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「果物狩り」その場ですぐに食べられる果物
果物狩りのイメージといえば、まず「すぐに食べられる」ことでしょう。おいしそうなものを選んで収穫する楽しみも味わえるので、子連れにもおすすめです。その場で食べられる主な果物狩りを紹介します。
いちご狩り
果物狩りの代表格ともいえるのが、いちご狩りです。品種や地域によって収穫時期が異なるため、12月から5月頃まで楽しめます。
寒い時期のいちごは、ゆっくり成長してうまみを蓄えるので、甘くて歯ごたえのしっかりしたいちごが好みなら、12月から3月頃がよいでしょう。暖かくなるといちごの水分量が増えてくるため、4月以降のいちごは柔らかく、みずみずしい味わいを楽しめます。
おいしいいちごを見分ける主なポイントは以下の三つです。
・ヘタが鮮やかな緑色でピンと反り返っている
・果肉に艶があり、ヘタの付け根まで赤くなっている
・ツブツブが白ではなく赤みを帯びている
ぶどう狩り
ぶどう狩りのメインシーズンは7月から9月です。大粒の巨峰やピオーネ、皮ごと食べられるシャインマスカット、小粒で種のないデラウェアなど、さまざまな品種があります。
ぶどうは果皮にハリがあり、色の濃いものを選びましょう。枝に近い部分の実から糖度が高くなってくるため、下のほうまでしっかり色づいていれば最後まで甘さを楽しめます。また、新鮮なぶどうの表面には白いブルームという果粉が付いています。
なお、ぶどう狩りでは、房ごと切り取って食べるのがマナーです。粒だけを取ったり、選ぶ際に何度も触ったりしないようにしましょう。
みかん狩り
みかん狩りのメインシーズンは10月から12月です。国内で栽培されている温州みかんは、約100品種あるといわれており、収穫時期によってさまざまな味わいが楽しめます。
・極早生(ごくわせ):
収穫時期は9月から10月で「青みかん」とも呼ばれます。酸味がやや強く、じょうのう膜(みかんの果肉を包んでいる薄皮)が薄めなのが特徴です。
・早生(わせ):
収穫時期は11月から12月前半です。一般的にみかんといえば、この時期に収穫されたものが流通しています。甘みと酸味のバランスがよいため人気のあるみかんです。
・中生(なかて):
12月頃に収穫されます。鮮やかな橙色と濃い甘みが特徴です。
・晩生(おくて):
12月の終わりから3月にかけて流通されます。収穫後1カ月ほど貯蔵して、余分な水分や酸味を抜くため、しっかりした甘みがあります。
「果物狩り」食べ応えが魅力の果物
皮を剥いたり切り分けたりと一手間かかりますが、食べ応えのある果物ならおなかも大満足です。しっかり楽しみたい人におすすめの果物狩りを紹介します。
りんご狩り
りんご狩りのメインシーズンは9月から11月半ばですが、品種や収穫時期・地域によって差があります。早いところでは8月半ばから可能です。
りんごもみかん同様、収穫時期によって4種類に分けられます。
・極早生:8月上旬から下旬に収穫。果肉はやや硬め
・早生:8月下旬から9月半ばに収穫。果肉はやや硬く水分多め
・中生:9月下旬から10月半ばに収穫。比較的甘みと酸味のバランスがよい
・晩生:10月下旬から11月半ばに収穫。果肉は柔らかめで果汁が多く、甘みも強い
りんご狩りでは、大きすぎず重みがあり、果皮にハリや艶があるものを選ぶのがおすすめです。軽くたたいたときの締まった音もおいしさの目安になります。
メロン狩り
メロン狩りは早いところなら4月下旬から楽しめますが、盛んなのは6月から8月頃です。品種や地域によっては10月頃まで可能なところもあります。
メロン狩りの魅力は、何といっても贅沢なメロンを思う存分に味わえることです。食べ放題や、自分で収穫したメロンを持ち帰れたり、用意されているメロンの試食+お土産付きだったりなど、農園によってさまざまな形式があります。
メロンは収穫してから追熟することで、甘く・おいしくなるという特徴があります。全体的に弾力のあるものは食べ頃とされているので、持ち帰る場合はやや硬めを選び、常温(20~25度ぐらい)の日の当たらない場所に置いておきましょう。
もも狩り
甘くみずみずしいももを味わえるもも狩りは、6月から8月がメインシーズンです。川中島白桃や黄金桃など、品種によっては9月中旬・下旬まで楽しめます。
ももはふっくらと丸みがあり、左右対称で産毛がまんべんなく生えているものを選びましょう。高いところに実っているものは、太陽光をしっかり浴びているので、熟して甘い傾向にあります。
また、もものお尻がへこんで柔らかくなっているのも完熟の目安です。果皮の色が濃いもの、香りの強いものも甘いとされています。ただし、ももは傷みやすいので自分が採るものや食べるもの以外は、触ったり指で押したりしないようにしましょう。
果物狩りの注意点【基本のこと】
果物狩りは手頃な料金で楽しめるのが魅力です。しかし、実際に行く場合はいくつかの注意点があります。
動きやすい服装が基本
果物狩りでは、ハウスや畑など土の上を歩いたり、しゃがんで収穫したりします。服装や靴は動きやすいものを選ぶのが基本です。革靴やサンダル・ヒールなどの靴は避けましょう。
食べるときや、皮を剥いたときに果汁が飛ぶことも考えられます。色の濃い果汁であれば、洗濯しても落ちにくい場合があるので、汚れても気にならない服を選ぶのもポイントです。子連れなら着替えも用意しておくとよいでしょう。
また、いちご狩りなどハウスに入る果物狩りでは、季節によって汗ばむ可能性もあります。そのため、温度調節できるような服装がおすすめです。
予約は必須!果物の状態も確認
果物狩りは、予約なしでも可能な場合もあります。しかし、空きがなかったり、果物の生育状態によって当日の来園では不可なケースもあります。目当ての果物や品種がシーズンかどうかの確認もしておくほうがよいでしょう。
特に子連れの場合は「今日はできません」といわれてしまうと、子どもをがっかりさせてしまいかねません。
果物狩りは屋外がほとんどのため、雨天時の対応も聞いておきましょう。ハウス内なら雨でも可能など、農園によって対応は異なります。事前に確認することで「現地に行ったら休園だった」というリスクも回避できます。
各農園のルールを守る
果物狩りでは、係員の指示に必ず従いましょう。「ここからここまで」と果物狩りの場所を指定されたら、それ以外に立ち入ったり、果物を採ったりしないのが鉄則です。
また、食べ放題の場合は食べきれる分量だけを採りましょう。ついついたくさん採りたくなるかもしれませんが、食べきってから次の分を採るようにします。食べ残しは買い取りとして、追加料金が発生するケースもあるので、注意が必要です。
手や口を拭くのに使ったウェットティッシュなど、ゴミは持ち帰るのが基本です。果物の皮や種なども指定の場所に捨てるようにしましょう。
果物狩りの注意点【子連れで気を付けること】
子連れで果物狩りに行くときは、注意が必要です。どのようなことに気を付けるべきか、詳しく解説します。
食べすぎや誤嚥に注意
種類にかかわらず、果物は水分が多く含まれているため、トイレが近くなったり、おなかが痛くなったりする可能性もあります。果物狩りでは、すぐにトイレに行けるとは限りません。子どもが食べすぎないよう見守りましょう。
小粒のぶどうや、さくらんぼ・ブルーベリーといった果物は、子どもが丸のみしてしまうと喉に詰まる危険性があります。内閣府のガイドラインでも、教育・保健施設(学校や幼稚園、保育園など)での給食に避けるべき食材として、ぶどうとさくらんぼが挙げられています。
噛まずに飲み込むと、気管に詰まって窒息してしまいかねないので、親や周りの大人が気を付けなくてはなりません。一粒ずつ与えたり、小さく切ったりするなど工夫して食べさせてあげましょう。
参考:教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン (平成28年3月)|内閣府
果物アレルギーに注意
特定の果物を食べると、口の中や喉にかゆみが出たり、唇が腫れたりする場合は、果物に対してのアレルギー反応がある可能性も考えられます。日常的に食べている果物で、少しでも違和感を感じているなら、疑わしい果物狩りは避けるほうが無難です。
特に注意が必要なのが、花粉に対してアレルギー反応を示す人です。果物の中には、花粉症の原因とされるアレルゲン(アレルギーを引き起こすタンパク質)と似た構造を持つものも少なくありません。ハンノキやシラカンバにアレルギーのある人は、りんご・もも・さくらんぼ、ブタクサ類の場合は、メロンやスイカなどで交差反応を起こす可能性が高いといわれています。
子どもが何に対してアレルギー反応があるのかを把握しておき、少しでも症状があったらすぐに食べるのをやめさせましょう。少量でも激しいアレルギー反応が起きる可能性はあるので、心配な場合は事前に小児科などで相談するのも一つの方法です。
参考:厚生労働科学研究班による食物アレルギーの栄養食事指導の手引き2022|国立病院機構 相模原病院 臨床研究センター
果物狩りの持ち物をチェック
果物狩りは、屋外で気軽に楽しめるレジャーの一つです。大がかりな準備は必要ありませんが、ウェットティッシュや虫よけスプレーなど、持っていくと便利なものを紹介します。
ウェットティッシュやおしぼり
果汁は糖分を含んでいるため、口の周りや手に付くとベタベタになりがちです。しかし、手を洗いたくても水道が近くにあるとは限りません。特に子どもは服で拭ってしまうケースもあります。
果汁は、時間が経過すると落としにくくなる恐れもあるので、すぐに拭けるようウェットティッシュやおしぼりを準備しておくとよいでしょう。
ビニール袋やクーラーボックス
ビニール袋は使用済みのウェットティッシュを入れたり、いちご狩りやさくらんぼ狩りのときに、お土産を持ち帰ったりするのに便利です。
クーラーボックスに保冷剤や氷を入れて持っていけば、果物を冷やしながら食べられます。水はペットボトルやウォータータンクで別に持参すると果物を冷やす以外にも、手を洗ったり果物に付いた土を落とす際などに利用できます。
水を農園で入れさせてもらえる場合もありますが、農園の水道を勝手に使うのは厳禁です。必ず確認をしてから使用しましょう。また、帰りにクーラーボックス内の水を抜けば、お土産用や購入した果物を持ち帰るのに役立ちます。
虫よけスプレーや虫対策グッズ
果物狩りでは虫対策が必須です。果物の甘い香りに誘われて虫が集まってくるため、なるべく腕や脚を露出しない服装を心掛けましょう。暑い時期は、虫よけスプレーや虫よけグッズを併用するのがおすすめです。
ただし、虫よけスプレーをハウス内で使うことは避けましょう。屋外でも、スプレーするときに果物にかからないよう注意が必要です。ブレスレット式やシール式、つり下げ式の虫よけなら、子どもや果物、周囲への配慮も行えつつ虫対策ができるでしょう。
虫に刺されてしまった後に使用するグッズも持っていくと、万一のときに安心です。
万全の対策をして果物狩りを楽しもう
「おいしいのはどれかな」と選びながら収穫も楽しめる果物狩りは、子連れにもおすすめです。特に、屋外で味わう採れたての果物は格別です。
しかし、果物狩りには注意点もあります。食べ放題だからと、手当たり次第に採ってもよい訳ではありません。係員の指示に従い、ルールを守ることが大切です。また、子連れで行く場合は、事前の予約・確認だけでなく、あると便利な持ち物も準備しておけば、より楽しい一日を過ごせるでしょう。
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構成・文/HugKum編集部
参考:FACT BOOK 果物と健康 六訂版|毎日くだもの200グラム推進全国協議会(農林水産省「国産果実競争力強化事業」)