「満月」の不思議。月の満ち欠けの秘密とは? 珍しい月の名前も紹介

夜空に輝く丸い満月。月は満ち欠けとともに新月から満月になっていくものですが、そもそも満月はどうやって成り立っていて、月のサイクルはどうなっているのでしょうか。満月の観測に最適な時間や条件、また皆既月食など満月にまつわる現象についてもご紹介します。

満月とは? 月の神秘的な変化

月は細い三日月型から半月へと、少しずつ形を変えていくものです。そして、まんまるくなると「満月」を迎えます。

満月の成り立ち

月がさまざまな形に見えるのは、地球と月、そして太陽との位置が関係しています。月はおよそ1か月をかけて地球のまわりを周回しているため、地球、月、太陽の位置関係は変わってきます。

月・地球・太陽の位置関係によって、月の満ち欠けが生じる

また地球から見える月は、月のうち太陽の光を受けている部分です。月が三日月や半月に見えるのは、太陽の光が地球によって全部あたらないからです。逆に月が地球をはさんで太陽の反対側にあるときは、月は太陽の光によって全体が明るく見えることから、地球から見たときに満月に見えるのです。

新月から満月へ – 月のサイクル

月は「新月→上弦→満月→下弦→新月」を繰り返します。およそ29.5日の周期でこのサイクルは回っています。

新月の日を0日目とカウントした月齢と、月の満ち欠けの関係
  • 新月:月にあたる太陽の光がほとんどあたっていない場合
  • 三日月:西側が細く光っている月
  • 上弦:月の西側半分が光っている月
  • 満月:月の全面が光っている状態
  • 下弦:月の東側半分が光っている月

満月を観測しよう! いつどこで見られる?

満月を観測するとき、どんな時間にどんな条件で見るのがいいのでしょうか?

満月観測の最適な時間と条件

月は昼間でも見ることができます。ただ昼間は太陽の明かりによって、月の明るさがあまり目立ちません。そのため満月をじっくり観測するには、暗くなった時間帯がおすすめです。

また周囲に建物や街の明かりがあると邪魔されることになるため、周囲も暗い場所が満月の観測にはピッタリです。

月の観察ガイド

天体望遠鏡があると月をじっくり観測できますが、肉眼でも月を眺めることはできます。時期によって、月が大きく見えるときと小さく見えるときがあるため、事前に国立天文台や各地の天文台などで情報をチェックしておくといいでしょう。

満月にまつわる現象と特別な名前

暗闇の中に明るく輝く丸い月は、吸い込まれるような不思議な魅力があるものです。昔の人々は、満月には不思議な力があると考えていました。そんな満月にまつわる現象や、特別な名前について見てみましょう。

満月の日には何が起こる?

かつて満月が人をオオカミ男に変身させると考えていた人々がいるように「満月には何かが起こる」と考えられてきました。

実際に満月の日には、出産が多くなるといわれています。満月の日には海の水が月に引かれる力が強まることから、体の多くが水分でできている人間も影響を受けると考えられるのです。

またサンゴの産卵は、満月や新月の近い日に行われることが知られています。これも潮の満ち引きと関連があるとみられています。

皆既月食

月食とは、月の一部が暗くなったり欠けたりするような現象のことです。

太陽・地球・月が、この順番に一直線上に並んだ満月のときに起こります。特に「皆既月食(かいきげっしょく)」と呼ばれるのは、太陽の光が地球にあたり、それによってできる地球の影の中に月が入るときに起こるものです。

地球の影の中に月が隠れるとはいっても、月が完全に見えなくなるのではなく、太陽光の一部の赤い光だけがわずかに月を照らすことになり、月は赤黒く見えます。

皆既月食の赤い月

スーパームーン

スーパームーンとは、毎月見える満月のうち、地球と満月の位置が近く、月が大きく見えることをいいます。

月は地球のまわりを周回していますが、その軌道は丸い円ではなく楕円型です。そのため、地球と月の距離が離れるときと近づくときがあるのです。そして地球と月が近づいて、大きく見える満月をスーパームーンと呼びます。

皆既月食がスーパームーンと重なるときがあり、このときは赤黒く見える月が普段より大きく見えます。その日は、天文ファンをはじめ多くの人が注目する一大イベントになります。

マイクロムーン

スーパームーンとは反対に、地球から月までに距離が最も離れたときに見える満月をマイクロムーンといいます。スーパームーンは大きな満月に見えるのに対して、マイクロムーンは小さく見えます。

国立天文台によると、2023年に起きたマイクロムーンは2月6日で、スーパームーンは8月31日でした。このときのスーパームーンは、2月6日のマイクロムーンに比べて直径が約14%大きく、明るく光っている面積は約29%も広く、その分だけ明るく見えたのです。

ブルームーン

直訳すると「青い月」となるブルームーン。これは月が青く見えるわけではなく、1か月の間に満月が2回現れることをいいます。

新月から満月になって再び新月になるまでのサイクルは、およそ29.5日。そのため1か月に2回満月が見られることはとても珍しい現象で、およそ2~3年に一度となっています。

ピンクムーン

ブルームーンと同じように、色がついている月の名前がいくつかあります。そのひとつがピンクムーンです。

アメリカの先住民族であるネイティブアメリカンは、季節を把握するために、その月に現れる満月に名前をつけてきました。ピンクムーンはそのひとつで、4月の満月のことです。4月は春が訪れて花々が咲く季節のため、そんなイメージから付けられたのかもしれません。

ストロベリームーン

ピンクムーンと同じように、ネイティブアメリカンが6月の満月に付けた名前がストロベリームーンです。これは、6月にいちごの収穫を行うことが由来です。

ウルフムーン

ネイティブアメリカンは、1月の満月をウルフムーンと呼びます。これは1月になるとオオカミが繁殖期を迎え、よく遠吠えをするようになることからつけられました。

ハーベストムーン

9月はさまざまな農作物が実って収穫を迎える時期です。そんな収穫にちなんでつけられたのが、ハーベストムーンです。収穫で忙しい時期の人々はかつて、月明かりの下でも収穫作業を行っていたのかもしれませんね。

ブラッドムーン

ブラッドとは、英語で「血」のことです。ブラッドムーンというとなんだか恐ろしい名前に聞こえるかもしれませんが、これは皆既月食のときに月が赤黒く見えることを表した言葉です。太陽光のうち一部の赤い光だけが月に届くことから、赤っぽく見えるのです。

中秋の名月

中秋の名月とは、旧暦の8月15日の夜に見られる月のことをいいます。

もともと旧暦(太陽暦)では月の満ち欠けから1か月の日付を決めていて、毎月15日の夜は「十五夜」と呼ばれていました。そして旧暦の8月15日の頃は、ちょうど1年で最も美しい月とされていて、お月見をする習慣があったのです。

日本では月見団子などのお供えものをして、月見を楽しむ習慣があります。ちなみに中秋の名月は、必ずしも満月になるとは限りません。

親子で満月を観測してみよう

よく晴れた満月の夜は明るくて、月を見上げたくなるものです。なぜ月は丸くなったり、半月型になったりと形が変わるのか、月の不思議について親子で語ってみるいい機会かもしれません。ぜひ一緒に月を見上げて、月や宇宙について思いをはせてみてください。

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文・構成/HugKum編集部

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