すのは、ナウシカ、トトロ、魔女の宅急便、ラピュタ、紅の豚だけです。子供にも大きくなったら何度も見たくなるアニメなので、特に何度も見ているナウシカを薦めたいと思っています。」 (石川県・女性・子ども1人)
「二酸化炭素の削減等叫ばれてる昨今ですが、今の生活をこのまま続けていけばいつかは、地球全体があんな世界に変わってしまいそうで、ナウシカを見て環境問題等にも目を向けられる子になってもらいたいからです。 」(群馬県・男性・子ども2人)
1位 火垂るの墓
1位は、1988年公開の高畑勲監督作品『火垂るの墓』。
昭和20年終戦間近の神戸を舞台に、戦災孤児となった兄妹の、あまりにも悲しい経験と運命を描いた作品。
戦争を経験した人が希少となりつつある現代だからこそ、本作からその悲惨さをリアルに感じ、同じ歴史を繰り返してはならないことを心に留めてほしい、と多くのご家庭からコメントをいただきました。
「戦争の悲惨な歴史を忘れてはいけません絶対に観て感じてほしいです戦争はしてはいけないと。」(愛知県・男性・子ども1人)
「空襲があった戦争時代を描いているからです。もう少し大きくなって理解出来るようになったら見てほしいと思います。」(福島県・女性・子ども1人)
「自分がこの作品を見た時に感じた気持ちや戦争への思いを鮮明に覚えているので、子供達もこの作品から何か大事なものを感じとるだろうと思うから。」(千葉県・女性・子ども2人)
「戦争を全く知らず、平和を当たり前と思っていて、日本にも戦争があったことや今現在も危うい状況で生きている人々がいることを想像すらできていない様子だから。1番の弱者達である普通の人々や子供達の戦時中の様子を知ってほしい。」 (東京都・女性 ・子ども2人)
「ジブリ作品は親子そろって大好きなので、ほとんどの作品を一緒にみています。ただ火垂るの墓だけは、5歳の息子には内容的に少し早いのかな…と、いつか観てほしい作品として置いています。私の世代は祖父母世代から戦争体験を聞いて育ちましたが、息子たちの世代はもう戦争を体験した方の生の声を聞くことはないかな…と考えると、こういう作品を通して戦争の悲しさ、辛さを感じてほしいと願っています。」(山形県・女性・子ども2人)
「戦争を通して置かれている状況が変化していく兄妹の体験や心の動きから、少しずつ理解して成長していってもらいたいと思います。」(北海道・女性・子ども2人)
鑑賞体験が、社会課題や自身の生き方についてを考えるきっかけに
ここまでお伝えしてきたとおり、「いつか子どもに見せたいジブリ作品」として挙がった作品の多くが、環境問題や戦争など、社会課題をテーマとしたものでした。ほか、勇敢でやさしい心を持つ主人公の生き様を子どもに見せたい、というものもありましたね。
感動的な鑑賞体験だけでなく、鑑賞後もさまざまなことに考えを巡らせるきっかけをくれる、ジブリ作品の数々。ぜひ、一度見ておしまいではなく、成長ごとに繰り返し見ながら理解を深めていきましょう。
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構成・文/羽吹理美