鶴岡八幡宮は、鎌倉でなぜこれほど人気なの? その歴史・故事や見どころを大分解

鶴岡八幡宮は、観光地・鎌倉の中でも指折りの人気スポットです。年代・性別・季節を問わず、訪れる人が後を絶ちません。そのような鶴岡八幡宮の歴史やご利益・見どころなど、実際に訪れるにあたり事前に知っておきたい情報を整理しておきましょう。

鶴岡八幡宮は、どのようなところ?

「鶴岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)に興味があるけれど、具体的にどのようなスポットなのかわからない」という人もいるのではないでしょうか。理解を深めるためのヒントとして、まずは鶴岡八幡宮の基本情報から確認していきましょう。

鎌倉のシンボル・観光地として有名な神社

鶴岡八幡宮は、鎌倉市の東部に位置する鎌倉随一の観光スポットです。その歴史は800年以上と古く、鎌倉のシンボルといっても大げさではありません。

広い境内には、本宮をはじめとする数々の社殿のほか、カフェや茶寮を併設したミュージアムも設けられています。神社の枠に収まらないほどの、さまざまな刺激を受けられることが、鶴岡八幡宮が人気を集める大きな理由といえるでしょう。

鶴岡八幡宮 | TSURUGAOKAHACHIMANGU

鶴岡八幡宮の歴史

鶴岡八幡宮の長い歴史は、1063(康平6)年、源頼朝(みなもとのよりとも)の祖先である源頼義(よりよし)によって始まります。京都の石清水(いわしみず)八幡宮を厚く信仰していた源頼義は、石清水八幡宮を由比ガ浜(ゆいがはま)へ勧請(かんじょう|神社の分霊を別の場所に移し、まつること)し、源氏の氏神としました。

由比若宮(ゆいわかみや)と名付けられたその小さな神社は、時代が下ること約120年後の1180(治承4)年、源頼朝の手によって現在の地に移されます。1191(建久2)年に一度火災に見舞われましたが、再建と再勧請を経て現在の鶴岡八幡宮へと至っています。

鶴岡八幡宮(神奈川県鎌倉市)。本宮から大階段を下りてくる3代将軍実朝を、階段脇の大イチョウの木に隠れた2代将軍頼家の子・公暁が殺害した(1219)という伝説がある。そのイチョウは暴風で根元から折れ(2010)、現在は写真左に見える場所に移植されている。

鶴岡八幡宮のご利益は?

神社への参拝を考えるにあたり、「ご利益(りやく)についても知っておきたい」と考える人は多いものです。鶴岡八幡宮のご利益はどういったものなのか、詳しく見ていきましょう。

仕事運・縁結び・安産

源頼朝にゆかりのある鶴岡八幡宮は、勝負・仕事・出世にまつわるご利益のある神社として知られています。

しかし、鶴岡八幡宮のご利益はそれだけではありません。敷地内にまつられた複数の社が、それぞれに異なるご利益を持っているからです。以下が、鶴岡八幡宮にまつわる主なご利益です。

・勝負運
・健康運
・心願成就
・安産
・開運
・商売繁盛

授かりたいご利益があるなら、ぜひチェックしておきましょう。

鶴岡八幡宮の見どころ

広大な境内を持つ鶴岡八幡宮には、数々の見どころがあります。特に注目したいスポットをチェックしていきましょう。

境内の入り口「三ノ鳥居」

鶴岡八幡宮は、若宮大路といわれる約1.8kmの参道によって由比ガ浜と結ばれています。参道上には、3つの大鳥居が設けられ、海側からそれぞれ「一ノ鳥居」「二ノ鳥居」「三ノ鳥居」と呼ばれています。

三ノ鳥居は、1668年(寛文8年)徳川四代将軍家綱によって寄進され、当時は石造。1923年(大正12年)の関東大震災で倒壊した後、現在の鳥居は鉄筋コンクリート造り。鶴岡八幡宮の参道である「段葛」はこの三ノ鳥居から始まる。

それぞれに壮麗な大鳥居ですが、なかでも境内の入り口にそびえる朱塗りの「三ノ鳥居」のたたずまいは、まさに神域と俗世とを隔てる結界(けっかい)にふさわしいものです。

由比ガ浜から若宮大路を進み、「三ノ鳥居」をくぐるその行程は、鶴岡八幡宮参拝の醍醐味といってよいでしょう。

結婚式も行われる「舞殿」

三ノ鳥居をくぐり、参道をまっすぐ進んだ先にあるのが「舞殿(まいどの、まいでん)」です。舞殿とは、舞楽を行う建物のことで、芸事の奉納や祭典・結婚式などが執り行われています。

この場所には、かつて「若宮廻廊(かいろう)」と呼ばれる廻廊がありましたが、鎌倉大火によって焼失しています。源義経の側室であった静御前(しずかごぜん)が、義経への切ない思いを込めて舞を舞ったという有名な逸話が残る場所です(1186)。

ふらりと足を運んでも十分に楽しめる美しい極彩色の建物ですが、歴史に思いをはせることで、より深い楽しみ方ができるでしょう。

舞殿。鎌倉大火の後、1193(建久4)年に新造された舞殿は唐破風(からはふ)の入母屋造り(いりもやづくり)で、大階段の下にあり「下拝殿(しもはいでん)」ともいう。この舞殿では、参列者と一般の参拝客に見守られながら、伝統的な結婚式を挙げることができる。

国指定重要文化財「本宮」

舞殿をさらに奥へと進み、大石段を登った先にあるのが、国の重要文化財にも指定されている「本宮」です。

鶴岡八幡宮の顔となる社殿で、第15代天皇「応神(おうじん)天皇」・応神天皇の母である「神功(じんぐう)皇后」・主祭神と関わりの深い女神を意味する「比売神(ひめがみ)」の三柱の神様がまつられています。

なお、本宮から来た道を振り返って見てみると、由比ガ浜へと伸びる若宮大路を一望できます。見どころ満載の鶴岡八幡宮のなかでも最大級の見どころとして、忘れずに参拝しておきたいスポットです。

黒塗が印象的な「白旗神社」

鶴岡八幡宮境内の北東部に位置する神社です。黒く塗られた社殿がひときわ目を引く白旗(しらはた)神社にまつられているのは、源頼朝とその息子である源実朝(さねとも)です。必勝・学業成就のご利益があるとされ、受験を控えた学生などが絶えず訪れています。

なお、源実朝が武士として初めて右大臣に任命された日である10月28日には、例年「白旗神社文墨祭(ぶんぼくさい)」が執り行われています。この時期に参拝を計画しているなら、日程を合わせてみるとよいでしょう。

蓮の花が有名「源平池」

鶴岡八幡宮の境内に入るとすぐに現れる石造の橋、「太鼓橋(たいこばし)」の下に広がる池が「源平池(げんぺいいけ)」です。源平池は「源氏池」と「平家池」の総称で、境内奥へ向かって右側が源氏池、左側が平家池となっています。

この源平池は、春は桜、夏は蓮の名所としても有名です。特に、水面を覆う蓮の葉と咲き乱れる白い花は圧巻で、夏に参拝へ訪れる人々の大きな楽しみとなっています。

なお、社殿を背景に太鼓橋から臨む景色は、絶好の撮影スポットとしても人気を集めています。桜と蓮の時期は、いずれも思い出に残る1枚を残せるでしょう(太鼓橋自体は、現在は渡れません)。

太鼓橋。源氏池と平家池をつなぐ水路に架けられている。創建当時は木造で、朱塗りだったため「赤橋」と呼ばれた。現在の石橋は二代目で、初代は関東大震災(1923)で崩壊して、1927(昭和2)年に再建。昭和時代は通行可だったが、現在は通行不可となっている。

季節の移ろいが楽しめる鶴岡八幡宮へ行こう

源氏にゆかりの深い鶴岡八幡宮は、鎌倉武士の守護神として名をはせる神社です。勝負・仕事・出世などを望む人たちが絶えず足を運ぶ、日本屈指の神社といっても大げさではありません。

そのような鶴岡八幡宮は、季節ごとのさまざまな景観が楽しめるスポットでもあります。桜・キショウブ・蓮・紅葉と、日本ならではの風情を感じられるでしょう。

季節を変えて何度も足を運んでみることで新たな魅力に出会える鶴岡八幡宮に、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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構成・文/HugKum編集部

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