さんまは、近年の漁獲不良により値段が高騰していますが、秋になると食べたくなる魚ですよね。基本的な塩焼きの方法をみていきますが、内臓をぬいて、骨もはずしやすくなる方法で焼けば、お子さんでも食べやすくなります。ちょっとしたコツでできるので、どうぞご活用ください。
秋刀魚の塩焼き
魚を焼くのはグリルが一般的ですが、さんまは脂が多いので、煙が驚くほど出たり、落ちた脂の掃除に手間がかかったり、躊躇してしまう場合も多いもの。ところが意外にも、フライパンで焼くと、さほど汚れずにおいしい焼き上がりになります。
さんまの内臓
さんまは胃袋がなくて、腸も短い特徴があります。これによって排泄物の滞留時間が少なく、えぐみや臭みのない内臓を食べられることへつながります。ただ、苦手な方も多いため、取り除いて食べやすくするのも一案です。その方法をみていきましょう。
【1】まな板の上にラップをひいておくと、片付けがスムーズです。
【2】さんまのお腹側にある肛門を探し、肛門の頭側に切り込みを入れます。

【2】次は頭に、背骨を切断するところまで切り込みを入れます。内臓はつなげたままにするのが、ポイント。

【3】頭を持ち、そっと引き抜くと、内臓がするりと抜けてきます。

さんまの下処理
おいしい仕上がりを目指すなら、下処理が肝心です。
【1】さんまは、流通の過程で多くのうろこははずれてしまっています。一部、残っているうろこを包丁で尻尾から頭にむかってこするととれるので、取り除いてください。サッと流水で洗うと、汚れと共に流れ落ちます。
【2】水分をキッチンペーパーでふき取ります。
【3】全体に塩を振ります。一か所にかたまらないよう、20㎝程度上から振ると、全体にまんべんなく振りかけることができます。
裏表に振って、なじませるために手で塗り込んでください。

10分から15分ほど冷蔵庫で休ませると、余分な脂や水が抜けてきます。これが皮をおいしく焼くコツです。
【4】時間がきたらサッと洗い流し、キッチンペーパーを使って水分をふき取ります。改めて味付け用の塩を振りかけると、より丁寧です。
フライパンで焼く秋刀魚の塩焼き
フライパンで焼く際は、さんまが収まりきらないので困ります。そんな時は丸めて焼くと、骨も外れやすくなるメリットも生まれて一石二鳥。お子さんにもおすすめです。焼いた後は爪楊枝をはずし、刀のような美しい身をそのままお皿にのせてお召し上がりください。
【1】さんまの頭側と、尻尾の部分を爪楊枝で留めて、準備します。

【2】フライパンに、フライパン用のホイルシートをひき、さんまをのせて焼き始めます。
【3】火をつけ、フタをして、弱火から中火で7~8分ほど加熱します。中まで熱を通すために、必ずフタをしてください。

【4】時間がきたら、さんまを裏返します。ここからはフタは使いません。パリッとした焼き上げのポイントです。
【5】脂がのったさんまは、驚くほど多くの脂がにじみ出てきます。余分な脂は、どんどんふき取ってください。

【5】全体に焼き色がついたら仕上がりです。すだちや大根おろしなどを添えて、お召し上がりください。

さんまの基礎知識
さんまについて、基礎知識をご案内します。
英語では「pacific saury」
英語でさんまを表記すると「pacific saury」になります。「pacific」は「太平洋」、 「saury」は「さんま・さんま科」の総称です。私たちが日本でよく食べる種類に限定するなら、北太平洋で多く生息するさんまを表す単語である「pacific」をつけてください。
漢字では「秋刀魚」または「鰶」
水揚げの時期である秋と、さんまの細長い体を刀に見立てたことから「秋刀魚」の当て字が用いられます。鮮度のいいさんまの光輝く銀色は、まさに刀のようです。
また、魚偏に祭りと書く「鰶」、これもさんまを表す漢字です。江戸時代には、庶民の魚として大人気だったさんまが陸揚げされると、お祭りのようになったことに由来しているそうです。
水揚げ時期
シーズン初期の7月中旬はロシア海域やオホーツク海で漁が始まり、ピークとなる9月~11月には北海道、根室から襟裳岬沖が主漁場となります。しだいに魚群が南下して、11月以降は三陸沖での漁が中心となります。さんまの群れと共に漁師も移動していきますが、漁の操業は12月で終わりです。漁師は別の魚の漁へとむかうそうです。
日本に来遊するさんまが減り続け、さらに他外国による漁獲は多くなったことから、日本の漁獲は激減しています。
さんまのお取り寄せ
価格の高騰は否めませんが、旬にしか食べられない味。食べ忘れのないよう、おいしいさんまをお取り寄せしてくださいね。
北海道根室産 厳選生さんま1㎏(8尾前後)

根室産のさんまを、水揚げしてすぐに詰めての発送です。新鮮な味をお楽しみください。
ニッスイ さんま蒲焼K5A EO 100g×5個

年間を通しておいしいさんまを食べられるのが、缶詰です。特に蒲焼はお子さんが喜ぶ味。DHAやEPAなどの栄養素を手軽に摂れることからも人気です。
お子さんにも旬の魚の味を
秋を代表する魚、さんまについて詳しくみてきました。内臓がおいしい、との声もある一方で、苦みが嫌いなお子さんのためには、はずしてあげたほうが、食べやすくなります。
また、骨も多いので嫌がる気持ちもわかりますよね。そんな時は、ご紹介の方法で焼いてみてください。圧倒的にはずれやすくなって、食べ終わった時の骨も見事に残るはずです。おいしい旬の魚を、味わって欲しいですね。
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構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)