フリーダム教育とキッチリ教育、どっちがいいの?【ハラユキの 「発見!子育てダイバーシティ in バルセロナ」19】

フリーダムなイギリス式は楽ちん

この連載を読んでいる方はうすうすお気づきだと思いますが、私は細やかなほうではありません。仕事や好きなことに関してはマメ・スイッチがしばしば発動しますが、生活全般に関しては、雑だし、だらしないし、忘れ物は多いし、能天気で適当です。

水切りカゴにある乾いた皿の上に濡れた皿を重ねてしまうし、大学卒業後もしばらく就職しないでブラブラしていたし、いまのフリーランス職業が心の底から合っているし、ルールに縛られるのも他人に束縛されるのも苦手です。

そんな性格の私が、息子が通っていたブリティッシュスクールで好きだったのは、「なんでもルールが最小限でゆるい」こと。

たとえば、学芸会的な催しや運動会のとき、衣装として「ブルーの上着を用意する」という指示が学校から来た場合、ルールは本当にブルーだけです。長袖だろうが半袖だろうが色が薄かろうが濃かろうがTシャツだろうがYシャツだろうがフリルがついてようが基本自由。さらに本番をみにいくと、必ず1人や2人はその最小限ルールの衣装すら用意しないで、制服のまま出演している子がいるのです。でも、そういう子をとがめるような空気も特にありません。結果、ビジュアル的なまとまり感はかなり低い。そのうえ、そんなに練習を重ねてないのか、出し物自体のレベルも低いのです。

「て、適当やな〜!!」

と毎回ずっこけてしまうほどでしたが、子どもたちは楽しそうだし、先生たちはいつでも「ウェルダーン!!(よくできました)」と子どもを褒め褒めだし、まあこれはこれでありか、と思っていました。なにしろ親の準備はとても楽だし(これ大事)。

 

息子の学校では、こんなかんじの音楽&お芝居的な催しを、わりと頻度高く一学期に一回くらい開催していたのです。「発表会しょちゅうやるなあ」と思っていました。

キッチリな日本式は完成度が高い

一方、日本教育では、そういうときのルールはもうちょっとキッチリしっかりしている印象です。保育園、日本人学校、小学校といろんな発表会を見学してきましたが、衣装が必要なときに衣装じゃない子が混ざっているなんて、今まで見たことがありません。

そして、発表の内容もたいていはレベルが高くすばらしい(そこまで言うほど?って思う人もいるかもだけど、本当に通っていたブリティッシュに比べるとはるかにレベル高いんだよ〜笑!)。練習を重ねた感があって、親は感動して、ときには涙腺がゆるんでしまうほどです。

開催頻度もそれほど多くなくて、年に1回くらいの発表というところが多いのではないでしょうか?

回数を絞るかわりに、高いレベルを求め、練習の回数も重ねる。それによって生徒は技術を習得していき、結果、見応えのある発表になる。

息子はいま、日本の公立小学校に通っていますが、もうすぐ控えている音楽発表会のために、ピアニカを熱心に練習しています。しょっちゅう家でも歌っていて、ブリティッシュスクールのときの発表会前と全然違うなあ、と思って眺めています。

スウェーデンはフリーダムすぎ?

海外で暮らしてみて、そして今また日本で暮らしてみて、ず〜っと考えているのは、このフリーダム教育とキッチリ教育のどっちがいいのかな?ということです。

日本の教育は、技術力が着実に上がり、ルールを守る子どもができる。

これはこれでとてもいいことです。

一方、私がブリティッシュスクールのやりかたがいいなあと思ったのは、高いレベルじゃなくともしょっちゅう発表する機会があって、さらに先生は褒め褒めだから、子どもが発表の場に慣れて、失敗も怖がらずにチャレンジするようになりそう、ということでした。

発表会の見応えは断然日本式のほうが高いし、親としては感動してしまうんだけど、将来的に見たらどっちがいいんだろう?部活とかで高いレベルを目指すのは大事だけど、学校行事でのレベルを上げていくのってどこまで大事なんだろう?高いレベルを目指しすぎると、それについていけずにその分野が嫌いになってしまうパターンもあるしなあ…。そんなことをずっと考えているのです。

そんなタイミングで、あるスウェーデン人パパ(パートナーは日本人)の興味深い発言を聞きました。

彼は日本の教育を好意的にとらえていて、今はスウェーデンに暮らしているけど、将来的には日本で暮らしてお子さんを日本の学校に通わせたいという気持ちもある、と言うのです。

「でもスウェーデンの教育はいいとよく聞くきますけど?」

と私が聞いたら、

「スウェーデンの教育は、僕にとっては、ちょっとフリーダムすぎ。日本の、掃除を子どもにもさせたりの教育はとてもいいと思う」

と言うのです。

「フリーダムすぎ」って!!

私が考えてたのはまた違う部分を指摘しての発言ですが、なるほどなあと考えさせられたのでした。

そういえば、前にこの連載で同じようなことを運動会テーマで書いたときは、「海外のゆるゆる運動会と日本のキッチリ運動会、中間くらいがベストでは」と私は書きました。

最近、久々に日本の運動会に参加したら、息子の小学校ではここ数年でいろいろ内容変更したらしく、危険の高い組体操もなくなり開催時間も短くなったそうで…。つまり「やりすぎ度」は減らし、でも練習を重ねた感はある。個人的には、とてもいい運動会だと思ったし、日本もいいかんじで変わってきている!と感動しました。

つまり、「キッチリ教育」がいいか悪いかって、そのキッチリ度合いにもかなり左右されるということ。日本人が陥りがりな、「ついルールをつくりすぎてしまう、がんばりすぎてしまう」をやらなければ、日本の基本公教育は基本、いい部分も多いと私は思うのです。帰国してからはそれを実感することはさらに増えました。

フリーダム学校にもこだわりポイントはある

ところで、そんなゆるゆるルールのブリティッシュスクールでも、一度だけ、我が家が準備したものがダメだったということがありました。

それはクリスマスショーという、キリストに関するお芝居をしたり、歌を歌ったりする、いかにも欧州の学校らしい年末のイベント。

そのお芝居の息子の役は「羊飼い」で、「杖のようなもの」を持ってきてという指示がきていたのです。でも子どもサイズの杖なんて家にはないし、買ったり作ったりするのもなあ…でもあの学校のゆるゆる具合なら、なんでも大丈夫じゃない?と、杖として、家の使ってなかったテーブルの足を持たせたのでした。

そうしたら、学校から特に連絡はなかったけど、本番を観に行ったら、息子は学校が用意してくれたらしい杖っぽい杖を持っていました。

 

「わ!学校のルールゆるすぎとか言ってた私らのがゆるかった〜!!」

と夫とちょっと反省したのでした。わはは、息子よ、ごめん!

さらに、このクリスマスショーにいってビックリしたことがもうひとつ。いつもの発表的的なものと比べて、会場装飾がかなり凝っているし、内容もいつもより(ちょっとだけ)レベルアップしている。衣装を用意せず制服のまま登場している子もいない。

「そうか〜!キリスト教文化圏においては、頑張りどころは学芸発表会よりもクリスマスショーなんだ!!」

と文化の違いにおおいに納得したのでした。

ちなみに、白人系の子どもたちの天使コスプレの可愛さにも悶絶…。

私、どんな国の子に混ざろうが、いつもうちの子が世界一かわいいと思っている親バカなんですが、くう、天使のコスプレは負ける…忍者衣装コスプレ負けないんだけどな!と思いながら(アホ)、きらびやかでかわいいショーを眺めていたのでした。

 


ハラユキ
イラストレーター&コミックエッセイスト。夫の駐在赴任により、2017年6月より〜2019年7月までスペイン・バルセロナ在住。雑誌やWEBなどでイラストやマンガを描いたり、コミックエッセイ書籍を出版。「東京くらし防災」(東京都)のイラストも担当。「世界の家族の家事育児分担事情から知る、つかれない家族を作るヒント」や現地ごはん情報なども発信中。おいしいごはんと宴会と祭りとお風呂屋さんが大好き。7歳男児の母。家族をテーマにしたオンラインサロン「バル・ハラユキ」も主宰中。Twitterでは日々の生活や考えたこと、instagramでは主に食いしん坊メモを発信中。

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