アイスランドはどんな国? 氷河とオーロラだけじゃない「火と氷の国」の見どころをチェック【親子で学ぶ世界地理】

北極圏近くに位置するアイスランドは、「火と氷の国」と呼ばれています。この記事では、アイスランドの基本情報や、観光地、特徴などを紹介します。どんな国なのか見ていきましょう。
<画像:スナイフェルスネス半島の大自然>

アイスランドってどんな国?

アイスランドは、国名に「アイス」とつくだけあり、氷の国のイメージがあるかもしれません。氷以外にも、アイスランドにはさまざまな名所や特徴があります。これから説明していきましょう。

アイスランド基本情報

まずは、アイスランドの正式な国名や首都、場所などといった基本情報を見ていきましょう。

国名

正式な国名は、「アイスランド共和国」といいます。

首都

首都は、レイキャヴィークです。

場所

アイスランドの場所は、ヨーロッパと北米大陸の間です。近くには、デンマーク王国の一部であるグリーンランドや、スウェーデン、ノルウェー、イギリスなどがあります。

日本との時差

日本とアイスランドとの時差は9時間で、日本のほうが、9時間進んでいます。たとえば日本が午前9時だとすると、アイスランドは午前0時となります。

面積

アイスランドの面積は、10.3万平方キロメートルです。

日本は37.8万平方キロメートルなので、比較するとアイスランドはおよそ4分の1ほどの面積となります。ちなみに、北海道と四国を合わせた面積が、アイスランドの面積とほぼ同じくらいです。

エリア

アイスランドのエリアは、次のように大きく8エリアに分かれます。
・北アイスランド西部
・北アイスランド東部
・東アイスランド
・南アイスランド
・西アイスランド
・大レイキャヴィーク
・南西アイスランド
・西部フィヨルド

南西アイルランドにあるグトルフォスの滝

北アイスランドエリアは西部と東部に分かれています。西部には、アイスランド最大の滝「グトルフォス」があります。東部には、ミーヴァトン湖やヴァトナヨークトル国立公園があります。

東アイスランドは、人口密度が低いエリアです。

南アイスランドは、観光地や名所が集中するエリアです。世界遺産のシンクヴェトリル国立公園、などがあります。

西アイスランドはファクサ湾に面するエリアです。

大レイキャヴィークは、首都レイキャヴィークがあるエリアです。面積はほかのエリアにくらべて小さいものの、首都であることから、人口が1番多いのが特徴です。また、斬新なデザインの「ハットルグリムス教会」もレイキャヴィークの中心地にあります。

首都レイキャヴィークにあるハットルグリムス教会

南西アイスランドは、火山活動によって形成されたレイキャネース半島一体のエリアです。レイキャネース半島は、ユネスコ世界ジオパークに指定されています。

西部フィヨルド、氷河による侵食作用によってつくられた複雑な地形である「フィヨルド」地形をもつエリアです。

人口

アイスランドの人口は37万2,898人(2020年1月、アイスランド統計局)です。日本の人口はおよそ1億2千万人なので、くらべると300分の1程度となります。

ちなみに、世界194の国のなかでアイスランドの人口の多さは171番目です(WHO 世界保健統計2022年版に掲載されている人口統計より)。

言語・公用語

アイスランドではアイスランド語が使われています。アイスランド語は、アイスランドのみで使われる言葉です。

「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」は「ゴーザンダーフ/ゴーザンダィイン」、「ありがとう」は「タック」といいます。ちなみに、アイスランド国内であればどこでも英語が通じるそうです。

通貨

アイスランドの通貨はアイスランドクローナ(Króna、略称ISK)です。過去には、デンマーククローネ、英ポンド、ユーロが使われていたこともあります。1アイスランド・クローナは0.91円です(2023年1月27日現在)。

紙幣は500、1,000、2,000、5,000クローナの4種類、硬貨は1、5、10、50、100クローナの5種類が流通しています。クローナ硬貨には、タラ、イルカ、カペリン(ししゃも)、カニといった海の生き物がデザインされているのが特徴です。

宗教

人口の約8割の人が福音ルーテル派(国教)を信仰しています。そのほか、カトリック教徒や、北欧信仰の人もいるそうです。

歴史

アイスランドが国として成り立つまでには歴史があります。その歴史を簡単に見ていきましょう。

紀元874年に、ヴァイキングがノルウェー西部からアイスランドに移住。
1262年にノルウェーの統治下に入ります。
1397年、デンマーク王の統治下に入ることになり、1918年にデンマークとの同君連合として独立。
1940年にはデンマークがナチス・ドイツに占領される状況の下、英軍に占領されます。
1944年、アイスランド共和国が成立しました。

天気・気候

アイスランドの気候は、西岸海洋性気候です。偏西風が暖流の上の暖かい空気を大陸に運ぶことから、高緯度のわりには温暖な気候といえます。また、暖流と火山の地熱の影響により、冬はほかの北欧の国にくらべて寒さが穏やかです。とはいえ、年間の平均気温は5℃となっています。東京の年間平均気温が16℃程度ですので、日本とくらべてると寒いことがわかります。

アイスランドには、日本同様四季があります。春の最高気温は5〜6℃程度。日本人の感覚からいうと冬のような寒さです。夏は最高気温が10℃台しかなく、風が強いこともあり、涼しいというより肌寒く感じます。秋の期間は短く、雨が多くなる時期です。10月に入ると雪が降りはじめ、長い冬が始まります。

アイスランドの治安・住みやすさ

レイキャビークの街並み

アイスランドの治安や住みやすさを解説していきましょう。

治安は治安は安定していて安全

アイスランドは犯罪率が低い国といわれており、治安は安定していて安全です。その要因には、穏やかな人が多いといっった国民性や、人口の少なさによるものだと考えられています。 ただし、首都のレイキャヴィークではスリやひったくりといった軽犯罪が発生しているようです。

住みやすさは世界上位

アイスランドは「女性が住みやすい国ランキング」や「老後が快適な国ランキング」「子育てしやすい国ランキング」などで世界1位となっており、暮らしやすい国として知られています。

アイスランドの見どころ・観光

アイスランドは温泉も有名。画像はブルーラグーン

アイスランドには見どころや観光地、名所がたくさんあります。とくに、自然にまつわる観光ができるのが特徴です。

オーロラ

アイスランドでは、9月から翌4月の間でオーロラを観測することができます。オーロラが見られる国はほかにもありますが、町中でオーロラが見られるのはアイスランドだけです。

また、オーロラが観測できる場所の気温はマイナス20℃以上であることがほとんどですが、アイスランドではマイナス10℃ほどでもオーロラが見られ、観測しやすいのも特徴といえます。

オーロラは、首都のレイキャヴィークなどの町中のほか、南部のシンクヴェトリル国立公園、北部のアウスビルギ渓谷、西部のキルキュフェットル山などでも観測できます。

9月から翌4月くらいまでアイスランドで見られるオーロラ

シンクヴェトリル国立公園

世界遺産であるシンクヴェトリル国立公園は、アイスランドの有名な観光名所のひとつ。「黄金の滝」と呼ばれる「グトルフォスの滝」や「ゲイシールの間欠泉」とあわせて、エリア全体が「ゴールデン・サークル」と呼ばれています。

見どころは、地球の大陸プレートの割れ目である「ギャウ」が見られることです。シンクヴェトリル国立公園は、大自然や地球の神秘に触れられる貴重な場所といえるでしょう。

ヴァトナヨークトル氷河

ヴァトナヨークトル氷河は、アイスランド最大の氷河です。大きさは、8,100平方キロメートルもあります。これは、国土の8%を占める割合です。

ヴァトナヨークトル氷河の特徴は、アイスケーヴと呼ばれる氷の洞窟があることです。この洞窟は、氷の壁で覆われ、美しい青い光を放ちます。そのため、「スーパーブルー」と称賛されています。なお、この洞窟に入れるのは冬場のみとなっています。

ヴァトナヨークトル氷河の「光の洞窟」入口

セリャラントスフォス

アイスランド南部にある「セリャラントスフォス」は、落差65mの滝。滝壺の壁側がくりぬかれたような形になっているのが特徴で、滝の裏側から眺めることができます。

また、季節や時間帯によって表情が変わるのもポイントです。運がよければオーロラと滝をいっしょに見ることもできます。

裏側から見るセリャラントスフォスの滝

ブルーラグーン

アイスランドには、世界最大級の露天温泉もあります。それが「ブルーラグーン」です。

隣接するスヴァルスエインギ地熱発電所が発電の際に取り込んだ地下熱水の排水を利用した温泉で、青味がかった乳白色の水質が特徴となっています。ちなみにお湯の温度は、39℃程度に保たれており、水着を着用して入ります。

アイスランドの特徴・有名なもの

アイスランドで特徴的なものや有名なものを紹介していきましょう。

地熱発電

アイスランドでは、火山地帯の地下にあるマグマの熱で加熱された蒸気である地熱を電力にしています。首都のレイキャヴィークでは、暖房用に温水を活用して地熱利用をしているのだそうです。そのほか温水プールやサウナ、フィットネスクラブなどにも地熱が活用されています。

白夜

アイスランドでは夏に白夜が起こります。白夜とは、1日中太陽が沈まない自然現象で、夜になっても明るいです。

レイキャビークの白夜

アイスランドで24時間の日照時間となるのは夏至となる6月21日あたりで、その前後である5月下旬から8月上旬には太陽が沈むため厳密には白夜ではありませんが、日照時間はとても長くなります。

スキール

アイスランドには、スキール(Skyr)という食べ物があります。このスキールは発酵乳製品で、ギリシャヨーグルトと似ています。

食べ方は、そのまま食べたり、フルーツや蜂蜜などと混ぜたりするのだそうです。アイスランドでは「国民食」となっています。

アイスランドのヨーグルト風国民食「スキール」

ハンドボール・グリマ

アイスランドで有名なスポーツには、ハンドボールとグリマがあります。両方とも国技となっているスポーツです。

ハンドボールのアイスランドの競技人口は5000人で、人口比率は1.7%となっています。また、ハンドボールアイスランド代表は、オリンピックでメダルを獲得したこともあります。

グリマはアイスランドの伝統的なレスリングです。通常のレスリングとの違いは、常に立った状態で行われること。また、お互いの周りを時計回りで回ることなどがあります。ヴァイキング時代から行われていたスポーツといわれており、古い歴史があるそうです。

アイスランド・シープドッグ

アイスランドには、アイスランド原産の犬がいます。それが「アイスランド・シープドッグ(Icelandic sheepdog)」です。

牧羊犬や狩猟犬として活躍してきた犬で、細長い口もとに黒い鼻、耳が立っており、中型犬サイズ(体高は42〜46cm)なのが特徴。毛の色には、黄褐色、ブラン、ブラック、グレーに白の斑点などがあります。

自然豊かな火と氷の国

火山や氷河、オーロラ、世界遺産など、見どころいっぱい、魅力いっぱいの国「アイスランド」。この記事で興味が出たら、本やインターネットでアイスランドについてさらに調べてみるのもおすすめです。

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文・構成/HugKum編集部

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