和食や精進料理に古くから利用されてきたしいたけ。独特の食感・歯触りはもとより、風味豊かなしいたけは料理に旨味を与える「だし」としても重宝する食材です。そんなしいたけが生で大量に手に入った場合、冷凍保存できるものなのかどうか、ご紹介します。
しいたけは冷凍保存できる?
ズバリ、しいたけは冷凍できます! むしろ冷凍向きの食材ともいわれるほど。理由は、生のまま食べるよりも旨味成分が断然アップするからです。他にも、冷凍することで嬉しい効果があるので一緒にチェックしていきましょう。
冷凍しいたけの栄養は?
冷凍すると栄養素が壊れたりしないの? と不安に思う方もいるかもしれませんが、その点はご安心ください。冷凍することで栄養素を壊す酵素の働きを抑えることができるため、逆に栄養素を保ちながら長期保存が可能に。しかも、冷凍することで細胞壁が壊れ、しいたけのうま味成分であるグアニル酸がアップ! 生よりも断然、美味しくなっちゃうのです。
しいたけの冷凍保存のポイント
冷凍前に洗う必要は?
きのこ類全般にいえることですが、風味や旨味が落ちるため水洗いはNGです。濡れふきんなどで軽く拭く程度にしておきましょう。もし、カサの汚れが気になる場合は、カサの上からぽんぽんと叩けば簡単に落ちます。
冷凍焼けや変色を防ぐには?
冷凍前に注意することは、保存袋の空気をきちんと抜くこと。こうすることで冷凍焼けや酸化による変色を軽減することができます。
しいたけの冷凍保存方法
しいたけを冷凍する場合は、石づきを除いて軸は残すようにします。実は、軸の部分にこそ栄養素が多く含まれているので捨てずに使うのが賢い保存法です。注意する点は、軸は冷凍すると食感が多少硬くなるため、細かく刻んでから小分けにするか、調理時に細かく刻むと食べやすくなります(下写真のように手でも簡単に割けます)。
小分け冷凍をする場合は、ラップに包んでから冷凍保存用袋に入れるのが基本。
次に、生のままと茹でてから冷凍する2つの冷凍法をご紹介します。
生のまま冷凍する
しいたけは切ってから冷凍することも、丸ごとで冷凍することもできます。調理によって切り分けた場合は、なるべく重ならないようにラップに包んでから冷凍用保存袋に入れましょう。
丸ごとの場合も同様、ラップに包んで重ならないように注意しながら冷凍用保存袋に入れて冷凍するだけ。空気をできるだけ抜くのがポイントです!
茹でてから冷凍する
また、茹でてから冷凍する方法も。茹でる場合は、水溶性ビタミンの流失をできるだけ防ぐために、さっと茹でること。生のままと同様に、ラップに包んでから冷凍用保存袋に空気を抜いて保存するようにしてください。茹でてから冷凍保存したほうが、調理の際の加熱時間が減るため、食感がより保てるという利点があります。
また、水溶性の栄養素を余さず摂りたい場合は、茹で汁を捨てずに味噌汁などに使えば、さらに無駄がありません!
冷凍しいたけの保存期間
1か月ほど保存可能です。
冷凍しいたけの解凍方法は?
調理の際は、冷凍のまま使うのが大切です。解凍した状態では、水分が多く出過ぎてしまい色味も食感もよくありません。冷凍保存は、冷凍したことにより、細胞壁が壊れているのでより水分が出てきやすい状態に。つまり解凍のタイミングで栄養素も流れやすくなっているため、調理時はしいたけの汁ごと一緒にいただけるレシピを選ぶこと。旨味と栄養素を余さずいただきましょう♪
撮影・文/川越光笑(たべものライター・発酵食スペシャリスト)
冷凍保存しいたけを使ったおすすめレシピ
【1】きのこと豆の豆乳鍋
少し変わった具材で美味しくて栄養満点の鍋。ウインナーを飾り切りにしてにぎやかに!
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
ソーセージ 1袋(6本)
豆の水煮(缶詰) 1缶(380g)
マッシュルーム 1パック(5~6個)
しいたけ 3個
にんじん 1/2本
玉ねぎ(小) 1個
【A】
バター 大さじ1
サラダ油 大さじ1
【B】
豆乳 200cc
水 500cc
鶏ガラスープの素 大さじ1
塩・こしょう 各少々
パスタ(早ゆでタイプ) 40g
◆作り方
【1】マ ッシュルームとしいたけは5mm厚さ、ソーセージは斜め切りにしてハート形を作ったり、タコを作る。玉ねぎは粗みじん切り、にんじんは輪切りにして花形で抜く。
【2】鍋に【A】を熱して玉ねぎとにんじんを炒め、玉ねぎが透明になったらマッシュルームとしいたけを加えて炒める。しんなりしたら【B】を加え、ふたをして10分ほど煮、ソ ーセージと豆を加えて煮る。
◆ポイント
いろいろなきのこのだしと豆の甘みが、とてもよく合います。
豆はひよこ豆などお好きなもので。
子供用の主食は、早ゆでパスタが◎。
教えてくれたのは
井澤由美子さん
旬の食材の効能と素材の味を生かしたシンプルな料理が人気。食育にも力を注いでいる。一女の母。
『めばえ』2016年2月号
【2】きのことツナのレンジ雑炊
色々きのことほぐしたツナを入れて。具沢山な雑炊も、レンジでかんたん!
◆材料
(子ども1人分)
しいたけ 1枚
えのき茸 20g
ツナ 10g
【A】
だし 3/4カップ
しょうゆ 小さじ1/2
ごはん 100g
◆作り方
【1】しいたけは軸を取り、半分に切って薄切りにする。えのき茸は3cm長に切る。
【2】大きめの耐熱ボウルに【1】、【A】、ツナを入れて混ぜる。ラップをかけ、電子レンジで2分30秒ほど(600Wの場合)加熱する。
教えてくれたのは
松尾みゆきさん
管理栄養士・料理研究家・フードコーディネーターとして、テレビや雑誌、書籍等、幅広く活躍。自身も母として「食育」を実践している。
『めばえ』2016年5月号
【3】鶏とはんぺんの水ギョーザ
はんぺんの入った水餃子はふわふわで舌触りが滑らか。温め食材の代表格、しょうがで風味もアップして体もポカポカ!
◆材料
(25個分)
しいたけ 3枚
しょうが 1片
鶏ひき肉、はんぺん 各100g
餃子の皮 25枚
【A】
鶏がらスープの素 小さじ1
水 800ml
塩 小さじ2/3
しょうゆ 大さじ1/2
◆作り方
【1】石づきを除いたしいたけ、しょうがはみじん切りにしてボウルに入れ、鶏ひき肉、はんぺん、塩少々(分量外)を加えて混ぜ合わせる。はんぺんをぐちゃぐちゃっとつぶすように混ぜ合わせて。
【2】餃子の皮に【1】を適量のせて、端に水をつけて包む。
【3】鍋で【A】を温め、【2】を加えて3分ほど煮たら、塩、しょうゆで味を調え、器に盛る。
◆ポイント
あったか料理で寒気を一掃!温かい汁物やスパイスなど、体を温める食べ物で体温を上げれば、免疫力もUP!
半分に折って両端をくっつける
教えてくれたのは
牛尾理恵さん
うしおりえ/料理研究家。フードコーディネーター。栄養士の資格ももつ。病院での食事指導、料理研究家の助手、料理専門の制作会社を経て独立。おいしく、作りやすく、体にやさしい家庭料理が人気。
『めばえ』2018年2月号
【4】簡単やわらか酢豚
酢豚でよく使うかたまり肉は、子どもの歯ではなかなか噛み切るのが難しいのが難点…。こま切れ肉を団子状に丸めれば子どもでも食べやすいので、ぜひお試しあれ!
◆材料
(大人2人+子ども2人分)
豚こま切れ肉 200g
【A】
酒 小さじ1
しょうゆ 小さじ1
塩・こしょう 各少々
おろししょうが 適量
片栗粉 大さじ1
【B】
玉ねぎ 1/2個
にんじん 1/4本
しいたけ 2個
ピーマン 2個
サラダ油 大さじ1
【C】
水 大さじ3
トマトケチャップ 大さじ2
酢 大さじ2
砂糖 大さじ2
しょうゆ 大さじ1/2
鶏ガラスープの素 小さじ1
片栗粉 小さじ1
◆作り方
【1】豚肉に【A】を加えてよく混ぜて下味をつけ、ひと口大の団子状に丸める。
【2】【B】の野菜は、食べやすい大きさに切る。
【3】フライパンを中火にかけてサラダ油を熱し、【1】に片栗粉をまぶして並べ入れる。転がしながら焼いて肉の色が変わったら、玉ねぎ、にんじん、しいたけ、ピーマンの順に加えて炒め合わせる。
【4】野菜がしんなりしてきたら、合わせておいた【C】をかき混ぜながら加え、とろみがついてつやが出てきたら火を止める。
◆ポイント
かたまり肉より、こま切れ肉を丸めたほうがやわらかいので、子どもも食べやすい。さらに揚げずに作るので、簡単で、カロリーもダウン。
教えてくれたのは
マイティさん
節約料理研究家、日本ソムリエ協会認定ソムリエ。6歳と4歳の女の子のママ。趣味の節約を生かしたブログ『1ケ月2万円の節約レシピ』が一躍人気に。料理以外にも公共料金の節約術なども、いろいろ公開。 「レシピブログ」でも連載中。
『ベビーブック』2012年12月号
【5】蒸し鶏のきのこ小松菜あんかけ
下ごしらえはレンジで簡単に。しょうがやごま油が食欲をそそる上、とろみのあるあんかけなので、野菜もどんどん食べられます。
◆材料
(大人2人分+子ども2人分)
鶏むね肉 1枚(300g)
【A】
しょうが(薄切り) 3~4枚
長ねぎの青い部分 適量
酒 大さじ1
塩 小さじ1/4
しめじ・しいたけ・えのきだけ 合わせて150g
小松菜 2~3株(100g)
【B】
だし汁 1カップ
しょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ1
酒 大さじ1
塩 小さじ1/2
片栗粉 大さじ1
ごま油 小さじ1
◆作り方
【1】鶏肉は皮を除いて耐熱皿にのせ、【A】をふる。ラップをかけて電子レンジで3分加熱し、返してさらに2分加熱し、そのまま冷ます。手で食べやすく裂く。
【2】しめじとえのきは石突きを切り落としてほぐし、2cm長さに切る。しいたけも石突きを切り落とし、カサは横半分に切って薄切りにし、軸は細く裂く。
【3】小松菜は根元を切り落として2cm長さに切る。
【4】鍋に【B】を入れて煮立たせ、【2】と小松菜の軸を加えてやわらかく煮、葉も加えて煮、同量の水で溶いた片栗粉を加えてとろみをつけ、ごま油を加える。
【5】器に【1】を盛って【4】をかける。
教えてくれたのは
中村陽子さん
料理研究家のアシスタントを経て独立。新著は『とっておきの日につくっ てあげたいキャラケーキ』(成美堂出版)。二児のママ。
『ベビーブック』2015年11月号
【6】チキンときのこのカレー鍋
チキンときのこのうま味たっぷりのカレー鍋。子供「は仕上げに生クリームを入れてマイルドに!
◆材料
(大人3~4人分)
鶏もも肉 2枚
しめじ、まいたけ 各1パック
しいたけ 6個
エリンギ 3本
長ねぎ 1本
にんじん 1/2本
【A】
水 5カップ
顆粒スープの素 大さじ1
カレールウ 90g(4~5皿分)
にんにくのすりおろし 1片分
◆作り方
【1】鶏肉は食べやすい大きさに切り、しめじとまいたけは小房に分け、しいたけは軸を除いて半分に切る。エリンギは5mmの厚さに切り、ねぎは斜め薄切りにし、にんじんは輪切りにして好みの型で抜く。
【2】 鍋に【A】を入れて火にかけ、【1】(ねぎ以外)を加えて火が通るまで煮、最後にねぎを加える。
◆ポイント
子どもは「マイルドカレーうどん」で。
別鍋に汁を取り分け、生クリームを混ぜ(汁2に対し1)、うどんを加えて煮る。器に盛って具を取り分ける。
教えてくれたのは
ほりえさちこさん
栄養士、フードコーディネーター、飾り巻き寿司インストラクター1 級。男の子のママ。育児経験を生かした簡単で栄養バランスのとれた料理やかわいいレシピが人気。
『ベビーブック』2018年2月号
構成/HugKum編集部