二十四節気とは、太陽の公転周期を分割して一年を二十四の季節に分けたもの。春分、夏至、秋分、冬至など、季節を表す言葉として、暮らしの中のさまざまな場面に登場します。そんな二十四節気は、忙しい毎日の中で忘れてしまいそうになる豊かな季節の恩恵を思い出させてくれるとてもいい機会。ぜひ、子供と一緒に季節の巡りを感じるひとときをもってみてください。ささやかだけれどゆるぎない幸せの経験は、子供たちの“いのちの根本”を長きに渡り支えてくれることでしょう。
今日3月6日は二十四節気「啓蟄」です
啓蟄(けいちつ)
冬の間、春を待っていた虫たちが暖かさを感じて目を覚ます頃。「啓」はひらく、「蟄」は土の中で冬ごもりをしている虫のことを意味します。春に生まれた小さな虫たちも飛び始めます。春の優しい雨に満たされて、大地と大気が潤い、やがて草木が芽吹く。そんな準備が整ってはじめて、小さな虫たちが固く閉じた戸を開いて外に出てくるのです。自然の流れは、とても丁寧に整えられているのですね。
「ヨモギの新芽」の香りで心身ともにリフレッシュ
わが家の山の畑の隅に、ヨモギの新芽がちょこちょこと生えてきました。まだ小さいけれど、鼻を近づけて息を吸い込めば、新鮮な香りが心地よく体に入ってきます。
疲れも一新してくれるような独特の香りをもち、草餅や草団子などの食べ物だけでなく、お灸に使うもぐさの原料など、昔からさまざまな用途に使われています。
ほぼ一年を通して採取できますが、今の時期の新芽はアクが少ないのに香りはフレッシュだからぜひ楽しみたいところです。
舂の香りをまるごといただくにはやはり天ぷらがぴったり。沖縄ではフーチバーという野菜として売られており、炊き込みご飯や野菜炒めにしていただきます。
広田千悦子さんの『口福だより』には、季節を楽しむヒントが満載!
口福だより
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388359
広田千悦子(ひろたちえこ)
日本の文化・歳時記研究家。文筆家。新聞や雑誌、WEBにてコラム・挿絵を執筆。企業アドバイザー。ラジオ、TVなどのメディアに出演。ライフワークは季節のしつらいと祈りのかたちづくり。築80年の日本家屋スタジオ秋谷四季、東京、鎌倉、名古屋などで、季節のしつらい教室を開催。日本の行事の源流に触れつつ、現代のくらしや世代に合わせて提案。中日新聞、東京新聞の連載「くらし歳時記」は11年目。著書は、ロングセラーの『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)など25冊。
撮影/広田行正 イラスト/広田千悦子 構成/神﨑典子