二十四節気とは、太陽の公転周期を分割して一年を二十四の季節に分けたもの。春分、夏至、秋分、冬至など、季節を表す言葉として、暮らしの中のさまざまな場面に登場します。そんな二十四節気は、忙しい毎日の中で忘れてしまいそうになる豊かな季節の恩恵を思い出させてくれるとてもいい機会。ぜひ、子供と一緒に季節の巡りを感じるひとときをもってみてください。ささやかだけれどゆるぎない幸せの経験は、子供たちの“いのちの根本”を長きに渡り支えてくれることでしょう。
3月21日は二十四節気「春分」です
春分(しゅんぶん)
暦の上での春は、立春(2月4日頃)から立夏(5月6日頃)の前日までとされています。その真ん中にあたる春分は、まさに春の真っただ中。昼と夜の長さが同じになり、この日を境に陽が伸びていきます。子供たちにとっては、外で遊べる時間が長くなって、心も体もなんだかウキウキとするうれしい季節の始まりです。この日のお日様は、真東から昇って真西に沈みます。日の出や日の入りを見ることができる場所にいたら、子供と一緒に真東や真西の方向を確認してみるのも楽しいでしょう。
桜の花に降り立った神様を「お花見」で迎えましょう
春のお彼岸が近づくと、なごり惜しむかのごとく残っていた寒さも一段落します。何かに呼ばれたような気がして見上げると、桜の蕾がふくらんでいるのに気づくのもこのころ。花開く日を心待ちにする日々が始まります。
古(いにしえ)の日本人は桜の開花を神様が降りたしるしと考えていたようで、今よりずっと待ち遠しく思っていたのかもしれません。
みんなでそろって山に神様を迎えにいくという風習が現代の花見の由来となったのではないかといわれていますが、次々に花が咲く春は神様の祝福のとき。現在、私たちがお花見に特別な思い入れがあるのも、そんな昔からの記憶のせいかもしれません
広田千悦子さんの『口福だより』には、季節を楽しむヒントが満載!
口福だより
https://www.shogakukan.co.jp/books/09388359
広田千悦子(ひろたちえこ)
日本の文化・歳時記研究家。文筆家。新聞や雑誌、WEBにてコラム・挿絵を執筆。企業アドバイザー。ラジオ、TVなどのメディアに出演。ライフワークは季節のしつらいと祈りのかたちづくり。築80年の日本家屋スタジオ秋谷四季、東京、鎌倉、名古屋などで、季節のしつらい教室を開催。日本の行事の源流に触れつつ、現代のくらしや世代に合わせて提案。中日新聞、東京新聞の連載「くらし歳時記」は11年目。著書は、ロングセラーの『おうちで楽しむにほんの行事』(技術評論社)など25冊。
撮影/広田行正 イラスト/広田千悦子 構成/神﨑典子