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岩手の郷土料理「ピーマン味噌」とは?
ピーマンの産地として知られる岩手には、「ピーマン味噌」という郷土料理があります。ご飯のお供や、冷奴、野菜などにかけて食べられていて、ピーマンの苦味と米麹の甘さがクセになるといわれる調味料です。
このピーマン味噌とはどんなもので、どのように作られるのでしょうか?
ピーマン味噌といっても味噌は入っていない⁉︎
「ピーマン味噌」と聞くと、ピーマンを味噌で炒めたものかな? と思いますよね。しかし、実は味噌は使われていないんです。
ピーマン味噌は、刻んだピーマンやししとうを、米麹と醤油、砂糖、酒などで煮込んで作られる調味料です。ピーマンのほろ苦さと、米麹の甘味、そして醤油と砂糖などの味付けで甘辛く、強いていうなら佃煮のような味わい。食べ出すと箸が止まらなくなります。
「ピーマン味噌」はピーマン農家から生まれた?
もともと岩手には、唐辛子を麹で煮込んだ「麹南蛮(こうじなんばん)」という調味料があります。「南蛮(なんばん)」とは北海道や東北地方では、唐辛子のことをいいます。
岩手でピーマンの栽培が盛んになると、ピーマン農家の奥さま方によってピーマン味噌が作られ、岩手の郷土料理として新たに広められました。
ピーマン味噌は手軽に作れる保存食
ピーマン味噌は冷蔵保存で1か月は保存ができ、作り置きにもピッタリ。また冷凍保存も可能なので、小分けして冷凍しておけば長期保存も可能です。
材料に米麹が使われていて、「麹」と聞くと味噌のように「長期の発酵期間がいるのでは?」と思った方もいるのではないでしょうか。しかしその必要はなく、ピーマン味噌は材料を入れて、煮込むだけで簡単に作れる保存食なんです。
ピーマン味噌はどうやって食べる?
ピーマン味噌は、ご飯にのせて食べることが多いようですが、旬の野菜につけて食べたり、炒めものや、田楽、冷奴になど、とにかく様々な料理に活用でき、あるととっても便利な調味料です。おすすめの食べ方の例を紹介していきます。
焼きおにぎり
おにぎりにピーマン味噌を塗り、トースターなどで焼けば、ピーマン味噌焼きおにぎりの完成。ピーマン味噌とご飯の組み合わせはテッパンです。
野菜と肉炒め
肉にも合うピーマン味噌は、いつもの野菜と肉の炒めものに加えるだけで、ほんのり甘く、コクをプラスすることができます。
ピーマン味噌マヨ
マヨネーズとピーマン味噌を合わせて、野菜スティックのディップなどにするのもおすすめです。
なすの田楽
ピーマン味噌は、なすとの相性も抜群。焼いたナスに塗って田楽にして食べると、とても美味しいです。
美味しいピーマンを選ぶポイントや旬の時期は?
もしピーマン味噌を作るなら、おいしいピーマンで作りたいですよね。ピーマンを選ぶ際のポイントや、旬の時期をチェックしていきましょう。
おいしいピーマンを選ぶポイントは?
・色にムラがなく、ツヤがあるもの
・ハリがあって、肉厚のもの
・ピーマンを持った際に重さを感じるもの
・ヘタの周りにハリがあって、黒ずんでいないもの
旬の時期は?
ピーマンは年中出回っていますが、旬の時期は6~8月。この時期にみずみずしいピーマンが出回るといわれています。
ピーマン味噌の作り方
ごはんのお供やお酒のおつまみなど、あると大活躍まちがいなしのピーマン味噌を作ってみませんか? 作るポイントや材料、作り方を紹介していきます。
作る際のポイント
・好みの辛さにする
ピーマンとししとうを使いますが、ピーマンだけでもOK。
辛さを抑えたい場合は、ししとうの量を減らしたり、ししとうの種をとり除くなどして辛さの調節をしてください。反対にピリ辛にしたい場合は、唐辛子を加えることで、辛さをプラスできますので、お好みの辛さに調節するのがおすすめです。
材料
・ピーマン… 10個
・ししとう… 3~5本(入れなくてもOK)
・三温糖(上白糖でもOK)… 70g
・醤油… 150ml
・みりん… 100ml
・酒… 50ml
・乾燥米麹… 70g
・辛くしたい場合は唐辛子… 1~2本お好みで
作り方
<下ごしらえ>
耐熱容器に三温糖、醤油、みりんを入れ、レンジで加熱して三温糖を溶かします。そこへ乾燥米麹をほぐしながら入れ、ラップをして柔らかくなるまで1時間以上置いておきます(できれば一晩置くのがおすすめ)。
1.ピーマンとししとうは、(お好みで唐辛子)さっと水で洗い、ヘタと種をとり除きます。
2.1をフードプロセッサーに入れる、もしくは包丁で細かく刻んでいきます。
3.フライパンに2と、下ごしらえしておいた米麹を醤油ごと入れ、弱火で加熱。
4.アクが出てきたらとり除き、焦げないように混ぜながら極弱火で1時間ほど煮詰めます。
5.汁気がなくなり、少し粘り気がでてきたら完成です。
作ったピーマン味噌の保存方法
作ったピーマン味噌の保存期間は、冷蔵保存で約1か月です。本記事では、瓶で冷蔵保存する方法を紹介していきます。
保存瓶で保存する方法
作り置き食品を保存する際は、密閉性の高い容器がおすすめです。また、容器は殺菌することで、より傷みにくくなります。
1.保存瓶を消毒する
・大きめの鍋に、たっぷりの水と一緒に保存瓶とフタを入れ、沸騰させます。
・沸騰したら弱火にして、さらに10分ほど加熱します。
・保存瓶を、トングなどで鍋からとり出します(※とっても熱いので火傷に注意してください)。
・瓶の口を下にし、ザルなどにあげて、表面の水分が乾くまでしっかりと乾燥させます。
2.ピーマン味噌を詰める
煮沸消毒した保存瓶に、ピーマン味噌を入れます。このとき、なるべく保存瓶がいっぱいになるまで入れると、空気に触れにくくなります。
岩手の郷土料理「ピーマン味噌」は万能調味料!
ピーマンのほろ苦さと、米麹のまろやかな甘さが、クセになる岩手の郷土料理「ピーマン味噌」。作り方は簡単。ピーマンやししとうを刻んで、醤油、米麹などと一緒に煮込むだけ。ご飯のお供や、炒めもの、野菜のディップソースなど、幅広く料理に使うことができる万能調味料です。
日持ちもするので、作り置きや、ピーマンを大量消費したいときにもおすすめです。ピーマンが美味しい旬の時期に作ってみてはいかがでしょうか?
構成・文・写真(一部を除く)/松田慶子(京都メディアライン)