姓名の順番、ローマ字表記での書き方が変わった! その経緯や注意点を解説

姓名をローマ字で書く場合、「名・姓」の順で書くのが一般的でした。しかし、2020年から書き方が変更されています。そこでこの記事では、姓名のローマ字表記の書き方が変更になった経緯や、「姓」「名」の順の書き方・方法、書くときの注意点を紹介していきます。

2020年1月1日から、ローマ字表記は「姓」「名」の順に

政府は、2020年1月1日から、ローマ字表記は「姓」「名」の順にすることを決定しました。今後は、官公庁や報道機関、学校教育における英語などの指導でも、「姓」「名」の順で表記することになります。

「姓」「名」の順に書くことになった理由

「姓」「名」の順に書くことを決めた理由には、「日本人名の表記を統一したい」「日本の伝統に即した表記にすることが望ましい」という思いが、日本政府・国語審議会(日本の国語政策に関する審議会)にあったからといわれています。

日本以外で「姓-名」と表記する国はある?

名前の表記の形式には、広く世界を見渡すと「名-姓」「姓-名」、「名」のみ、自分の「名」と親の「名」を並べて表記するものなどがあります。日本では、「姓-名」と表記します。

日本以外に「姓-名」と表記する国は、中国、韓国、ベトナムなどのアジアの数か国と、ハンガリーしかありません。これらの国のなかで、ローマ字表記のときだけ「名-姓」としていたのは日本だけでした。よって日本の姓名の表記ルールは、かなり珍しいケースだったといえます。

「姓」「名」の順の書き方・方法

ローマ字表記で、「姓-名」の順に書く場合、どのような書き方、方法があるのか解説していきましょう。

これからはどう書くのが正しいの?

姓と名の間にカンマを入れる

姓名をローマ字で表記した場合、どこまでが「姓」で、どこからが「名」なのかわかりにくいことがあります。それを明確にする場合の方法のひとつに、姓と名の間にカンマを入れる書き方があります。この場合には、姓と名の最初の文字を大文字にします。

この表記方法は、学術論文などでよく見られる書き方です。ただし、日本政府が発表した「姓-名」のローマ字表記では、カンマは入れません。

【例】
Otani, Shohei (大谷翔平)
Miyazaki, Hayao (宮崎駿)
Toyotomi,Hideyoshi(豊臣秀吉)

姓を大文字、名を小文字で書く

姓と名を明確に区別する書き方には、姓をすべて大文字で、名の頭文字以外を小文字で書く方法もあります。姓を大文字で書くと、名前との区別がつきやすいのがポイントです。なお、「名-姓」の順で書く場合にも、姓をすべて大文字で記載することがあります。

【例】
OTANI Shohei (大谷翔平)
MIYAZAKI Hayao (宮崎駿)
TOYOTOMI Hideyoshi(豊臣秀吉)

姓名のローマ字の書き方・注意点

姓名をローマ字で記載するときには、「ヘボン式ローマ字」と「ヘボン式以外のローマ字」で書き方が異なります。注意したいポイントをご紹介しましょう。

姓名をローマ字で書くときの注意点とは?

ヘボン式ローマ字

ヘボン式ローマ字では、長音や母音をのばす音に注意が必要です。省略せずに書く場合と、省略する場合があります。

「い」をのばす場合

「い」をのばす場合は、「I」は省略せずに書きます。

【例】
飯田(いいだ)→ IIDA(× IDA)
陽彩(ひいろ)→ HIIRO(× HIRO)
美位子(みいこ)→ MIIKO(× MIKO)

末尾の「う」をのばす場合

末尾の「う」をのばす場合は、「U」は省略します。

【例】
斉藤(さいとう)→ SAITO(× SAITOU)
次郎(じろう)→ JIRO(×JIROU)
加藤(かとう)→ KATO(× KATOU)

途中の「う」をのばす場合

途中の「う」をのばす場合は、「U」は1つだけ入れます。

【例】
雄太(ゆうた)→ YUTA(× YUUTA)
優実(ゆうみ)→ YUMI(× YUUMI)
九太(きゅうた)→ KYUTA (× KYUUTA)

「おう」とのばす場合

「お」を「おう」とのばす場合、「おう」の部分は「O」と書きます。

【例】
康太(こうた)→ KOTA(× KOUTA)
良太(りょうた)→ RYOTA(× RYOUTA)
京子(きょうこ)→ KYOKO (× KYOUKO)

「おお」とのばす場合:「おお」は「O」

「お」を「おお」とのばす場合、「おお」の部分は「O」と書きます。

【例】
太川(おおかわ)→ OKAWA(× OOKAWA)
大谷(おおたに)→ OTANI(× OOTANI)
大山(おおやま)→ OYAMA (× OOYAMA)

ヘボン式以外のローマ字

ローマ字表記はヘボン式が一般的ですが、ヘボン式を使わず自由に表記することもできます。ただし、パスポートや公的な書類では使用不可となることもあるので注意してください。

「お」をのばす場合に「H」を入れる

「お」をのばす場合、「H」を入れて「OH」と表記することもできます。

【例】
佐藤(さとう)→ SATO → SATOH
太田(おおた)→ OTA → OHTA
太郎(たろう)→TARO → TAROH

「K」を「C」で表記する

「K」を「C」で表記することも可能です。

【例】
美子(みこ)→ MIKO → MICO
航(こう)→ KOU → COU

「R」を「L」で表記する

「R」を「L」で表記することも可能です。

【例】
里沙(りさ)→ RISA → LISA
菫(すみれ)→  SUMIRE → SUMILE

名前の途中でハイフン「-」を入れる

読み間違いを防ぐために、名前の途中でハイフン「-」を入れることもできます。

【例】
寛一(かんいち)→ KANICHI → KAN-ICHI(「かにち」と読み間違えられるのを避けるため)
真一(しんいち)→ SHINICHI → SHIN-ICHI(「しにち」と読み間違えられるのを避けるため)

英語圏での姓名の書き方・注意点

ここでは、英語圏での姓名の書き方と注意点を説明していきます。フォームなどに姓名を書くとき、どこに何を書けばよいか間違えないようにしましょう。

名前

名前を指す言葉は「First name」「Given name」「Personal name」「Christian name」の4つあります。

●First name
英語では、「名ー姓」の順に書くことが多く、「First name」は、直訳すると1番目の名前ということから「名」を表します。たとえば、山田太郎さんなら「太郎」がFirst nameです。書類などに記載する場合は、頭文字を大文字で、そのほかを小文字で書きます。

●Given name
「Given name」は、直訳すると「与えられた名前」となり、親から授けられた名前という意味があります。パスポートなどの公的書類によく表記されています。

●Personal name
「Personal name」は、「個人名」「人名」という意味で、「名」を示す言葉です。

●Christian name
「Christian name」は、キリスト教で洗礼の際に授けれる名前のことですが、キリスト教徒の多い英語圏では、「名」を示す言葉としても使われます。

苗字

名字を指す言葉には、「Last name」「Family name」「Surname」の3つがあります。

●Last name
「First name」が「名前」であるのに対し、「Last name」は「最後の名前」という意味から、苗字のことを意味します。たとえば、山田太郎さんなら「山田」がLast nameです。書類などに記載する場合は、頭文字を大文字で、そのほかを小文字で書きます。

●Family name
「Family name」は直訳すると「家族の名前」です。このことから、苗字を示す言葉です。

●Surname
「Surname」は直訳すると「上位の(上にある)名前」となり、苗字を指す言葉です。もともとは、イギリスやフランスで位の高い人のみに与えられていた名前で、封建時代に親子関係を明示するために使われていました。その名残で、現在では苗字を指す言葉として使われています。

ミドルネーム

海外特有の名前に「Middle name(ミドルネーム)」があります。ミドルネームとは、First nameとLast nameの間にある名前のことです。海外では、「First name」「Middle name」「Last name」の順に表記します。これは、同姓同名を避けるためにつける名前で、すべての人が持っているわけではありません。

ミドルネームに使われる名前には、「先祖の名前」「母方の姓」「自分の旧姓」「親や本人が憧れている人の名前」などがあります。

姓名をローマ字で書くときには、「姓」「名」の順で

国際化が進んでいることから、姓名をローマ字で書く機会は増えていくと考えられます。姓名をローマ字で書くときには、「姓」「名」の順に書くようにしましょう。

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文・構成/HugKum編集部

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