二十四節気とは、太陽の公転周期を分割して一年を二十四の季節に分けたもの。春分、夏至、秋分、冬至など、季節を表す言葉として、暮らしの中のさまざまな場面に登場します。そんな二十四節気は、忙しい毎日の中で忘れてしまいそうになる豊かな季節の恩恵を思い出させてくれるとてもいい機会。ぜひ、子供と一緒に季節の巡りを感じるひとときをもってみてください。ささやかだけれどゆるぎない幸せの経験は、子供たちの“いのちの根本”を長きに渡り支えてくれることでしょう。
今日2月4日は二十四節気「立春」です
立春(りっしゅん)
まだまだ寒さが厳しい日が続きますが、暦の上ではこの日から春。節分を過ぎ、立春が来て、旧暦ではお正月を迎えます。夕方になって気がつけば日が伸びてきたことを実感し、太陽の光が強くなってきたなとうれしくなり、見上げれば一つ二つと咲き始めた梅の花を見つけることができるでしょう。春の足音を聞きながら、ソワソワと待ち遠しい気持ちになる頃です。
かすかな花の香りを味わう珍しい「椿の天ぷら」
まだ寒さが残る春の初め。色の寂しい景色の中で、はっとさせるような紅色の花を咲かせているのは、椿です。ぽとりぽとりと落ちた花は道を彩り、歩く者の足元を照らしてくれます。
その椿の花の天ぷらをご紹介しましょう。数年前に友人宅の食事会で初めていただきました。恐る恐る食べてみると、しべの部分がほんのり甘くて、花の香りが口の中にかすかに残ります。
椿の中でも、食用に適するのは藪椿(やぶつばき)です。作り方は簡単。七分咲きの花を見つけてがくをはずし、衣をつけて油で揚げるだけです。ポイントは衣を薄めにすること。塩や天つゆでいただきます。季節を楽しむ一品です。
広田千悦子さんの『口福だより』には、季節を楽しむヒントが満載!
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388359
広田千悦子(ひろたちえこ)
日本の文化・歳時記研究家。文筆家。新聞や雑誌、WEBにてコラム・挿絵を執筆。企業アドバイザー。ラジオ、TVなどのメディアに出演。ライフワークは季節のしつらいと祈りのかたちづくり。築80年の日本家屋スタジオ秋谷四季、東京、鎌倉、名古屋などで、季節のしつらい教室を開催。日本の行事の源流に触れつつ、現代のくらしや世代に合わせて提案。中日新聞、東京新聞の連載「くらし歳時記」は11年目。著書は、ロングセラーの『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)など25冊。
撮影/広田行正 イラスト/広田千悦子 構成/神﨑典子