目次
小食の赤ちゃんに無理をさせるのはNG
赤ちゃんが目安量の離乳食を完食してくれないときは、無理をさせないほうがよいでしょう。
もし、無理にでも食べさせようとすると、食事自体が嫌いになる可能性があり、ますます食べなくなることも考えられます。少食の赤ちゃんに、無理強いするのは禁物です。
赤ちゃんの離乳食の進め方と目安量
まずは、赤ちゃんの離乳食の進め方と目安量を見ていきましょう。
離乳初期(生後5~6か月ごろ)
生後5~6か月ごろの離乳食初期には、赤ちゃんの様子を見ながら、1日1回の離乳食を与えます。与える時間は、午前中の授乳前がおすすめです。
食べ方の目安
離乳食と並行して、母乳やミルクも与えましょう。母乳やミルクは赤ちゃんが欲しがる分だけ与えてください。
調理形態
離乳食の調理形態は、火を通し、なめらかにすりつぶした状態のものからはじめましょう。
1回あたりの目安量
1回あたりの目安量はひとさじです。つぶしがゆからはじめてください。徐々に、すりつぶした野菜なども試してみましょう。
つぶしがゆやすりつぶした野菜に慣れたら、つぶした豆腐、白身魚、卵黄などを与えても良いでしょう。
歯の萌出の目安
この時期には、まだ歯の萌出はありません。
接触機能の目安
口を閉じて食べ物を取り込んだり、飲み込んだりできるようになる段階です。
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離乳中期(生後7~8か月ごろ)
離乳中期は、1日2回食で食事のリズムをつけていく時期です。
食べ方の目安
食品の種類を増やしていき、さまざまな味や舌触りを楽しめるようにしていきましょう。なお、離乳食後の母乳やミルクは、欲しがる分だけ与えてかまいません。
調理形態
食材は舌でつぶせる程度の固さにします。目安は豆腐程度の固さです。飲み込みやすくするために、とろみをつけるのもよいでしょう。
1回あたりの目安量
食品別の1回あたりの目安量は次の通りです。2種類の食品を与えるときは、それぞれ1/2量ずつ与えるようにしてください。また、1回目の食事も2回目の食事も、同じ量の離乳食を与えましょう。
穀物 全がゆ50〜80(g)
全がゆ以外にも、ちぎったパンをスープなどで煮たものや、やわらかく茹でたうどんを米粒大に刻んだものでもOKです。
野菜・果物20〜30(g)
野菜は茹でてから細かく刻んだり、すりつぶしたりしましょう。果物は、すりおろす、細かく刻む、潰すなどして与えてください。
魚10〜15(g)または肉10〜15(g)または豆腐30〜40(g)または卵卵黄1〜全卵1/3(個)または乳製品50〜70(g)
魚は、白身魚からはじめて、慣れてきたようなら赤身魚も使うようにするとよいでしょう。
肉は、赤ちゃんの内臓への負担が少ない鶏肉がおすすめです。
豆腐は茹でてから、つぶしたり、刻んだりして与えてください。
卵は、固ゆで卵にし、最初は卵黄から、慣れたら全卵を与えます。
乳製品は、プレーンヨーグルト、カッテージチーズなら問題ありません。
歯の萌出の目安
乳歯が生え始めてきます。
接触機能の目安
舌と上顎で食べ物を潰せるようになります。
離乳後期(生後9~11か月ごろ)
1日3回食をスタートさせる時期です。
食べ方の目安
3回食で食事リズムを作ること、家族で一緒に食事をして、食の楽しさを体験させましょう。
調理形態
歯茎で潰せる固さにします。目安はバナナの固さ程度です。この時期も、飲み込みやすいようにとろみをつける調理方法もよいでしょう。
1回あたりの目安量
食品別の1回あたりの目安量は次の通りです。たとえば、2種類の食品を与えるときは、それぞれ1/2量ずつ与えるようにします。また、1回目、2回目、3回目の食事はそれぞれ、同じ量の離乳食を与えるようにしましょう。
穀物 全がゆ90〜軟飯80(g)
全がゆのほかに、軟飯も食べられるようになります。全がゆを上手につぶして食べられるようになったら、軟飯も試してみましょう。また、お米のほかに、小さくちぎったやわらかいパンや、やわらかく茹でて1〜2cmに切ったうどんなども食べられます。
野菜・果物30〜40(g)
野菜は柔らかく煮たものを与えます。ただし、食物繊維が多い野菜は避けたほうが無難です。野菜や果物は、手に持ちやすいサイズに切ると手づかみ食べの練習になります。
魚15(g)または肉15(g)または豆腐45(g)または卵全卵1/2(個)または乳製品80(g)
魚は、白身魚、赤身魚にくわえて、青魚も与えてOKです。
肉は、牛肉や豚肉の赤身肉、レバーを料理に使うことができます。鉄分が不足する時期なので、レバーはおすすめです。また、ひき肉も使いやすいでしょう。
卵は加熱調理してから与えてください。
乳製品のひとつであるチーズは、塩分や脂肪分が少ないものを使うようにしましょう。
歯の萌出の目安
1歳前後で前歯が8本生えそろいます。
接触機能の目安
歯茎で食べ物を潰すことができるようになります。
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離乳完了期(生後12~18か月ごろ)
食べ方の目安
1日3回の食事リズムを作り、生活リズムを整えていきましょう。また、離乳完了期になると、手づかみ食べがますます上手になり、自分で食べる楽しみが増えていきます。
調理形態
食べ物を歯茎で噛める固さ、肉団子程度の大きさにしましょう。
1回あたりの目安量
食品別の1回あたりの目安量は次の通りです。たとえば、2種類の食品を与えるときは、それぞれ1/2量ずつ与えるようにします。また、1回目、2回目、3回目の食事はそれぞれ、同じ量の離乳食を与えるようにしましょう。
穀物軟飯90〜ご飯80(g)
軟飯のほかに、ご飯も食べられるようになります。軟飯を上手に歯茎で噛めるようになったら、ご飯にもチャレンジしてみましょう。また、やわらかいパンや、やわらかく茹でて2〜3cmに切ったうどんもOKです。
野菜・果物40〜50(g)
やわらかく煮た野菜や果物を与えます。
魚15〜20(g)または肉15〜20(g)または豆腐50〜55(g)または卵全卵1/2〜2/3(個)または乳製品100(g)
魚は、新鮮で味の薄い干物も食べられます。
肉は、薄切り肉を細かく切ったものや、ひき肉を丸めたものなども使えます。
卵は、加熱すればどの料理に使ってもOKです。
歯の萌出の目安
離乳完了期の後半ごろになると、奥歯が生えてきます。
接触機能の目安
歯を使って食べ物が食べられるようになるころです。
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赤ちゃんが小食な理由
赤ちゃんが小食なのには理由があります。どのような理由があるのか、確認していきましょう。
食べることに興味がない
まだ食べることに興味がなくて、目安量を食べられないのが小食の理由のひとつです。離乳食初期に多く、月齢だけを目安に離乳食を始めてしまった場合によく見られます。
食事に集中できない
離乳食を食べるときには、椅子に座っていなければならず、動き回りたい赤ちゃんにとっては苦痛かもしれません。また、テレビやおもちゃなどが目に入ると、興味がそちらに移ってしまい、離乳食を食べ終わる前に集中力が切れてしまうことも。それが理由で小食になってしまうこともあります。
お腹が空いていない
授乳やおやつを食べてからあまり時間が経っていなければ、当然お腹は空いていません。授乳やおやつの時間と、離乳食の時間とのインターバルについても見直してみましょう。しっかりお腹を空かせてから離乳食を与えると、改善することもあります。
離乳食のステップアップが早い・遅い
離乳食のステップアップの時期が早すぎたり、遅すぎたりするのも小食の理由と考えられます。
たとえば、時期が早すぎれば、赤ちゃんの噛む力や飲み込む力といった摂食機能の発達が追いつかず、食べるのが嫌になり、離乳食を残すことがあります。また、反対に時期が遅すぎると、食べ物の食感や味に物足りなさを感じて、少ししか食べなくなることもあるのです。
こういった場合には、離乳食のステップアップの時期を確認する必要があります。
水分でお腹いっぱい
スープやおつゆなどの汁物や、お茶などの飲み物をたくさん摂ると、それだけでお腹がいっぱいになることがあります。そのため、おかずを食べることなく、食事を終えてしまい、小食のように感じてしまうのも理由のひとつです。
味が嫌い
食品そのものの味が嫌いな場合にも、離乳食を残すことがあり、小食に思ってしまうことがあるでしょう。
離乳食中期・後期であれば、ほんの少しだけ味付けを変えたり、トッピングでアレンジしたりすると改善されることもあります。
甘えている
いつも決まった人が離乳食を与えていると小食になってしまう、という赤ちゃんもなかにはいます。
普段離乳食を与えている人とは違う人が与えるようにすると、改善することもあります。
食物アレルギーの可能性
食物アレルギーが理由で特定の食べ物を拒否することもあります。食物アレルギーを発症する可能性がある食べ物は、小麦、卵、乳製品、りんご、バナナなどです。
同じ食べ物を拒否する場合は、食物アレルギーを疑ってもよいかもしれません。離乳食後の赤ちゃんの様子をチェックし、普段と変わった様子はないか見るようにしましょう。もし、皮膚が赤くなっていたり、急に下痢気味になったりすれば、かかりつけの病院で見てもらうようにしてください。
小食な赤ちゃんにイライラしないために
赤ちゃんが離乳食の目安量を全部食べてくれないがために、イライラしてしまうこともあるかもしれません。
吸啜反射が残っている可能性も視野に入れて
そもそも赤ちゃんは、離乳食を始める前までは母乳やミルクといった液体を「吸啜反射(きゅうてつはんしゃ:口に入ってきたものを強く吸う反射のこと)」という反応で食事を摂ってきました。この吸啜反射が離乳食開始時に残っていて、スプーンで食べ物を食べることに違和感覚え、食べ進められない可能性もあります。
離乳食をお休みしても◎
まずは小食であっても、決してイライラしないこと。その上で、赤ちゃんをあやしながら口を開いたときに離乳食をあげてみてください。少しずつでも食べれば大丈夫です。嫌がるようなら、離乳食を数日間お休みするのも一案です。
小食ではなく過食!? 食べ過ぎな赤ちゃんにはどうしたらいい?
食欲旺盛で、食べ過ぎな赤ちゃんもいます。そんな赤ちゃんには、次のような対策がおすすめです。
赤ちゃんの食べ過ぎ対策
・少しずつ固いものを与えて、満足感を与える
・食事の回数を増やす
・離乳食のメニューにスープやおつゆなどの汁物を加え、最初に食べさせる
・野菜の量を増やす
赤ちゃんがなぜ小食なのか理由を知りましょう
離乳食は、食材の美味しさを知ることや食事を楽しむことも大切です。赤ちゃんの様子を見ながら、目安量より少し減らしてもよいでしょう。赤ちゃんが小食でも、母子健康手帳の成長曲線に沿っていて元気があれば、さほど気にする必要はありません。
それでも気になるようなら、ご紹介した小食の理由が当てはまっていないかチェックして、可能性をさぐってみてください。
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記事監修
看護師・助産師の免許取得後、大学病院、市民病院、個人病院等に勤務。様々な診療科を経験し、看護師教育や思春期教育にも関わる。青年海外協力隊として海外に赴任後、国際保健を学ぶために兵庫県立大学看護学研究科修士課程に進学・修了。現在はシンガポールの産婦人科に勤務、日本人の妊産婦をサポートをしている。また、助産師25年以上の経験を活かし、オンラインサービス「エミリオット助産院」を開設、様々な相談を受け付けている。
文・構成/HugKum編集部