「頭を使って考えること」で無敵になれる!【松丸くんの教育ナゾトキ対談】Vol.1高濱正伸先生~中編~

松丸亮吾さんによる対談連載、第1回のゲストは花まる学習会の高濱正伸先生。前編ではお互いの幼少期やきょうだいコンプレックスについて語っていただきました。中編ではいよいよ本題の教育メソッドについて激論を交わしていただきます。

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新連載!【松丸くんの教育ナゾトキ対談】Vol.1高濱正伸先生~前編~いじめとコンプレックスに悩んだ子ども時代 「乗り越え体験」ですべてが変わる!
今月からHugKumで、松丸亮吾さんによる連載「松丸くんの教育ナゾトキ対談」がスタートします!東京大学に入学後、謎解き制作集団Ano...

母の「自己決定を促す教育」に感謝しています(松丸)

―おふたりがこれまでの歩みのなかで獲得した「学びのメソッド」を教えてください。

高濱 僕は松丸さん、DaiGoさん、それにユニークな次男(大学中退後、エンジニア)、三男(調香師)の4人を生んで育てたご両親に興味があるな。

松丸 学歴的には、両親とも際だって優秀というわけじゃありません。でも、母親がかなり特殊なタイプなんですよね。子どもを東大とか良い大学に行かせたいという気持ちはあったらしいんですけど、それを子どもには一切見せなかったんです。プレッシャーをかけるよりも、子どもがやりたいことを伸ばしてあげたほうが近道なんだと。

高濱 それはお母さんご本人が気づいたの? やりたいことを伸ばすほうが近道と言うのはけっこう奥深い話で、最初に子育ての時には気づかない母親が圧倒的に多いんですよ。

松丸 実は母親は僕が高校2年生の時に亡くなっていて、そのメソッドを聞くことはもうできないんです。でも、僕が今の活動を始めた時に、父親と話をしました。その時に聞いたのは、母親は「子どもに勉強をやりなさいと言っても、絶対にやらない。なにかひとつ、子どもがそこに向かっていきたいと思うような目標をうまく見つけるのを手助けをすることが、最初にやるべきことだ」と口を酸っぱくして言っていたということです。

高濱 そうなんだね。お母さんはなぜその考え方にたどり着いたのだろう。ひとつ例を挙げると、ボクシングの村田君(世界ボクシング協会WBAミドル級王者、村田諒太)は、東洋大でコーチをしている時に、学生には2種類、逆境に立った時に頑張るタイプと、なにかの理由をつけては練習をさぼろうとするタイプがいることがわかったそうです。なにがその道を分けるのか。

松丸 なんですか?

高濱 それは、本人が決めてボクシングをやっているか、だれかにやらされているかなんですよ。自己決定かどうか。僕も30年、子どもを見てきてつくづく実感していることだったから、そうだよねって納得したんだけど、普通のお母さんはそこに気づけないで、子どもに押し付けちゃったりするんだよね。本人が一番やりたいことを見つけてあげるというのはまさに核心で、これでこの対談は終了!

松丸 まだ早いです(笑)。母親も長男のDaiGoの時は、無理強いするような教育をしていたみたいなんですよ。音楽的なセンスが磨かれる、感性が豊かになると信じてピアノを習わせていたんですが、DaiGoはピアノが苦痛で、親の目を盗んでさぼるようになった時期があったそうです。

母親はその時に我に返って、音楽的なセンスを磨くならギターとかいろいろな選択肢があるのに、なんでピアノに絞っちゃったんだろう、なんでDaiGo本人に聞かなかったんだろうって反省したらしいんです。その気づきがあって、4番目の僕の時はかなり自由でした。

高濱 お母さんたちは良かれと思ってやるんだけど、そうやって熱心にやればやるほど、子どもは「やらされ人間」になっていくんだよな。親としてはいろいろやらせてあげるのが最初の仕事。そこから子どもに合うものを見立ててあげることです。

小6の教師との出会いが人生を変えた(高濱)

松丸 高濱さんはどういう教育を受けてきたんですか?

高濱 うちは放任ですよ。両親が思春期の時に戦争に負けて、今までのはなんだったのよって感じた組だから、人生どうなるかわからないし、好きにしなって。父親は開業医だったんですけど、一度も継げと言われなかった。

それに地元も田舎で、塾もないし、中学受験を思いつくやつもいないみたいなところだったから、ぜんぜん勉強熱心じゃなかったんですよ。でも、6年生の時にすごく良い先生に当たったんです。

松丸 どんな先生だったんですか?

高濱 ある日、「君は熊本高校ぐらい行けるタイプだぞ。俺にはわかるんだ、俺も熊本高校だから」と言われたんですよ。熊本高校って僕が住んでいた市からひとりもいかないぐらいの難関校なんですよ。それで、「特別な勉強をしてきなさい。自習したものを持ってきたら見てあげる」と。その時に、「俺、認められちゃった」って嬉しくなってね。

松丸 いい感じに乗せられたんですね。

高濱 その日から自習するようになって、学校のドリルなんてすぐに終わっちゃったから、本屋で問題集を買ってね。今思えば中学受験の問題集だったんだけど、先生を裏切っちゃいけないと思って、どんなに難しい問題も答えを見ないで自分で解くようにしましたよ。

その時に、自分のペースで考え続けて、よしわかった! ということを繰り返したんです。そしたらね、普通の公立中学に入ったんだけど、熊本県の実力テストで1位、2位の成績だったんだよ。お袋がひっくり返っていましたよ。「あんたがねー?」って(笑)。

松丸 それはすごいですね!

高濱 それで自信がついたんだ。だから、高校の時なんて500人中499番で、最後のひとりは不登校だったけど、「俺は、やればできる」と思い続けていましたよ。ちなみに僕は3浪、4留して29歳で大学を卒業したけど、ずっとその自信は持ち続けていました。

考えることが楽しくなれば無敵!(松丸)

松丸 僕の小さい時も近いものがあって。『IQサプリ』とかなぞ解きを通して兄に勝つ経験をしていた時に、自信になったし、考えること自体がすごく楽しいなって思えたんです。

高濱 わかる! 自分ひとりで最後まで考えて、答えがわかった時の「ほらきたー!」っていう閃きの瞬間の喜びと快感を知っちゃえば、絶対に考え好きになるんだよ。それを子どもたちに伝えたくて、30年前に「なぞぺー」を作ったんです。だから、松丸さんのなぞ解きを見た時に、俺の想いを引き継いでくれる新世代が現れたな、頑張れ! と思いました。

松丸 ありがとうございます! 僕も、子どもたちが頭を使って考えることの楽しささえわかっていれば、そこから先は無敵だと思っているんです。大人になってからでも、人生のなかで難題に直面した時に、考えるのが面倒くさいとか、人から言われたことをただこなせばいいやってなってしまうのは残念なことじゃないですか。

高濱 そうなんだよ。受験で落ちたらどうしよう、就活で失敗したらどうしようって人に与えられた評価軸に合わせて生きていると、幸せ感のない人生になっちゃうんですよね。そこで、意志を持って自分でやるというペースに引き込むために、自分で考えるということはすごく大事なんです。

松丸 「考える力」は、大学以降に差が出ると思っているんです。勉強って答えを見て、解き方を理解して、それを反復していけば、ある程度、成績が伸びるように作られている。そこで、パターン的に学習して、点数が上がることを楽しんでいる人は、形式的にどんどん優秀になっていきます。でも、大学に入ってからは点数とは別の社会軸が与えられるじゃないですか。そこで、自分で考えて試行錯誤してきた人と明確に差が出てしまう。

高濱 落合陽一君(メディアアーティスト・筑波大学准教授)は、それを「博士の力」と言っていたよ。博士って、誰も世界で思いつかない課題を見つけなきゃいけないでしょう。そこで、すごい差がつくみたいだね。

僕は考え続けて答えを導き出した時の快感を子どもたちに知ってもらうことが重要だと思っていて、それがずっと追い続けてきたテーマです。

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プロフィール

高濱正伸

「メシが食える大人に育てる」という理念のもと、「作文」「読書」「思考力」「野外体験」を主軸にすえた学習塾「花まる学習会」を設立。保護者などを対象にした講演会は、参加者が年間30000人を超える。
「情熱大陸」(毎日放送)、「カンブリア宮殿」、「ソロモン流」(いずれもテレビ東京)など、数多くのテレビ番組に紹介されて大反響。「週刊ダイヤモンド」(ダイヤモンド社)、「AERA with Kids」(朝日新聞出版)などの雑誌でも多数登場している。
『伸び続ける子が育つお母さんの習慣』(青春出版社)ほか、『小3までに育てたい算数脳』(健康ジャーナル社)『わが子を「メシが食える大人」に育てる』(廣済堂出版)『算数脳パズルなぞぺー』(草思社)など、著書多数。

https://www.facebook.com/hanamarugroup/

プロフィール

松丸亮吾

東京大学に入学後、謎解き制作集団AnotherVisionの代表として団体を急成長させ、イベント・放送・ゲーム・書籍・教育など、様々な分野で一大ブームを巻き起こしている”謎解き”の仕掛け人。自身が監修をつとめる著書『東大ナゾトレ』シリーズは、累計115万部を突破。
現在は「考えることの楽しさを全ての人に伝える」を目標に東大発の謎解き制作会社・RIDDLERを立ち上げ、仲間とともに様々なメディアに謎解きを仕掛けている。

Twitter @ryogomatsumaru
Instagram @ryogomatsumaru

撮影/平林直己 取材・文/川内イオ

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