二十四節気とは、太陽の公転周期を分割して一年を二十四の季節に分けたもの。春分、夏至、秋分、冬至など、季節を表す言葉として、暮らしの中のさまざまな場面に登場します。そんな二十四節気は、忙しい毎日の中で忘れてしまいそうになる豊かな季節の恩恵を思い出させてくれるとてもいい機会。ぜひ、子供と一緒に季節の巡りを感じるひとときをもってみてください。ささやかだけれどゆるぎない幸せの経験は、子供たちの“いのちの根本”を長きに渡り支えてくれることでしょう。
春は、もうすぐ!今日2月19日は二十四節気「雨水」です。
雨水(うすい)
少しずつ春の兆しが見え隠れする頃。雪が降ることも少なくなり、降る雨の冷たさもやわらいで心地よく感じるようになります。草木もうれしそうにその雨を浴びて、乾いていた土もしっとりとしてきます。大地からは雑草の新芽が顔をのぞかせ、その表情のかわいらしいこと! 雪や氷が溶けて、新しい命のために世界がうるおい始めます。
「梅の箸置き」が食卓に春を呼び込みます
わが家から見える畑の梅の木にも、一つ二つと花が咲き始めました。メジロも待ちかねていたように花の間を飛び回り、みつを吸っています。木のそばに行くと、地面にはオオイヌノフグリが咲き、とう立ちしたフキノトウが葉を広げ、確かな春の訪れに心は躍ります。
そんな中、東京に住む友人が久しぶりに遊びに来ました。季節を一緒に感じたくて、梅の小枝を箸置きにしてそっとテーブルの上に置きました。
気品ある梅の花の香りがふとした拍子に胸に染み込んできます。香ってくる塩梅(あんばい)もなにげなくてちょうどいい。かわいらしい小さな梅花に思わず顔がほころびます。生ものゆえのはかなさ、それもまたいいのです。
広田千悦子さんの『口福だより』には、季節を楽しむヒントが満載!
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388359
広田千悦子(ひろたちえこ)
日本の文化・歳時記研究家。文筆家。新聞や雑誌、WEBにてコラム・挿絵を執筆。企業アドバイザー。ラジオ、TVなどのメディアに出演。ライフワークは季節のしつらいと祈りのかたちづくり。築80年の日本家屋スタジオ秋谷四季、東京、鎌倉、名古屋などで、季節のしつらい教室を開催。日本の行事の源流に触れつつ、現代のくらしや世代に合わせて提案。中日新聞、東京新聞の連載「くらし歳時記」は11年目。著書は、ロングセラーの『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)など25冊。
撮影/広田行正 イラスト/広田千悦子 構成/神﨑典子