「坊っちゃん」とはそもそも誰のこと? なぜ坊っちゃん?
親譲りの無鉄砲でこどもの時から損ばかりしている。
この一文からはじまる本作は、日本を代表する文豪のひとりでもある夏目漱石による一作。
東京から四国の中学校に赴任した主人公が、気に入らない教師やいたずらを仕掛けてくる生徒たちと奮闘する物語が主軸になっています。
では、そんな本作に関するクイズにさっそくチャレンジしてみましょう。
タイトルの「坊っちゃん」とは、誰の誰に対する呼称なのでしょうか。
①主人公が赴任した中学で、生徒たちにつけられたあだ名。
②主人公の実家に奉公する下女・清が、主人公を呼ぶときの呼び名。
③主人公が赴任した中学の同僚教諭たちに対して、主人公がこっそりつけたあだ名。
④作中に「坊っちゃん」という語は出てこない。作者の夏目漱石が主人公につけた愛称。
正解は②
正解は②「主人公の実家に奉公する下女・清が、主人公を呼ぶときの呼び名」でした!
四国の中学校を主な舞台とした『坊っちゃん』ですが、この物語を語る上では、実家の下女である清の存在も欠かせません。次章では、そんな清と「坊っちゃん」の物語についても解説していきます。
「坊っちゃん」のタイトルに込められた清との関係と、その描写にも注目
クイズの解答どおり、タイトルにある「坊っちゃん」とは、下女の清による主人公に対する呼び名です。ここでは、ふたりの関係性についても簡単に押さえておきましょう。
主人と下女でありながら、子と母のような関係
両親や兄から疎まれ、無鉄砲で曲がったことが許せない主人公。そんな主人公を「坊っちゃん」と呼び、誰が敵になっても絶対的な味方となってくれる存在が、実家の下女・清でした。
物語は主人公の教師としての生活の話がメインになりますが、その根底には清の存在の大きさが垣間見えます。主人と下女という関係を超え、まるで母子のようにも感じられる二人の関係の描写からも目が離せません。
「清=漱石の妻」説?
『坊っちゃん』にかんする逸話としてよく挙がるのが、清のモデルは漱石の妻なのでは、というもの。なんでも、漱石の妻である夏目鏡子の本名はキヨなのだとか。
その説の正否はわかり得ませんが、いろいろな想像を巡らせてしまいますね。『坊っちゃん』を読んだら、作者の生い立ちもついつい気になってしまうかも。
読書の達人・齋藤孝先生が伝える、とっておきの「読書の楽しみ方」
1万冊以上の本を読んできた読書の達人・齋藤孝先生が、小学生のうちに読んでほしい日本と世界の名作を110作をご紹介する本書。
そのなかでも、『坊っちゃん』をはじめとした「これだけはかならず読んでほしい」10作品については、それぞれ、先生とっておきの読み方や読書時の視点を具体的に解説しています。
『坊っちゃん』のほか『くもの糸』『走れメロス』『若草物語』『十五少年漂流記』……
作品ごとに、注目したいポイントや、持っておきたい視点を提案してくれるので、読書の楽しみ方を自然につかむことができます。
読書感想文の上手な書き方や、巻末には小学生のうちに読んでほしい『スペシャルブックリスト100』も収録。
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文/羽吹理美 構成/HugKum編集部