「木枯らし1号」って何? ない年もある? 2号3号もあるの? 東西で異なる基準をまとめました

木枯らし1号は、秋から冬にかけての季節に観測されます。詳しい観測条件やどのような風なのかを知れば、これまでよりも天気や季節の変化に詳しくなれます。木枯らし1号がいつ訪れるのかや、発生基準などをチェックしましょう。

「木枯らし1号」の基本情報

「木枯らし1号」は冬の風物詩として知られますが、なんとなく名前を知っていても、具体的にどのようなものなのか詳しく知らない人もいるでしょう。木枯らし1号を理解するために知っておきたい、基本情報を紹介します。

晩秋から初冬にかけて吹く強い風

木枯らしは、晩秋から初冬にかけて吹く、木の葉を散らすほど強く冷たい風のことです。その年に吹いた最初の木枯らしを、「木枯らし1号」と呼びます。木枯らし1号が訪れるころになると肌寒さが増し、冬の訪れをすぐ近くに感じられるでしょう。

木枯らし1号は全国で発表されていると思われがちですが、東京地方と近畿地方のみ気象庁から発表されます。また東京地方と近畿地方で、条件や基準が異なることが特徴です。

木枯らし2号や3号はない

木枯らし1号は、気象庁が「季節のお知らせ」として発表しています。木枯らしは寒い時期に何度も吹くのが普通であり、同じ現象を何度も発表する必要はないので、2号や3号の発表はありません。

季節風が原因で風害が予想されるときは、注意報や警報などの形で発表されます。もともと、気象庁が率先して発表していたものではなく、日本気象協会の雑誌の中で、木枯らし1号という言葉を使用するようになったといわれています。

木枯らし1号の存在によって、一般市民の関心が高い冬の訪れを客観的に知れることから、マスコミなどの求めに応じて気象庁が発表するようになったのです。

発生しない年もある

木枯らし1号は、毎年必ず記録されるとは限りません。風の強さや冷たさの体感は人によって違うため、客観的に判断できるように木枯らし1号の基準を設定しています。

木枯らしが吹いても、「風速が足りない」「期間が過ぎてしまった」「観測地以外の場所で吹いた」などの理由で、木枯らし1号が発生しなかったとする場合もあるのです。

直近の記録を見ると、東京地方は2018・2019年に木枯らし1号が発生せず、2020年は11月4日に観測されました。2021・2022年も木枯らし1号は発生していません。

参考:木枯らし1号について | 広島市江波山気象館公式ホームページ

木枯らし1号の基準・条件は東西で異なる

木枯らし1号は東京と近畿地方それぞれに基準や条件を設けて、総合的に判断しています。地域別の基準や条件を見ていきましょう。

東と西に分けた日本地図
木枯らし1号は東西で基準が異なる

東京地方の基準と条件

東京地方の木枯らし1号を観測するための基準と条件は、以下の通りです。

1.10月中旬〜11月末までの間
2.気圧配置が西高東低の冬型になり、季節風が吹く
3.東京での風向が西北西~北である
4.東京での最大風速が、おおよそで風力5(風速8m/s)以上
(※お知らせには、最大瞬間風速を記載)

参考:本日(11 月 4 日)、東京地方で 「木枯らし 1 号」が吹きました。|気象庁

近畿地方の基準と条件

近畿地方の木枯らし1号の基準や条件は、東京地方とは「時期」や「風向き」が異なる点に注意しましょう。

1.「霜降(10月24日ごろ)」〜「冬至(12月22日ごろ)」まで
2.気圧配置は西高東低の冬型
3.風向きは北より
4.風速は最大風力5(風速8m/s)以上
(報道発表では、最大瞬間風速を記入)

参考:大阪管区気象台 昨日(11月13日)、 近畿地方で「木枯らし1号」が吹きました。

過去の木枯らし1号の記録

冬の訪れ
木枯らし1号はいつ発生する?

木枯らし1号が観測され始めてから、70年あまりになります。過去の記録を見ると、その年の木枯らし1号がいつ吹くのか予測しやすくなります。過去に木枯らし1号が観測された日をチェックしましょう。

東京地方では2年連続で観測されず

気象庁に記録が残る1951年以降で、東京地方で最も早く木枯らし1号が吹いたのは1988年の10月13日でした。

これまで、木枯らし1号の発生が確認できなかったのは、1959・1962・1977・1979・2018・2019・2021・2022年の8回です。もし、2023年も観測されなければ、観測史上初めて3年連続で木枯らし1号が吹かないことになります。

【木枯らし1号が観測された日】
・2022年…なし
・2021年…なし
・2020年…11月4日
・2019年…なし
・2018年…なし
・2017年…10月30日
・2016年…11月9日
・2015年…10月24日
・2014年…10月27日
・2013年…11月11日

参考:そろそろ「木枯らし」の季節 あす18日は西高東低の気圧配置 可能性は?(気象予報士 福冨 里香 2022年10月17日)

近畿地方では2021年に最も早く観測

記録に残っている1955年以降の情報を見ると、近畿地方では2021年10月23日に最も早い木枯らし1号の発生を観測しました。2020年も10月23日に発生し、2年連続で最も早い日を記録しているほか、1981・1993年にも同日に記録されています。

近畿地方は東京地方に比べて判断基準の観測開始日が遅いので、東京地方の最も早い日の記録を超えることはおそらくないでしょう。

【木枯らし1号が観測された日】
・2022年…11月13日
・2021年…10月23日
・2020年…10月23日
・2019年…11月4日
・2018年…11月22日
・2017年…10月30日
・2016年…10月29日
・2015年…10月25日
・2014年…10月27日
・2013年…11月4日

参考:そろそろ「木枯らし」の季節 あす18日は西高東低の気圧配置 可能性は?(気象予報士 福冨 里香 2022年10月17日)

木枯らし1号で冬の訪れを感じよう

木枯らし1号の知らせを聞くと、冬の訪れが感じられます。暖かい衣類に衣替えをしたり、職種によっては商品を仕入れるタイミングを計ったりと、冬を迎える準備を始めなければなりません。

東京地方と近畿地方でのみ観測していますが、天気は多くの人が関心を持つ話題です。天気予報やニュースなどで木枯らし1号が発表されたら、例年と比べて早かったか遅かったかなど時期もチェックしてみましょう。

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構成・文/HugKum編集部

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