【連載第七回】今回のテーマは「定規・分度器・コンパス」です
なお:今回のテーマは「定規・分度器・コンパス」です。
他故:懐かしい響きですよね。特に分度器とコンパスは、大人になってからは使う機会は数える程でしょうか。でも、これらの道具もどんどん進化しているってご存知でしたか?
なお:だって、定規や分度器は線の長さや角度を見るものですし、コンパスは丸を描ければいいんじゃ……
他故:と思いますよね? 意外と学童文具メーカーの情熱が特に注ぎ込まれていると言ってもいいかもしれません。
なお:それは気になります。でしたら今回は、学童文具メーカーの広報さんへおすすめの商品とポイントとともに教えていただきます!ちなみに直定規・三角定規は小学2年生から、分度器は小学4年生から、コンパスは小学3年生から算数の授業に登場しますよ。
クツワの定規・分度器・コンパス
算数定規セット
15cm定規・2種類の三角定規・分度器の4点がケースにまとめられています。読み間違いを防ぐ工夫がされていて、算数の教科書に準じた使い方ができる定規シリーズです。
a.三角定規の角度を色分けしています
三角定規2種類に出てくる角度は、90度、60度、45度、30度の4種類。それらがすべて色分けされています。例えば直角二等辺三角形は二ヶ所の角度が45度ですよね? なので角が同じ色に印刷されています。また、三角定規の角の一つはどちらの形でも90度ですね。なので2種類の定規で共通した色がつけられています。
b.教科書で利用されている読みやすい数字を使用しています。
教科書に使用されている書体が決まっているのはご存知ですか? 文部科学省の学習指導要領に準拠した書体の数字を使用しています。
c.定規の端から0が始まるので、位置合わせや垂直の学習時に便利です。
定規のみのセットなのでケースがとても薄くて、ランドセルに入れやすいのも嬉しいですね。
算数定規セットコンパス付
15cm定規、2種類の三角定規、分度器、そしてコンパスの5点が入っていて、図形の学習に必要なものが一度ですべて揃います。
a.一つ前にご紹介した「算数定規セット」にもあった「教科書で使用されている書体」を使用。また、定規の端が0になっています。
b.セットになっているコンパスは「回しやすいコンパス」という商品です。回しやすく、カバーは針と鉛筆の芯先を両方覆えて安全。そして、高機能+安全設計ですが単品でも300円で購入できるプチプライスなので、コストパフォーマンスにも優れています。
はじめてのコンパス
安全でまわしやすいコンパス。名前の通りはじめて使うコンパスに最適です。
a.円を描くときだけとても細い針が出てくる超安全設計。紙から離すと自動で針が引っ込みます。
b.指にフィットする形状のヘッドで非常に回し安くなっています。
c.コンパスの先端をカバーする丈夫なケース付きです。
スリミーコンパス
超スリム設計、スタイリッシュなデザインで高学年から上の世代にもおすすめ。
またコンパクトなので、ペンケースのなかにもスマートに入れられます。
a.針が20度に曲がっているのは紙に垂直に刺さりやすいようにするため。しっかり刺さって回しやすくなっています。
b.筆記には自動で芯が出るシャープペンを使用。調整が必要な鉛筆や芯をつけるタイプと異なり、いつでもスムーズに描き続けられます。
c.コンパスを閉じた時に針とシャープペンの先端に取り付けられるキャップ付きで、持ち運び時にも安心です。また、転がり防止の突起もあるため机の上から落ちるのを防いでくれます。
【たこなおのプラスアルファ情報】
明るく楽しい学童文具メーカーの筆頭であるクツワは、いつもちょっとチャレンジ魂を感じる文房具を出してくるイメージがあります。その企業理念は「信用、開発、挑戦」。特にコンパスは種類が豊富で、それぞれに便利機能がついた個性的なラインアップです。定規も安価で使いやすいものから高級で機能豊富なものまで、たくさん用意されています。
ソニックの定規・分度器・コンパス
ナノピタ キッズ 定規セット くるんパス入
定規・分度器の特長
a.定規・分度器の裏側にはピタッと止まってすべらない「ナノピタ独自の滑り止め加工」がされているので、安定して測ったり書いたりができます。
b.三角定規はすべての辺に目盛りがついています。
c.目盛は白い丸い背景の上に数字が書かれています。加えて大きめの教科書数字になっているので読みやすさ抜群です
スーパーコンパス くるんパス 鉛筆用の特長
a.くるんキャップと呼ばれるパーツをつけて握って、くるんと回すだけでブレずに円を書くことができます。この気持ちよさはぜひ体験してほしいです。
b.くるんキャップを外すと従来のように指先で摘んでくるっと回すコンパスとして使用可能。
c.外したキャップは針を保護するキャップとして使うことができます。
スーパーコンパス ️くるんパス デル・クル シャープ用
特許技術の「デル・クルヘッド」により小さい円も大きい円もスムーズにかける、くるんパスシリーズの最新アイテムです。
a.デル・クルヘッド(デル:かきたい円のサイズに合わせてヘッドが自動で伸縮・クル:360度クルンと回転する)搭載。
デル・クルヘッドを指先でつまんで・くるんと回すだけでキレイな円がかけます。
b.筆記はシャープペンで行います。0.5mmの芯を入れて使います。
c.針のカバーに加えてシリコンケースが付いているので持ち運びにも安心です。
【たこなおのプラスアルファ情報】
ソニックといえば、メーカー名は知らなくても、昭和や平成のこどもたちはみな「S」のマークが輝くダイキャスト製のスーパーコンパスを手にしていたはず。そのくらいベストセラーだったスーパーコンパスを上回る便利さを持つ「くるんパス」シリーズは、誰でも簡単に円が描ける画期的な製品です。
レイメイ藤井の定規・分度器・コンパス
先生おすすめ定規シリーズ
定規・分度器に共通する特徴
a.個々での販売(三角定規は2種類セット)も4種セット販売も行われています。
b.2020年に「第14回キッズデザイン賞」を受賞しています
c.握力が弱いお子さんでもおさえやすい「すべりどめ」がついています。
このすべりどめは、すーっと自然に滑るのに、指で紙の方向に力をかけるとピタッと止まる新感覚です。
d.定規には1cmごとに実線、その中の中心5mmのところに薄い線で方眼罫がプリントされているため、なかなか上手に描きづらい並行・直角に線を引きやすく補助してくれます。
直定規 (15・18・30cmの3サイズ展開)
a.定規の左端から少し空間を開けて0の目盛りが付いているものを「はし空き目盛」と言います。これは鉛筆をあてて線が引きやすいという特徴があります。一方、端が0の位置になっている「はし0目盛」はものの高さや深さを測るときに定規を立てて使うことができます。それぞれに使う用途があるので、直定規のそれぞれの長辺が「はし空き目盛」「はし0目盛」として目盛りがプリントされています。
b.中央部にある、右から0がスタートする左利き用の目盛りは.先生の声を取り入れたものです。
c.1つの直定規で3つの見方ができるので数字がたくさんあって一見分かりづらくなりそうですが、数字大きさや向きにより、どのメモリを見るべきかが把握しやすくなっています。
d.1cmごとに矢印が付いたメモリ、1cmごとに交互に色の有無でみやすくしているブロックメモリ、5cm間隔で大きな数字が印字されています。
三角定規(大・小の2種類)
a.直角から伸びる辺に「はし0メモリ」があると、三角定規を組みわせて線を引くときにとても便利という先生の声を取り入れています。
b.直定規と同様の左利きの用の目盛や方眼罫といった便利な機能はこちらにも採用されています。
分度器(大・小の2種類)
a.「はし0メモリ」になっているのであわせる位置を間違えずらいだけでなく、きっちりとした半円形のため、2枚あわせると円になり、それが360度であることの理解にも繋げることができます。
b.教科書や問題集の湾曲した状態のものに沿わせることができるように、柔軟で割れにくい素材を採用しています。
コンパス「ロックパス(鉛筆タイプ)」
a.2020年に「第14回キッズデザイン賞」を受賞しています。
b.コンパスの中央と鉛筆を絞める時の星型ネジは子ども心をくすぐるだけではなく、この形にしたことでネジを締めやすくなっています。
c.左右が同じ角度で開閉して、つまみが常に中心になる「自動中心器」つき。
d.コンパスは白い紙の上で使うことが多いので、針が黒いことでとても見やすくなっています。また、カチッと閉まる安全針カバーが付けられています。
e.鉛筆を使うので短くなった時に手元にある別の鉛筆と交換できるので便利。鉛筆を締める時のネジも星形になっていてしっかり締められます。
おわりに
そもそもコンパスって、使いづらい文房具の筆頭だったと思うのです。針は尖っていて怖い、鉛筆がうまく固定できない、鉛筆の芯がすぐ折れてしまう、針が紙の上でうまく固定できなくて円が描けない──でも、いまのコンパスは違います。各社がそれぞれ、思い思いの工夫と技術革新を持って、より使いやすいコンパスに進化しています。もう針も怖くないし、芯はシャープペンシル式になって折れないし、円だって苦もなく自在に描けるのですから。
定規や分度器も、透明度が上がったり、目盛りの印刷がよりはっきりとわかりやすくなったり、裏面にすべり止め加工が施されて線を引く際にずれにくかったりと、各社腕によりをかけて使い勝手を向上させています。
また今では左利きでも使いやすい直定規が発売されており、そういった配慮も完璧です。
ぜひ文房具店の店頭に行って、各社の定規やコンパスの進化の具合をその目でお確かめください。お子さんの算数苦手、嫌いが始まる前に道具から!
次回も、あなたからのお悩みにお答えしていきます。
たこなお文具情報室 Instagram
静岡県浜松市生まれ。
【ブンボーグA(エース)】としてもSNSで活動中。
きだてたく氏、文具王・高畑正幸氏とともに、文房具のことを話し始めると止まらないトークライブユニット「ブング・ジャム」を結成。定期的にトークライブを行うほか、雑誌連載、ムック本での文具情報コーナーへの参加など活動。文具三賢人の一人である。筆記具やノート、その他持ち運ぶことのできる文房具全般に興味を持っている。文房具について語りだすと止まらなくなる。
北海道札幌市生まれ。
ラジオパーソナリティを軸として、動画出演&編集、Webマガジンへの執筆など広範囲で「文房具」情報をご紹介する【文房具プレゼンター】として活動。社会人になったときに両親から贈られた万年筆に、黒以外の様々な色のインクをいれて使えることを知り、一気にインクコレクター(インク沼)になる。ご当地インクが特に大好物。一人ムスメ(2015年生まれ)の母親としての視点から文房具を観察し、レビュー記事を執筆している。
過去の連載はこちら
第一回 筆入
第二回 お名前付け
第三回 鉛筆
第四回 消しゴム
第五回左利きの文房具
第六回未就学児の文房具
文・構成/たこなお文具情報室(他故壁氏・ふじいなおみ)