4年生の10月に大学レベルの漢字を習得
2年生で初の漢検 「力試しに」
――漢検を受けようと思ったきっかけは?
龍哉くん: 小学1年生の時に6年生までの漢字を全部覚えたので、自分の実力を試したくて2年生の6月に6級を受けました。初めての試験で少し緊張しましたが、200点満点でした。
――すごいですね。その後のステップアップを教えてください。
龍哉くん: 2年生の間に3級まで合格し、3年生の10月に準2級と2級をW受検して、どちらも合格しました。4級は200点満点で、日本漢字能力検定協会賞を受賞しました。
――2級は対象が常用漢字2136字で、高校卒業・大学・一般程度レベルとされていますが、3年生で合格とは驚きました。
智子さん:2級までは割と順調に来たんです。点数も良く、2級は190点、199点だった準2級も全国検定振興機構 理事長賞をいただきました。
準1級で初めての不合格。あきらめず、3度目の挑戦
――準1級を初めて受けたのはいつですか?
龍哉くん: 3年生の2月です。2級に合格した勢いで準1級もやってみたいと挑戦したのですが、145点で不合格でした。
――2級合格からわずか3か月後の挑戦ですが、どうやって勉強したのですか?
龍哉くん: テキストをひたすら解いて試験に臨んだのですが、準1級は常用漢字を含めて、約3,000字が範囲なので、ちょっと間に合いませんでした。過去問の点数がギリギリだったので、合格は厳しいかもしれないと少し思っていました。
――初めての不合格、どのように受け止めたのですか?
龍哉くん: 悔しかったけど、諦めずにもう1回受けようと思いました。
智子さん:準1級はかなり難しいので、2級まで取れたら十分なのではないかと本人に言いました。でも、負けず嫌いなんでしょうね。本人が「もう1回受ける」と言うので、サポートできることはしようと思いました。
――2度目の試験はいかがでしたか?
智子さん:2度目は153点でまたしても不合格。でも、合格基準の160点まであと少しのところまできた手ごたえのほうがありました。本人は、次は絶対に合格したいと、3回目の試験前は、メインテキストに加えて、別冊の漢字一覧表まで確実に覚えていました。
――3度目の挑戦で見事、合格されました。
龍哉くん: あともう少しだ。頑張るぞと心に決めて頑張ったので、合格したのはやっぱり嬉しかったです!
智子さん:161点でギリギリだったんです(笑)。でも、本当に良かった。合格した時の喜びはすごかったですね。
ゲームは買わない。タブレット学習はゲーム感覚で楽しかった
辞書がボロボロになるまで調べる
――いつから漢字の勉強を始めたのですか?
智子さん:小学校に入学するタイミングでコロナ禍が始まってしまい、入学が6月になってしまいました。家庭学習の時間ができたので、進研ゼミの「チャレンジタッチ」で、1年生の漢字と計算を始めました。問題を解くとすぐに〇がもらえるし、学年を越えて先に進められる。わが家はゲーム機を買っていないので、タブレットで勉強するのがゲーム感覚で楽しかったのかもしれません。おかげで漢字が好きになり、もともと暗記が得意だったので筆順や部首、音訓も自然と覚えていきました。
――分からない言葉も多かったのでは?
龍哉くん: 音読みと訓読みは覚えていたのですが、四字熟語が難しかったです。分からない漢字は、文脈から意味を推測したり、 故事成語は、問題に出たときに辞書で意味を調べ、その内容と一緒に覚えたりするようにしました。意味を理解すると記憶に残りやすかったです。
智子さん:息子は辞典を見るのが結構好きだったので、調べながら覚えていました。意味がわからない時は国語辞典、漢字は漢字辞典と、極力手を動かして調べるようにしていました。
――1年生から辞書を使っていたのですか?
智子さん:そうですね。小学校入学時に、国語辞典と漢字辞典を、学校に置いておく用と家で使う用の2冊ずつ準備して、分からない言葉や漢字をいつでも調べられるようにしていました。国語辞典の引き方は私が教えた記憶がありますが、漢字辞典はいつの間にか自分で引けるようになっていて驚きました。タブレットを子どもがいつの間にか使いこなしているような感じでしょうか。漢検3級以降は、小学校の漢字辞典では追いつかなくなり、『漢検漢字辞典』(日本漢字能力検定協会)をかなり使い込みました(笑)。
暗記が得意 間違えた漢字はその場で覚える
――勉強のスタイルを教えてください。
龍哉くん: 漢検用のテキストに、1文字ずつ漢字が載っているので、順番に進めていきます。一通り終わったら分野別の問題と過去問を何度も解き直します。 テキストや過去問を解く時はノートに書きますが、漢字を見て覚えるのも得意です。電車で通学しているので、新しい漢字を覚える時は、ホームで電車を待っている間や、電車に乗っている5〜10分もテキストを読んで覚えています。間違えた漢字はその場で覚えます。何回もノートに書くというよりも、時間をおいて同じ問題を解き直し、覚えているかを確認しました。
母は、息子が楽しんで学べるよう工夫した
――お母さまはどんなサポートを?
智子さん:主にスケジュール管理です。「受検の2週間前からは過去問に集中したいから、それまでにできればテキストを2周しよう」「〇日までに〇ページまでやろうか」と目標を息子と一緒に話し合って決めました。
2級までは、私が日々の予定まで立てていたのですが、準1級では私が1週間の大まかな目標を決めたら、本人が1日ごとの予定を決めるようになりました。自分で計画を立てる力もついてきたなあと思います。
――「今日は疲れたからやらない」ということはなかった?
智子さん:ありますよ(笑)。勢いが乗ると進めますが、こちらが声をかけるまでテレビを見たり本を読んだりアプリゲームをしたりすることもあり、余裕のあるスケジュールを組んでも、毎回なかなか予定通りに進みませんでした。
――息子さんが嫌にならないようにどのような工夫をされましたか?
智子さん:自主的にやるのを待っていてもなかなかやらないときは、「今日の分終わった?」と声かけをしました。漢検のアプリや漢字に関するアプリをダウンロードして、ゲーム感覚で取り組めるようにもしましたね。なるべく楽しんで勉強できるような環境作りを心がけました。
――準1級に向けて勉強している姿は今までとは違いましたか?
智子さん:気合いが違いましたね。言われなくても自分からやっていたような気がします。電車を待つ時間や通学の間にも毎日勉強していたので、コツコツ努力してるなと見ていました。
1級にも挑戦したい。将来は漢字に関係する仕事に
――漢字がお好きのようですが、普段から本もたくさん読まれるんですか?
智子さん:幼稚園の頃から図鑑が大好きで、特に生き物の図鑑はボロボロになるくらい読んでいました。今は、私が用意した本を読んだり、本人が図書館で、名探偵コナンシリーズや科学漫画サバイバルシリーズを借りてきています。
――暗記もお得意なんですね。
智子さん:小さい頃から覚えることは本当に早かったので、本からいろいろなものを吸収しているようです。その知識を、学校の授業で復習し、補填して整理しているんでしょうね。
――龍哉くん、漢字の好きなところは?
龍哉くん:いろいろな漢字があって、調べれば調べるほど、どんどん分かっていくところです。故事成語も意味が分かればおもしろくなりました。
――今後の目標を教えてください。
龍哉くん:5、6年生は中学受験の勉強をしたいので、漢検はいったんお休みするかもしれないのですが、中学受験が終わったら1級に挑戦したい。将来は漢字に関係する仕事に就けたらいいなと思います。
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取材・文/黒澤真紀 写真/ご本人提供