新宿区四谷にある東京おもちゃ美術館。副館長 石井今日子さんがおすすめする、遊びを広げてくれるおもちゃ。今回は、赤ちゃん木育ひろばで一番人気のおもちゃ「クルクルサンサンカ―+」をご紹介します。
目次 [hide]
おもちゃで、赤ちゃん木育ひろばで、日本の木の良さを感じて
東京おもちゃ美術館のオープン前から携わり、チーフとして働いていた石井さん。幼稚園教諭や保育士で得た経験、東京での孤独な子育てでの大変さから、親子広場を作りたいと当初から考えていたそうです。
「赤ちゃんも遊べる場所がほしいというお客様の声や、ボランティアスタッフである学芸員からの声に背中を押され、『赤ちゃん木育ひろば』の実現にこぎつけました。当時、ヨーロッパのおもちゃをたくさん集めた施設はありましたが、日本の木やおもちゃにスポットを当てているところはなかったので、この良さを知ってほしいと思ったんです」
日本の「木」の素晴らしさを伝える、木育という取り組み
“木育”をコンセプトに掲げ、日本の木の魅力をたっぷり詰め込んだ「赤ちゃん木育ひろば」。日本全国の10の地域から集めたスギ材を使って作られ、0~2歳の赤ちゃん専用のお部屋となりました。
「木育」とは、木や森とふれあうことで子どもの健やかな成長を促し、自然を大切に考え行動できる人を育てるという教育のこと。言葉にするとなんだか難しそうですが、赤ちゃん木育ひろばに足を踏み入れるとすぐにその良さを感じ取ることができます。
「床には厚さ3センチのスギ材を使用しました。水と空気をたっぷり含むスギはあたたかく、パパやママがどっしりと腰を落ち着けて、赤ちゃんとじっくり遊ぶことができるんですね。やはり日本の材はとても馴染むんです。ヨーロッパの堅いブナは、日本に持ってくるにはとても冷たい。地産地消がいいという理由はそこにもあります」

「クルクルサンサンカ―+」人気の秘密は“手応え”にあり
どの子も集中して遊び、ゆったりした時間が流れる赤ちゃん木育ひろばで、時として取り合いになるほどの人気を集めているおもちゃが「クルクルサンサンカ―+」です。ひもを引っ張ると、ビー玉部分が逆回転してカチカチと音を立てて回り、光があたるとキラキラ輝きます。
「このおもちゃ、とても重くて引き応えがあるんです。生後半年くらいの赤ちゃんでも、このひもを持って手繰り寄せようとします。自分でつかんだら、自分のそばにくる。それだけで赤ちゃんには大きな喜びで、大発見なんですね」
赤ちゃんがおもちゃから得られる手応えのようなもの、これがとても大事だと話します。
子どもの成長とともに遊び方が変化する
「もう少し大きくなって10ヶ月から1歳くらいになると、おすわりをしたままひもを引っ張り、おしりの向きをキュッと変えてまた引っ張る。ぐるぐる回りながら自分で操作できるという面白さがありますね。そして、歩き出すとどの子も後ろ向きに引いて歩きます。それから2歳近くなると前を向き、連れて歩くのが楽しいという時期がきます」
クルクルサンサンカ―+は、これひとつでねんねの頃から成長の発達段階がよくわかるおもちゃ。わが子の小さな成長を示すサインがわかりやすいという点でも、ママたちにうれしいおもちゃだといえるのではないでしょうか。
「2歳くらいになるとどの子も必ず、『いってきます』と言ってママから離れ、『ただいま』と帰ってくる遊びをやります。これは『いってらっしゃい』と送り出してあげて、『おかえり』と迎え入れてあげる身近な大人の存在があってこそ成立する遊び。こうした遊びを経験して安心感を得ることが自立へとつながっていきます。親子関係の基礎だと思いますね」
感受性豊かな赤ちゃんにこそ木のおもちゃを
東京おもちゃ美術館では、赤ちゃんが初めて触れる道具やおもちゃに地産地消の木製品を選び、赤ちゃんと木の出会いを大切にする取り組み、ウッドスタートをすすめています。
「赤ちゃんは、手でさわって口に入れて、自分の外の世界を知ろうとしています。この感受性豊かな赤ちゃんの五感をさまざまな角度から刺激してくれるのが木のおもちゃのいいところ。いい香りがしてつるつるで、クルクルサンサンカ―+の持ち手部分だけでも、みんな大好きなんですよ」
「そもそもこれ、何に見えますか?」と石井さん。タイヤがついていて、どう見ても車に見えますが……。
子どもにとって「当たり前」はない
「子どもに聞くとね、でんでんむしって言う子もいれば、おにぎりって言う子も。ある子は、パパの車だって言うから車種を聞いたら見かけの姿が全然違うんです。でもそこで、この子はパパが大好きなんだなってわかります。子どもの見立て力を刺激するフォルムと自由度の高さ。これもクルクルサンサンカ―+の魅力のひとつですよね」
主な材料:カバ(北海道産)
セット内容:本体(W17×D8.7×H13cm/ヒモの長さ約50cm)
価格:6,912円(税込)
お話を伺ったのは

記事監修

日本をはじめ世界各国のおもちゃに触れて遊べる体験型ミュージアム「東京おもちゃ美術館」。認定NPO法人芸術と遊び創造協会運営。「赤ちゃん木育ひろば」など、親子で木のぬくもりに触れる場を提供。長門や鳥海山木など全国に姉妹館が。おもちゃを通して日本の木の良さを伝える「木育(もくいく)」を広めている。
取材・文/木村亜紀子






