こんにちは。離乳食インストラクターの中田馨です。離乳食のお悩みの中に「赤ちゃんがよく食べて心配です」と言うお悩みがあります。「よく食べる」と聞くと「いいことじゃない!」と思いますが、用意した離乳食を食べ終わったら「まだ欲しい!」と言って泣き叫ぶこともあります。これが毎食続くと、ママとしては「こんなに食べてお腹の調子は大丈夫だろうか?」「太ってしまわないか?」など心配になってしまいます。今回は「離乳食をよく食べる」赤ちゃんへの対応方法を話します。
離乳食はどのくらいからが食べさせすぎ?
赤ちゃんは自分から「もうお腹いっぱい!」と言葉にして言うわけではないので、「食べさせすぎ」のラインが分かりにくいところです。離乳食スタート時の離乳食初期は、食べさせる目安量は守った方がいいですが、離乳食中期以降は基本的に「赤ちゃんの食べたいだけ食べさせて大丈夫」と言われています。と言っても、赤ちゃんの体調管理はしなければいけません。例えば、以下のような様子が見られる場合は、食べさせすぎかもしれません。
食べさせすぎのサイン
・食後に嘔吐する
・下痢になる
・便秘になる
・体重が急激に増えた
このような体調の変化がある場合は気を付けましょう。
離乳食の量の目安
自分の赤ちゃんがどれほど食べているのかを見るには、食べる量の目安を知っておくと参考になります。以下は1回の食事に食べる目安量です。以下の量をすべて食べるのではなく、栄養素を「炭水化物」「ビタミン/ミネラル」「タンパク質」の3グループに分けてどれか1種類又は2種類程度の目安量となります。例えば、離乳食中期、1食にタンパク質の豆腐と魚を食べたとしたら、豆腐20g、魚5gといったようにそれぞれの量を減らし与えることが原則です。
初期
おかゆ(10倍かゆ) 30~40g
ゆでうどん 5~30g
食パン 5~10g
いも類 15~20g
野菜/果物 15~20g
豆腐 25g
魚 5~10g
卵 耳かき1杯~卵黄1個
中期
おかゆ(7倍かゆ) 50~70g
ゆでうどん 30~55g
食パン 15~20g
いも類 20~30g
野菜/果物 20~30g
豆腐 30~40g
魚/魚 10~15g
卵 卵黄1個~全卵1/3個
乳製品 50~70g
後期
おかゆ(5倍かゆ) 90g
軟飯 80g
ゆでうどん 60~80g
食パン 20~30g
いも類 30~40g
野菜/果物 30~40g
豆腐 45g
魚/肉 15g
卵 全卵1/2個
乳製品 80g
完了期
軟飯 80g
普通飯 80g
ゆでうどん 90~120g
食パン 40~50g
いも類 40~50g
野菜/果物 40~50g
豆腐 50~55g
魚/肉 15~20g
卵 全卵1/2~2/3個
乳製品 100g
たとえば、この目安量を超えても食べたがる場合、増やすとしたらまずは「ビタミン/ミネラル」の野菜を増やします。タンパク質は、食べすぎると内臓に負担をかけることがあるので、目安量以上は食べさせないようにします。
赤ちゃんが食べすぎてしまう原因は?
「赤ちゃんの食べたいだけ食べさせて大丈夫」と言われても、やっぱり心配です。赤ちゃんの食べ過ぎてしまう原因が分かったら、それに合わせて改善策を用意すれば、食べ方が変わって来るかも知れません。食べすぎてしまう原因に「丸のみ」があります。丸のみは、離乳食後期以降の赤ちゃんよくみられ、離乳食が口の中に入ったらよく噛まずにすぐにゴックンします。丸のみの原因は5つ。
軟らかいメニューが多い
赤ちゃんが食べやすいだろうと、軟らかいメニューを用意していませんか?軟らかいメニューは噛まずにゴックンと飲み込めるので丸のみの原因になります
固いメニューが多い
「軟らかいメニューが多い」が多いの逆に、赤ちゃんの発達にあっていない固いメニューが多く丸のみしてしまう場合があります。赤ちゃんの未熟な口が食べ物を処理することができずに丸のみしてしまうのです
食べ物の形が発達よりも大きい
こちらも「固いメニューが多い」と同様で月齢に合わない大きさの離乳食だと赤ちゃんの未熟な口が食べ物を処理することができずに丸のみしてしまうのです
ママがスプーンで食べさせる時に上あごに食べ物をすりつけている
スプーンにのせた離乳食をすべて口の中に入れてしまいたい!という思いからスプーンを赤ちゃんの口に入れた後、そのスプーンを赤ちゃんの上あごにすりつけていませんか?まだ舌などの口の発達が未熟な赤ちゃんは、離乳食を吐きだすか丸のみするしかなくなってしまいます。
ママがせかして食べさせている
赤ちゃんがゴックンする前に次のひとさじを赤ちゃんの口の前にもっていっていませんか?ママがせかすと赤ちゃんも慌てて、口の中の離乳食をカミカミせずにゴックンと飲み込んでしまいます。
よく食べるのに体重が増えないのはなぜ?
とてもよく食べるのに、体重が増えない赤ちゃんがいます。食べたものは一体どこに消えてしまったんだろう?というくらいの赤ちゃんもいます。考えられる原因は以下のものがあります。
活動量が増えた
ハイハイする、歩くなど、活動量が増えて活発な場合はなかなか体重が増えないことがあります。
実はそれほど食べていない
「たくさん食べる」とママは思っていたとしても、もしかすると量が少ない場合があります
体質
食べても体重が増えないという、もって生まれた体質の場合もあります。
体重の増えが心配な場合は、かかりつけの医師に相談しましょう。
よく食べるようになったら卒乳したほうがいいの?
「9ヶ月ですが離乳食をよく食べるので卒乳してもいいですか?」という質問を何度か受けたことがあります。卒乳は1歳以降でそれまでは離乳食をよく食べても乳汁栄養が必要です。離乳食後期で離乳食:母乳/ミルクの栄養の対比は5:5~4:6でまだ栄養の約半分が母乳、育児用ミルクで、乳汁栄養が必要です。1歳になるまでは母乳や育児用ミルクを飲み、1歳過ぎてから赤ちゃんの様子を見ながら徐々に卒乳を考えてもOKです。
私の娘も、よく食べる子でした。「こんなに食べても大丈夫なのかな?」と頼もしい反面、肥満も気になりました。でも、2歳になって急に食べなくなった時期が訪れました。よく食べる、食べない時期を多かれ少なかれくり返し、小学生になるころに「自分の適量」がだんだん分かるようになってきます。今回紹介した原因を参考にしながら、赤ちゃんの様子を見ながら離乳食を進めていきましょう。
記事執筆
一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事。中田家庭保育所施設長。現在13歳の息子の離乳食につまづき、離乳食を学び始める。「赤ちゃんもママも50点を目標」をモットーに、20年の保育士としての経験を生かしながら赤ちゃんとママに寄り添う、和食を大切にした「和の離乳食」を伝えている。保育、講演、執筆などの分野で活動中。自身が開催する離乳食インストラクター協会2級・1級・養成講座はこれまで2500人が受講。