二十四節気とは、太陽の公転周期を分割して一年を二十四の季節に分けたもの。春分、夏至、秋分、冬至など、季節を表す言葉として、暮らしの中のさまざまな場面に登場します。そんな二十四節気は、忙しい毎日の中で忘れてしまいそうになる豊かな季節の恩恵を思い出させてくれるとてもいい機会。ぜひ、子供と一緒に季節の巡りを感じるひとときをもってみてください。ささやかだけれどゆるぎない幸せの経験は、子供たちの“いのちの根本”を長きに渡り支えてくれることでしょう。
今日4月5日は二十四節気「清明」です
清明(せいめい)
空は青く清々しく晴れて、なんだかスキップをして鼻歌を歌いたくなるような、明るく気持ちのいい日が多くなる頃です。桜をはじめ、大地にはたくさんの草花が咲き始め、そろそろ遠い国からツバメが渡って来て巡る季節を知らせてくれます。うららかな春の陽気の中で、ウグイスもすっかり上手に「ホーホケキョ!」と美しい声を響かせています。
旬とはまさにこのこと!今しか味わえない「筍」づくし
待ち遠しかった桜のピークもあっという間に過ぎると、風に舞う花びらの行方をつい追いかけてしまいます。
桜の様子を確かめたくて、上を見て歩くことが多かった日々が、今度は道にふりつもる花びらに意識が向いているはず。来年まで見られないという思いで景色を眺めれば、日常へのいとおしさが増してくるでしょう。
さて、筍(たけのこ)も旬を迎えはじめます。筍は、できるだけ早く下ごしらえするのをおすすめします。空気にふれると皮が黒ずみ、かたくなってしまうからです。やわらかな先端はサラダやお刺し身、和え物に、真ん中は煮物や筍ご飯に、かための下部は揚げ物や炒め物に向いています。
広田千悦子さんの『口福だより』には、季節を楽しむヒントが満載!
広田千悦子(ひろたちえこ)
日本の文化・歳時記研究家。文筆家。新聞や雑誌、WEBにてコラム・挿絵を執筆。企業アドバイザー。ラジオ、TVなどのメディアに出演。ライフワークは季節のしつらいと祈りのかたちづくり。築80年の日本家屋スタジオ秋谷四季、東京、鎌倉、名古屋などで、季節のしつらい教室を開催。日本の行事の源流に触れつつ、現代のくらしや世代に合わせて提案。中日新聞、東京新聞の連載「くらし歳時記」は11年目。著書は、ロングセラーの『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)など25冊。
撮影/広田行正 イラスト/広田千悦子 構成/神﨑典子