日本の大学数と、その推移は? 学科数や都道府県別の大学数は今どうなってる?【少子化時代の大学事情】

少子化が進む日本で、大学数はどのように変動しているのでしょうか。子どもを持つ保護者にとっては、学科の設置状況や都道府県別の大学数も気になるポイントです。日本の大学数についての推移や実情を知り、将来の参考にしましょう。

日本の大学数の現状は?

日本の大学数は毎年少しずつ変化しています。国公私立の内訳や増減の傾向など、最新の情報を見ていきましょう。

 

日本の大学の多くが私立大学

旺文社の教育情報センターが公開している資料によると、2022年度の日本の大学数は790校です。そのうち592校が私立大学で、全体の74.9%を占めています。

次に多いのが公立大学の94校(11.9%)で、国立大学は82校(10.4%)となっています。残りは文部科学省所管外の「大学校」及び私立・公立の「専門職大学」です。

なお、こちらの統計では、新規募集を停止中の大学・新設認可申請中の大学・大学院大学・短期大学・専門職短期大学・外国の大学の日本校は含まれていません。

参考:日本の大学数 2022年度は790大学|旺文社教育情報センター

日本の大学数の推移

日本の大学数は年々増加しています。新規募集を停止中の大学や、統合した大学を差し引いた推移は以下の通りです。

・2016年度:759校
・2017年度:764校
・2018年度:768校
・2019年度:774校
・2020年度:781校
・2021年度:788校
・2022年度:790校

特に近年では、2019年4月から始まった専門職大学の増加が目立ちます。2022年度までに、私立と公立合わせて15校の専門職大学が加わりました。

公立大学も、学校数・学生数ともに増えています。文部科学省が公開している資料によると、1989年度には39校・約6万人でしたが、2022年度(5月1日時点の速報値)は99校・約16万人となっています。

参考:
日本の大学数 2021年度は788大学|旺文社教育情報センター
日本の大学数 2022年度は790大学|旺文社教育情報センター
公立大学について

都道府県別の大学数

大学の数は、エリアによって差があるのでしょうか。都道府県別の大学数の概要を見ていきましょう。

大学がいちばん多いのは東京

全国でもっとも大学数が多いのは東京都です。2022年度(5月1日時点の速報値)で143校の大学が活動しており、2位の大阪府(58校)を大きく引き離しています。

3位は愛知県の52校で、4位は北海道の37校です。

東京都は、国立大学の数でも12校と全国最多です。国立大学に限れば、北海道が7校と東京都の次に多くなっています。

その他の府県では大阪府が2校、愛知県が4校と、国立大学の割合が意外に少ないことがわかります。

参考:学校基本調査 令和4年度(速報) 高等教育機関 学校調査 大学・大学院 2 大学の都道府県別学校数及び学生数

大学がいちばん少ないのは?

大学数がもっとも少ない都道府県は、島根県と佐賀県(各2校)です。島根県には国立と公立が1校ずつ、佐賀県には国立と私立が1校ずつしかありません。

3番目に少ないのは鳥取県で、国立・公立・私立が各1校となっています。四国の4県も少なく、徳島県と香川県が4校、愛媛県と高知県が5校です。

また島根県は全国で唯一、私立大学がない県です。佐賀県・徳島県・鹿児島県・栃木県には、国立以外の公立大学がありません。なお、国立大学は各都道府県に1校以上存在します。

参考:学校基本調査 令和4年度(速報) 高等教育機関 学校調査 大学・大学院 2 大学の都道府県別学校数及び学生数

日本の大学で学べる学問分野と学科数

行きたい学科があるかどうかは、志望校決定の重要なポイントです。大学で学べる分野と学科の現状を紹介します。

設置の多い学科

日本の大学で学べる学問は、全部で71種類に分類されます。全大学の学科を分野別に集計して多い順に並べたとき、上位3分野は以下の通りです。

1.経営学・経営情報学・商学・会計学:499
2.医療・保健学:357
3.社会学・ 観光学・メディア学:352

4位以下には語学(340)や国際関係学・国際文化学(322)といった、文系の学科が続きます。医療・保健学に次ぐ理系の学科では、情報工学(309)が6位にランクインしています。

参考:日本の大学数 2022年度は790大学|旺文社教育情報センター

増加している学科

2019年度と比較して、2022年度までに学科数が増えた分野と増加数は以下の通りです。

・医療・保健学:31
・経営学・経営情報学・商学・会計学:20
・国際関係学・国際文化学:19
・数学・情報科学:17
・経済学:15
・心理学:13
・語学:12
・中学校課程:12
・情報工学:12
・社会学・ 観光学・メディア学:11
・看護学:11
・栄養学:11

国際関係学・国際文化学や語学については、社会のグローバル化の流れを反映したものと考えられます。デジタル化が急速に進んだことで、情報科学や情報工学の分野も増加傾向にあります。

参考:日本の大学数 2022年度は790大学|旺文社教育情報センター

エリア別の学科数

エリアによって、学科数に偏りが見られる分野もあります。学科数の多い経営学・経営情報学・商学・会計学や、医療・保健学はどのエリアでも上位を占めており、どこに住んでいても学ぶチャンスがあると考えてよいでしょう。

北海道や東北地方では文系の学科が少なく、代わりに他のエリアでは少ない農学や農芸化学が多い特徴が見られます。

また、獣医学や船舶・海洋工学・商船学、原子力工学など、特殊な設備が必要な学科はそもそも設置している大学が少なく、学べないエリアのほうが多いといえます。

参考:日本の大学数 2022年度は790大学|旺文社教育情報センター

エリアで差が出る大学数や学科数

日本には2022年現在790校の大学がありますが、国公私立の割合や学科数はエリアによって異なるのが現状です。また、学科の設置状況は社会情勢に左右されやすく、子どもが受験を迎える頃には既存の学科がなくなっていたり、新たな学科が登場したりする可能性もあります。

来るべき大学受験に備え、全国の大学数や学科数の推移に今から注目しておくと安心です。

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文・構成/HugKum編集部

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