はちみつ開封後の正しい保存法とは?
ミツバチの食用として集められた花の蜜が、巣の中で貯蔵・加工されてはちみつが出来上がります。イタリアの古い洞窟壁画には、巣から採取しようとしている絵が残されているそうですよ。人類がその頃から魅了され続けてきた、天然の恵みです。
はちみつの賞味期限はどれくらい?
「賞味期限」とは「風味が落ちずにおいしく食べられる期間」のことですが、記載が義務付けられているので、表記を確認すれば明確です。期限を過ぎたものは、気をつけながら早めに食べてください。ただちに破棄しなくてはいけないわけではありません。
ミツバチの加工によって抗菌性と殺菌力を持ち、糖度も高いことから未開封で2〜3年の長期保存ができます。ただし、これは純粋なはちみつに限ります。臭いや色を取り除いた「精製はちみつ」、水飴などを加えた「加糖はちみつ」、これらは商品の裏に必ず記載されているので、確かめてください。
天然はちみつと加工はちみつ
天然はちみつは採取に手間がかかることから、とても高価な一方で、加工により量産できるものは、値段も抑えられています。調味料として使うことが目的なら、むしろ国産や天然ものにこだわらず、気軽に選んでください。はちみつは加熱調理で成分や香りに変化が生じるものです。
ちなみに国産の天然はちみつの相場は1kg、5000〜6000円です。これを目安として覚えておくと、選ぶ際の参考になります。
また、同じ量の角砂糖と比べ、同じ甘さにするためには60%の量で足ります。つまり、角砂糖100gの甘さは、はちみつ60gで出せます。そしてカロリーは30%ほど低いのにコクがあるんですよ。
変色しても食べられる
はちみつ自体に強い殺菌作用があるため、腐らない食品なのですが、スプーンなどから他の食品の混入があると、そこから傷んでしまいます。また、純度が下がると殺菌力も下がることも、記憶に留めておきましょう。
「褐変」と呼ばれるカラメル色の変色は、糖の酸化などが原因です。香りや味が変化しますが、食べても問題はありません。煮物に使うと、色の変化を気にせずに食べられます。
また、1歳未満の赤ちゃんには、はちみつを与えてはいけません。腸内細菌が整うまでは、土壌細菌であるボツリヌス菌への耐性がありませんから、あげないでください。
はちみつは常温保存が基本
はちみつは完全栄養食と呼ばれる栄養価の高さを誇ります。上手に保存して活用したいものです。詳しくみていきましょう。
はちみつが固まってしまう原因
はちみつは気温が15℃以下になると白く固まってしまうことがあり、これを「結晶化」と呼びます。
はちみつ本来の性質によるもので、湯煎をして温めればもとに戻ります。防ぐ方法は直射日光を避け、振動を与えないようにすることです。大容量の商品よりも、少量ずつ小分けにされた使い切りサイズを選ぶことも、防止策になります。
また、ミツバチの採集によって微量の花粉などが混ざることがあるので、「白濁」は天然のはちみつならあることです。
はちみつの正しい保存のポイント
コンロの近くは、温度変化が大きいため保存には不向きです。電子レンジや冷蔵庫の振動も結晶化を招くので、上に置くのは避けましょう。
温度変化が小さい静かな場所といえば、食器棚の上段や、シンク下の冷暗所がおすすめです。
はちみつ保存の注意点
細菌やカビの繁殖を防ぐためには、清潔なスプーンを使用する他、パン屑や水分などの不純物を入れないことが大切です。容器から出した分は、もとに戻さないことや、こぼしにくい容器を使い、気をつけてください。
はちみつ保存に使いやすい保存容器
粘度の高いはちみつが一滴でも垂れると、ベタベタして嫌なものです。おしゃれな容器はたくさんありますが、見た目だけでなく機能的で使いやすい容器を選びたいところです。
ZERO JAPAN ハニーポット BRM-40 WH・ホワイト
陶器製の良いところは、結晶化した時に容器ごとお湯に浸けて、簡単に湯煎ができるところです。注ぎ口のキレの良さも注目したいポイントです。
はちみつ容器360ml(ホワイトキャップ)
はちみつをスプーンですくうとキレが悪く、雑菌の混入も心配です。必要な分だけ注ぎやすく、中身が見えるのはポリ容器です。100円均一のお店でもありますから、他の調味料と揃えやすいところも嬉しいですね。
はちみつのアレンジレシピと保存方法
パンに塗るだけでなく、生活に活用できるレシピをご紹介します。
大根はちみつ
風邪やのどに違和感がある時、ゆっくりと喉に流すと穏やかに治まりますよ。
材料
はちみつ 150g〜
大根 5〜6cm分
作り方
【1】大根をいちょう切りにします。
【2】容器に【1】を入れてはちみつを注ぎます。大根が浸かるまでが目安です。
【3】1時間ほどで水が上がってくるので、スプーンですくって飲みます。
保存のポイント
大根はちみつは保存せず、出来立てで飲むのが基本です。3回分くらいの量を作り、必要なら次の日にも作ります。漬けてから1時間ほどで口にできるのが、大根はちみつの良いところです。
生姜はちみつ
ハニージンジャーは、お湯に溶かしてドリンクにする他、豚肉や鶏肉のソースに使えます。体も温まるので、冷え対策としても役立ちます。
材料
はちみつ 150g〜
しょうが 150g
作り方
【1】しょうがの皮はむかずに、汚れた部分だけをスプーンなどでこそげ落とします。薄切りにして水に浸け、15分くらいそのままにしておいてください。
【2】【1】の水を切り、沸かしたお湯で30秒ほど茹でて、再び水にとります。ここで水気をしっかりと拭き取ってください。
【3】清潔な容器に【2】を入れ、はちみつを注ぎます。冷蔵庫で半日以上寝かせれば完成です。
保存のポイント
生姜から出る水分により、サラサラとした液体に変わります。生姜の殺菌作用もあるので、煮沸消毒した清潔な容器に入れると1か月程度食べることができます。
はちみつを使ったレシピ
次のレシピでは、生姜はちみつや、にんにくを漬けたはちみつが代用できるので、試してみてください。また、人気のはちみつレモン味のアイスクリームもご紹介します。
フライパンでクリスマスチキン
下ごしらえと、下味のひと手間は忘れずに。あとは焼いて、絡めるだけの簡単チキン。ソースはオレンジ風味がさわやかな洋風の照り焼き味。
◆材料
(大人3~4人分)
鶏手羽元 8~9本(550g)
【A】
塩 小さじ1/3
こしょう 少々
にんにく(すりおろし) 1/2かけ分
オリーブ油 大さじ1
【B】
しょうゆ 大さじ1
みりん 大さじ2
はちみつ 大さじ2と1/2
オレンジジュース 1/4カップ
※分量の大人1人分は子ども2人分に相当します。
◆作り方
【1】鶏手羽は骨に沿って包丁で切り込みを入れ、【A】をすり込んで30分おく。
【2】フライパンに【1】を並べて入れ、中火で3~4分焼き、返して3分焼く。
【3】【2】の染み出た脂をキッチンペーパーでサッと拭き取り、よく混ぜた【B】を加えて煮立てる。肉を返しながら6~7分煮てタレをからめ、とろみが出たら火を止める。
*お好みできゅうりやラディッシュを添えても。
教えてくれたのは
青木恭子さん
2つの保育園に7年間、栄養士として勤務。0歳児の離乳食~5歳児の給食とおやつ作りを担当。現在は、雑誌やWEBなどで活躍中。小田真規子主宰のスタジオナッツ所属。
『めばえ』2014年12月号
はちみつレモン味アイスクリーム
ヨーグルトをメインにしたヘルシーな味わいが◎。シンプルだけど手作りだからこその味わい。是非味わってくださいね。
◆材料
(作りやすい量)
プレーンヨーグルト 450g
【A】
生クリーム 1/4カップ
はちみつ 1/4カップ
レモン汁 大さじ1~2
◆作り方
【1】ボウルにざるをのせてキッチンペーパーを敷き、そこにヨーグルトをあけ、全体にラップをかけて冷蔵庫におく(150ml分の水分が出ればOK)。
【2】【1】のヨーグルトを別のボウルに入れ、【A】を加えてよく混ぜる。金属バットに移し、冷凍庫で6時間以上、冷やし固める。
教えてくれたのは
青木恭子さん
小田真規子主宰のスタジオナッツ所属。2つの保育園に7年間、栄養士として勤務。0歳児の離乳食~5歳児の給食とおやつ作りを担当。現在は、雑誌やWEBなどで活躍中。
『めばえ』2016年3月号
ミツバチからの恩恵を大切に保存する
おいしさだけでなく、体をいたわりたい時にも嬉しい作用をもたらしてくれる、はちみつ。マヌカハニーなど、貴重でハイパワーなはちみつもありますから、機会があれば試してみてください。自然からいただく恵みであるだけに、上手に保存して最後まで味わいたいですね。
構成・文・写真(一部を除く)/もぱ(京都メディアライン)