タジキスタンってどんな国?
中央アジアの玄関口にある国、タジキスタン。ウズベキスタン、キルギス、アフガニスタン、中国に接していて、パミール高原を代表とする高原や山岳地帯もあります。独立後に内戦があり政情不安な状態が続いたこともあり、失業率が高く、経済は厳しい状態が続いています。そんなタジキスタンがどんな国か、さっそく見ていきましょう。
タジキスタンの基本情報
まずはタジキスタンの場所や首都、面積、人口、通貨などの基本情報から見てみましょう。
国名
タジキスタン共和国
首都
ドゥシャンベ
場所
タジキスタンがあるのは中央アジアの南東部です。西はウズベキスタン、北はキルギス、南はアフガニスタン、東は中国と接しています。

日本との時差
4時間
日本のほうが、タジキスタンより4時間進んでいます。
面積
142,600㎢
日本の面積が約380,000㎢ですから、タジキスタンの面積は日本の4割ほどです。
エリア
タジキスタンは、3つの州と1つの自治州、さらに首都ドゥシャンベで分かれています。ドゥシャンベは州と同じ位置づけとなっています。

人口
1,010万人
東京都の人口が約1,400万人ですから、タジキスタンの人口は東京都の人口の約7割です。
言語・公用語
タジク語(公用語)のほか、ロシア語も広く使われています。
通貨
ソモニ
1 ソモニ=15.11円(2024年7月6日現在)
宗教
イスラム教スンニ派が最も優勢です。パミール地方には、シーア派の一派であるイスマーイール派の信者も多くいます。
歴史
タジキスタンがあった場所は、紀元前4世紀にアレキサンドロス大王が制圧し、13世紀にはモンゴル帝国が支配してきた地域です。そして1860年代にロシア帝国に現在のタジキスタン北部が併合され、1890年代にはパミール地方の大部分もロシア帝国に併合されました。
1924年には、中央アジアの民族・共和国境界画定により、ウズベク・ソビエト社会主義共和国内にタジク自治ソビエト社会主義共和国が成立。1929年になるとウズベク共和国から分離し、タジク・ソビエト社会主義共和国に昇格しました。そして、1991年にはソ連解体にともないタジキスタン共和国として独立することとなりました。
しかし独立後には、タジキスタン共産党系政府とイスラム系などの野党反政府勢力の間で内戦が勃発。長い間、混乱が続くこととなりました。1997年には、政府と反政府勢力間で最終和平合意が成立しましたが、その後も不安定な治安情勢が続いています。

Ussuriysk Military School (UsSVU)Dmitry Ivlyovthe copyright-holder , CC 表示-継承 3.0, Wikimedia Commons
国旗
タジキスタンの国旗は、赤、白、緑のストライプが入ったデザイン。赤はこの国の伝統的な色で、白はタジキスタンで盛んに行われている綿花生産、緑は他の農作物を表し、中央には金色の冠と7つの星を組み合わせた紋章が入っています。

天気・気候
タジキスタンは大陸性気候です。季節によって気温差が大きく、7月や8月の夏には30℃近くまで気温が高くなる日があります。その一方で、1月や2月の寒い季節はマイナス3℃前後まで下がります。
年間降水量も季節により大きく異なり、夏は降水量が少ないですが、それ以外は多くなります。
タジキスタンの治安・住みやすさ
タジキスタンの治安はどうでしょうか? 住みやすさとあわせて見てみましょう。
治安は危険
タジキスタンの治安は、決していいとはいえません。外務省「海外安全ホームページ」で、全土にわたり、「十分注意してください」のレベル1から「不要不急の渡航中止」のレベル2、「渡航中心勧告」のレベル3が発令されています。
特に危ないレベル3が出ているのは、アフガニスタンとの国境付近とソグド州イスファラ市ヴォルフ地区。アフガニスタンはイスラム過激派組織の勢力が強いため、タジキスタンとアフガニスタンの国境付近はその影響を受けやすく、非常に緊迫した治安状態にあります。そのため外務省でも「どのような目的でも同地域への渡航は止めてください」と強く渡航中止を呼び掛けています。

またログーン市以東、ソグド州、ハトロン州などはレベル2が発令されています。このあたりは、イスラム過激派組織の越境ルートや、麻薬密輸グループの麻薬運搬ルートになっているとみられます。国境警備隊同士の銃撃戦に発展することもあり、とても危険です。
タジキスタンでは「自分の身は自分で守る」という心構えが大切。夜間の一人歩き、乗り合いタクシーの利用などは避けましょう。
住みやすさは
タジキスタンは治安面で危険な地域が多く、在タジキスタン日本国大使館では同国に暮らす日本人に向けて、安全の手引を発表しています。
住むなら高い壁などで囲まれていてカメラ付きのインターホンや侵入防止用の鉄格子がつき、警備員が常駐している集合住宅が安全性が高いとしています。一戸建てで暮らす場合は、周囲から侵入できないような高い塀を設置し、警備員を雇うといったことをすすめています。そのため治安のことを考えると、タジキスタンは住みやすい国とはいえないでしょう。
タジキスタンの見どころ・観光
タジキスタンの観光地にはどんなところがあるでしょうか?
ドゥシャンベ
ドゥシャンベはタジキスタンの首都で、旧ソ連の面影があちこちに残っています。

ドゥシャンベの代表的な観光スポットは、ルダーキー広場です。中央アジアのサーマーン王朝の全盛期を支えたイスマイール・サーマーニーの像が飾られています。また、タジキスタンの歴史を紹介したタジキスタン総合博物館も定番スポットです。
イスカンダル・クル湖

イスカンダル・クル湖はタジキスタンを訪れる自然愛好家に人気の高山湖です。首都ドゥシャンベから北に車で1時間ほどに位置しているため、首都からの日帰り観光にも便利。湖から流れ出る「ファン山の滝」と呼ばれる滝もあり、多くの観光客を集めています。
ホジェンド

タジキスタン第2の都市ホジェンドでは、美しい彫刻が施された噴水や国立劇場、ソ連の職人技が光るアーボブ文化宮殿が人気です。またモスクやバザールなど、人々の生活のワンシーンを垣間見られる場所もあります。
タジキスタンの特徴・有名なもの
タジキスタンで有名なものをご紹介しましょう。
「世界の屋根」パミール高原

タジキスタンは国土のほとんどが高地にあります。その中でも有名なのが、タジク語で「世界の屋根」を意味するパミール高原です。
標高が平均3500〜4500mほどの高原が広がっていて、タジキスタン、中国、アフガニスタンの3つの国にまたがるようにしてあります。雪をかぶった山々などが連なる様子は、まさに絶景です。
綿花の生産
タジキスタンの主要な産業は農業で、その中でも綿花の栽培が盛んに行われています。世界の綿花生産高のうち、上位を占める国にタジキスタンが含まれています。
中央アジアの国タジキスタン
タジキスタンは、タジク人の国家で旧ソ連から独立しました。長いこと内戦が続いて不安定な政情だったため、人々の間には貧困層が多くいます。
治安面で危険なため、日本から旅行に訪れるのはおすすめできませんが、綿花の栽培が盛んに行われているため、もしかしたらいま使っている綿製品はタジキスタンで栽培されたものが原料かもしれません。中央アジアにそんな国があるということに、この記事をきっかけに目を向けてみてくださいね。
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文・構成/HugKum編集部