「夏越の祓」とは? 2023年はいつ行われる? 風習や食べ物、初穂料の相場まで

「夏越の祓(なごしのはらえ)」は、6月の風物詩として知られる神事です。ここでは、夏越の祓とはどんな行事なのか、どんなことを行う風習があるのか、初穂料は必要なのかなどを解説します。 また東京や京都など、夏越の祓が行われる有名な神社をリストアップ。さらに夏越の祓の定番の食べ物をご紹介します。

「夏越の祓」とは?どんな行事なの?

夏越の祓(なごしのはらえ)」は、一年の折返しにあたる6月30日に各地の神社で行われる季節の行事です。1月〜6月までの半年分の穢れを落とし、残りの半年の無病息災を祈願します。

由来や歴史

夏越の祓の由来は、「伊弉諾尊(いざなぎのみこと)」が行った儀式にまで遡ると言われています。神話の世界です。長い歴史のなかで、途絶えた時期もあったようですが、基本的には宮中行事として続けられてきました。

明治時代に神と仏を区別する神仏分離が行われ、その後、全国各地の神社で夏越の祓が行われるようになったと言われています。

年越の祓との違いは?

日本の神道の儀式に、心身の穢れをはらい、無病息災を祈る「大祓(おおはらえ)」があります。そしてこの大祓に、6月30日に行われる「夏越の祓」と、12月の大晦日に行われる「年越の祓」の2つがあります。

夏越の祓は、1月から6月までの半年間の災厄を清める儀式で、年越の祓は7月から12月までの穢れをはらうことが目的です。一年の終わりにあたることもあって、年越の祓のほうが盛大に行われることが多いですが、夏越の祓も節目となる大切な行事なのです。

夏越の祓、2023年はいつ?

夏越の祓は6月30日に行われるとご紹介しました。もともとは旧暦の6月30日に行われていたため、今でも旧暦の6月30日に行うところもありますが、多くは新暦の6月30日に行われています。

2023年の夏越の祓は、6月30日(金)にあたります。

夏越の祓の風習ってどんなことをするの?

夏越の祓では、「茅の輪くぐり(ちのわくぐり)」と「人形流し」の2つの特徴的な行事が行われます。

茅の輪くぐり

「茅の輪くぐり」では、神社の境内に立てられた直径数メートルほどの大きな輪をくぐります。輪は茅(ちがや)という草で作られており、これをくぐって身を清めます。

やり方・方法

茅の輪をくぐるときは、決められた作法があります。「水無月の夏越の祓する人は、千歳の命延(の)ぶというなり」と唱えながら、左回り→右回り→左回りの順で、8の字を描くように3回続けてくぐります。

人形流し

もうひとつが、「人形(ひとがた)」と呼ばれる、人の形をした紙を使った行事です。この紙の人形は、自分の身代わりを意味し、川に流したり、かがり火で燃やしたりして厄をはらいます。

やり方・方法

人形に自分の名前を記入し、その人形で体の悪い部分を撫でて穢れを移します。その後は、神社や地域ごとのやり方に従って、川に流したり、かがり火で燃やしたりします。

夏越の祓(大祓)に初穂料は必要?

前述したように、夏越の祓は大祓のひとつで、各神社で大祓を行う際は初穂料を包むのが一般的です。

初穂料とは

初穂料(はつほりょう)」とは、神様にお供えするお金のことです。昔は、その年に初めて収穫した稲穂をお供えしていたことから、初穂料と呼ばれるようになりました。

相場は数千円程度

初穂料は地域や風習によって変わりますが、夏越の祓では500円~3,000円程度、年越の祓は1,000円~5,000円くらいが相場のようです。年2回の大祓の初穂料は、あわせて数千円~1万円以内でしょう。

神社によって、ウェブサイトに初穂料を記載しているケースもあります。

夏越の祓が行われる神社

では、実際に夏越の祓の行事を行っている全国各地の神社をご紹介します。

※感染症拡大状況により例年と内容が変わる場合がある神社があります。お出かけ前にウェブサイトなどで事前確認することをおすすめします。

東京「神田明神」(東京都千代田区)

商売繁盛や仕事運に良いことで有名な神田明神では、古式に則り、茅の輪くぐりなどの行事を6月30日に行います。

神田明神

東京「東京大神宮」(東京都千代田区)

天照皇大神などをまつり、「東京のお伊勢さま」として親しまれている東京大神宮。縁結びにご利益のある神社として知られています。ここでは毎年6月30日に、「大祓式」を行い、大きな茅の輪が立てられます。

2023年の夏越の祓については、感染症防止の観点から、例年と内容が変わる場合がございます。ウェブサイトでご確認ください。

東京大神宮

東京大神宮/Twitter

東京大神宮/Facebook

京都「北野天満宮」(京都府京都市)

学問の神様として知られ、梅と紅葉の名所としても有名な北野天満宮。毎年6月30日には夏越の大祓が行われ、茅の輪くぐりが行われます。直径7~8センチのミニサイズの茅の輪の授与もあります。

北野天満宮

京都「京都西院 春日神社」(京都府京都市)

春日神社は、京都市右京区にある神社で、厄除けや病傷快癒などにご利益があると言われています。ここでは6月30日の午後7時から「夏越の大祓」が行われます。直径約2メートルの茅の輪が設置され、無病息災を祈ります。

京都西院 春日神社

三重「伊勢神宮」(三重県伊勢市)

伊勢神宮といえば、日本を代表するパワースポットで、全国から多くの人がお参りに訪れます。伊勢神宮でも毎年6月30日に大祓(夏越の祓)が行われます。神職や楽師が集まり、祓い清める様子はとても厳かです。

伊勢神宮

奈良「高鴨神社」(奈良県御所市)

奈良県の高鴨神社は日本最古といわれる神社で、心身が蘇るような強力なパワースポットとして知られています。高鴨神社の夏越の大祓は旧暦水無月の7月31日に行われ、茅の輪くぐりのほか、白馬も奉納します。

高鴨神社

福岡「太宰府天満宮」(福岡県太宰府市)

学問の神様として知られる菅原道真をまつる福岡の太宰府天満宮。墓所の上に社殿が作られ、京都の北野天満宮とともに全国の天満宮の総本社とされています。

太宰府天満宮では、夏越の大祓は年2回の「大祓式」の1つとして、6月30日に行われます。

太宰府天満宮

特別に食べるものはある? 夏越の祓の食べ物

夏越の祓には、定番の食べ物がいくつかあります。地域や風習により異なりますが、季節の節目にこうしたものをいただく風習は大切にしたいですね。

水無月

京都の夏越の祓に欠かせないのが、「水無月」と呼ばれる和菓子。外郎(ういろう)の上に、邪気を払うと言われる小豆がのせられています。三角形にカットした形にも、厄除けの意味があります。

京都の和菓子屋さんでは、夏越の祓が近づくと水無月が店頭に並びます。

夏越ごはん

主に関東地方で食べられているのが、「夏越ごはん」です。雑穀米の上にかき揚げをのせ、おろしだれをかけた丼料理。丸いかき揚げは、茅の輪をイメージしているそうです。

夏越川

江戸時代に創業した京都の老舗和菓子店「鶴屋吉信」で、夏越の祓にちなんで作られている和菓子が「夏越川」です。

上賀茂神社を流れる御手洗川の清流を、寒天で表現しており、箱には厄払いの茅の輪が添えられます。

季節の変わり目に取り入れよう

一年のちょうど折り返しにあたる時期に行われる、夏越の祓。神社に行かない限り、あまり参加することはないかもしれません。

でも季節の変わり目となる日ですから、水無月や夏越ごはんを食べて、残り半年を元気に過ごせるように祈ってみてはいかがでしょうか。

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文・構成/HugKum編集部

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